私の老後のお金はどうなるの?転勤族妻のお金の貯め方 【2016年 第8回】

【2016年 第8回 私の老後のお金はどうなるの?転勤族妻のお金の貯め方】がんばる転勤族の妻たちが「お金」をもっと好きになるお話

松原 季恵(マツバラ キエ)

 

転勤族の妻は夫の転居により仕事が安定しにくいです。
一方で、国からもらえる年金は働き方によって金額が違うことはご存じですか?
働き方の選択肢が限定されやすい転勤族の妻だからこそ、将来の備えはしっかりしておきたいところです。
セカンドライフを楽しむためのお金の貯め方をお伝えします。

 

国からもらえる年金はいくら?

私たちがもらえる国の年金は「国民年金」と「厚生年金」の2種類です。
民年金では日本国内に住む20歳以上60歳未満の人が全員加入します。
厚生年金は会社に勤める70歳未満の人で、通常の社員の労働時間・日数の4分の3以上働く人が、パート・アルバイトなど雇用形態に関係なく加入します。

 

転勤族の妻で、無職あるいは年収130万円未満であれば、夫に扶養される「第3号被保険者」になり、将来は国民年金のみを受け取ることになります。
また、年収130万円以上でも厚生年金に加入できない場合も国民年金のみの加入になりますが、扶養されている場合と違い自身で保険料を支払う必要があります。

国民年金は、扶養されていた(保険料を支払っていた)期間に応じて年間の給付金額が決まります。
例えば平成28年度の場合、40年間納めることができれば給付額は満額の780,100円ですが、30年間しか納めなければ、その4分の3の約58.5万円になります。

 

転勤族の妻でも、一定の条件を満たして働けば、厚生年金に加入することになります。
この場合、国民年金に加えて厚生年金も受け取ることができます。

厚生年金は受け取っていた給与と加入期間に応じて年間の給付金額が決まります。
例えば、平均月収が20万円で5年間加入できれば年間約70万円を受け取り、国民年金に上乗せすることができます。

 

扶養に影響する106万円の壁

これまで夫の扶養に入る妻の年収の境目として「130万円の壁」(「103万円の壁」「130万円の壁」の詳細についてはこちら)を意識して、働き方を調整する人も多かったと思います。
ところが10月より「130万円の壁」は106万円へと引き下げられます。
ただし、現在は従業員501人以上の企業に勤めるパートタイマーで、週20時間以上、勤務期間1年以上見込みがある人に限定しています。
この場合、年収が106万円を超えたときに保険料を支払う必要がありますが、将来、加入した厚生年金の分だけ年金額は増えます。

 

足りない分は自分で準備する

もし国民年金だけであれば、もらえる年金額は満額でも約78万円、月々だと約6万5千円しか受け取ることができません。
当然夫の年金もありますが、妻の手取りで自由にできるお金を増やしたいと考えるのであれば、自身で準備する必要があるでしょう。

 

預貯金は仕組みづくりがポイント

老後資金の準備というとリスクをとる運用をイメージする人も多いですが、預貯金も老後資金準備に力を発揮してくれます。

 

金利は低いかもしれませんが、月に1万円を40年間貯めると、480万円の積み立てになります。
市場の動向に一喜一憂するのであれば、精神的にも安定した老後の準備ができます。

 

ただし、預貯金はつい使いすぎてしまう点が欠点です。
それを回避させるために、社内預金や財形貯蓄制度を利用して、引き出しにくい場所に貯めておきましょう。

 

これらの制度がない場合は、銀行に自身で契約できる積立定期預金があります。
転勤族であれば転居時に困らないようにネット銀行を利用すると、金利も高く、手数料も抑えられることが多いので良いでしょう。預貯金は仕組みづくりが重要です。

 

預貯金でたまったお金は運用で増やす

預貯金である程度まとまったお金ができたら、リスクを取った運用、株や投資信託などに挑戦してみましょう。

運用に慣れていない場合は少額で購入時期を分散するなどすれば、ある程度リスクを抑えることもできます。
ネット証券・ネット銀行であれば、口座開設から売買、換金まで全てネットで行えますので、転居によって取引ができなくなるということがないので安心です。
ただし、海外勤務になり住所が日本にない場合は、基本的に口座が凍結されてしまい取引がほとんどできなくなりますので注意しましょう。

 

これから注目の個人型確定拠出年金

老後の資産形成の手段の一つとして「個人型確定拠出年金」があります。
平成29年1月よりこれまで加入できなかった専業主婦や公務員なども利用できるようになり、扶養の範囲で働いていた転勤族妻も対象になります。

 

個人型確定拠出年金の制度では、投資信託や保険、定期預金などにより積み立てと運用の両方を利用できます。
この掛け金は所得控除、運用益は非課税にでき税金面の優遇がある点が、制度を利用する大きなメリットです。
多くの金融機関がネット上で取引を行いますので、転居があっても運用を続けることができます。
さらに夫が海外転勤になった場合でも、日本の企業から給与をもらい厚生年金の被保険者であることに変わりがなければ、運用・積立を続けることができます。
海外転出時の取り扱いは金融機関によりますので、問い合わせてみましょう。

 

法改正があり注目度の高い個人型確定拠出年金ですが、加入時に3千円程度、毎月の積立時に100~600円程度の手数料がかかります。
収入のない(少ない)転勤族の妻では、所得控除のメリットはあまり期待できない一方で固定の出費が必要になります。どの程度の利回りが期待できれば利益が出るのかは確認しましょう。

 

制度に頼りすぎない、自分年金をつくる

働き方によって将来受け取れる年金は変わります。
転勤族の妻は働き方を変えるときは将来の年金も確認して決めることが大切です。
しかし、新たな「106万円の壁」の制度ができたように制度は変わっていきます。
特に今は、女性の社会進出を推し進めているので、働きたくても働けない転勤族の妻にとって不利になることもあるでしょう。
セカンドライフを楽しむためには、制度に影響されない自分の年金をつくることが大切です。
将来の不足額を確認し、居住地に関係なく続けられる積立・運用をコツコツしていくのが近道となるでしょう。

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