「男児本分の外、復功名の地無し」【2015年 第11回】

【2015年 第11回 「男児本分の外、復功名の地無し」】
吉田松陰の言葉からから考えるライフプラン

上津原 章 ⇒プロフィール

こんにちは。山口県のファイナンシャルプランナー、上津原章と申します。 今回の松陰先生の言葉から考えるコラムでは、松陰先生が、会津の武人井深茂松氏を訪ねた時に書き残した言葉について取り上げたいと思います。

 

表題の言葉について

さて、表題の言葉、

「男児(だんじ)本分の外、復(また)功名の地無し」

を私なりに意訳しますと、

「私たちは、本来行うべき仕事以上に、名を上げることができる行いはない。」

といったことになります。経済的な事情で内職をしたり農業にいそしんだりしても、武士であれば、武士として何ができるかを考えるべきだ。といったことでしょうか。

吉田松陰は、22歳で東北遊学の旅へと出ます。国防の重要性を感じ、東北地方から日本海側へとたどる旅です。その途中で会津に立ち寄ったとのことです。長州藩に通行手形の発行をお願いしていたものの、それを待ちきれずに出立しています。旅が終わってたとえ藩から厳しい沙汰が待っていることが分かっていても、自分が思っていた道を貫きたかったのでしょう。

この時に書き残した言葉は、井深茂松氏の妹が大事に保管し、彼女が嫁いだ先である高嶺秀夫氏にも多大なる影響を与えています。高嶺氏は東京高等師範学校(現在:筑波大学)校長などを歴任した教育家で、やがて貴族院議員に推挙されることとなります。その時、

「いや、私の天職は教育にあり、政治には不向きでありますのでお断りいたします。」

といって固辞したといわれています。どれだけ素晴らしい栄誉であっても、自分の本分を大事にするところに日本人らしい潔さを感じます。

本当に大事なことは、しっかりと誰かに受け継がれるものですね。

この言葉から学ぶライフプラン

私たちは、お金に関する知識を、インターネットやセミナーなど様々な方法で手に入れることができます。手に入れた知識のおかげでお金をたくさん貯めることができれば、自分が大好きだと思っている仕事を一生涯続けることができたり、お勤め先の倒産などで安定収入の道が途絶えても乗り切るだけの時間を稼げたりできるでしょう。

21世紀になってからか、「経済的自由を手に入れる」「若くしてセミリタイアする」などといった言葉を見聞きすることが多くなりました。ロバート・キヨサキ氏や、本田健氏といった著名人の書物の影響もあってのことでしょう。私の元にも、

「経済的自由を手に入れるためのライフプランをつくってください。」

といった相談メールがありしました。その時に、

「あなたが経済的自由を手に入れたら、どのような人生を送りたいのですか。」

と相談者に問いかけてみたのですが、あいにく答えがうまく出なかったようです。人生を豊かにする手段についてはあれこれ考えていても、人生の目的や自分の本分まで思いが及ばなかったのかもしれません。

 

お金の知識が活かされる前提として、

「あなたは、どのような人間になりたいのか。」

といったことがあるように感じます。あなたが、寝食を忘れてでも取り組める仕事は何でしょうか。一生をかけてでも取り組みたい課題って何でしょうか。どうしても見つからない時は、今取り組むべき仕事を一所懸命取り組むことが先決です。

本当に大事なことに向かって真正面に取り組んでいる人が、経済的自由を手に入れたり働く時期を自由に選べたりする人生に近づいていくように感じます。

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