○○円の壁なんて関係ない!転勤族妻の仕事の選び方~前編【2015年 第2回】

【2015年 第2回】○○円の壁なんて関係ない!転勤族妻の仕事の選び方~前編
がんばる転勤族の妻たちが「お金」でもっと得するお話

松原 季恵 

転勤族の妻は夫の転勤により仕事が変わることが少なくありません。 その際に103万円の壁、130万円の壁に合わせて仕事を選んでいませんか? これらの壁は税金や社会保険制度に設けられた一定の基準を表したものですが、その仕組みは何となくしか知らない方が多いようです。 今回のコラムでは前編で〇〇円の壁の家庭へ与える影響を、後編では〇〇円の壁に関わる社会保険制度のしくみについてお伝えします。前後編のコラムを通して読んでいただくことで、これらの制度に縛られず今後のお仕事選びにきっと迷いがなくなるはずです。

 

引越しの片付けも一通り終わり新しい土地にも慣れてきたころ、

そろそろお仕事を探そうと求人雑誌を見ていたら…

 

 

 

 

 

 

このように、頭を抱えたことはありませんか?

でも、本当に「100万円くらいに抑える」のが、一番お得なのでしょうか。

 

○○円の壁を超えると家庭で使えるお金が減る

○○円の壁を境目に家庭に与える影響は五つです。

<103万円の壁は税金の壁>妻の給与年収が103万円を超えると、

①妻が支払う税金が発生します。

②夫が受けていた控除が減り、家庭に入ってくる現金が減ります。

 

<130万円の壁は社会保険の壁>妻の給与年収が130万円以上の見込みになると、

③妻が支払う国民健康保険料が発生します。

④妻が支払う国民年金保険料が発生します。

⑤妻は夫の扶養から外れ、夫が受け取っていた家族手当がなくなります。

ただし金額の基準は夫の勤務先によります。

 

このように○○円の壁を境目に、妻の給与によって妻が支払うべきお金と夫が受けていた控除・手当がなくなり、

最終的に家庭で使えるお金が減ります。

 

大きい壁は130万円の壁

家計をやりくりする妻にとって、大切なのは収入ではなく“使えるお金(=可処分所得)”を意識し、いくらか把握することです。

そして妻の給与が夫の手取り収入に与える影響も踏まえて考えることが重要です。

では以下の事例で、妻の給与によって“使えるお金”がどのように違うかを具体的に見ていきます。

 

【事例】東京都世田谷区に住むご夫婦

夫35歳、収入は給与収入500万/年のみ、

妻28歳、前年度年収なし

子やその他扶養者なく、社会保険料以外の控除もなし

家族手当は妻の給与年収130万円未満が条件で月1万円支給

妻は第2号被保険者にはならないものとする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このように、妻の給与年収が103万円以下の場合はそのまま103万円が“使えるお金”として家庭に残ります。103万円を超えると、

①②(税金の壁)が発生し、妻の給与が増えると共に、①②の支払い金額も増えていきます(②夫の控除の減額分は妻の給与年収

141万円以降一定)。

妻の給与年収が130万円以上になると、③④⑤(社会保険の壁)が発生しますが、税金の壁と違い、その額は妻の給与に関係なく一定です。

では、影響する具体的金額を求めると、①②(税金の壁)は妻の年収が129万円の時に合計で年3万5千円。つまり“使えるお金”は約125万円。

年収の増額分に比べて影響が小さいです。

一方③④⑤(社会保険の壁)は妻の給与年収が130万円に達した時点で発生し、その合計金額も年約40万円。つまり“使えるお金”が約90万円に減り、103万円の収入があった時よりかえって少なくなってしまいます。

このように、130万円の壁の方が家庭で“使えるお金”に与える影響は大きいです。

目指すなら170万円以上

とは言え働いても働いても、いつまでも家庭で“使えるお金”が増えないわけではありません。

給与年収130万円以上から①~⑤の壁により家庭で“使えるお金”が一旦大きく減りますが、それ以降は徐々に増えていきます。

そして、130万円未満に抑えた場合(給与年収129万円)より家庭で“使えるお金”が上回るのは、今回の事例だと妻の給与年収約170万円以上になった場合です。

これは、年収129万円から約40万円増やしたところで、使えるお金は約2万円しか増えないことになります。40万円というのは、時給千円で月15日働くとすれば、一日2時間は多く働く必要があります。

まとめ

本編では、転勤族の妻の方々が、夫の転勤のタイミングで新しいお仕事探しをされた場合に、収入を考える上でいつも頭をよぎる○○円の壁を具体的にひも解いてきました。

ここで大切なことは年収(壁の金額)ではなく、家庭内で“使えるお金”を意識し、いくらになるかを把握することです。

そして、時間を重視して効率よく家庭で使えるお金を増やすためには130万円の壁を意識し、夫の収入等の状況にもよりますが、より多くの使えるお金を求めるのであればおおよそ170万円を目安にすると良いでしょう。

次回後編では、今回の内容を踏まえて、○○円の壁に関わる社会保険制度についてお伝えします。後編までお読みいただくことで、今後のお仕事選びのお役に立てると思います。お楽しみに!

 

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