任意後見契約~元気なうちにできる「老い支度」あれこれを知っておこう パート5 後半   お墓の準備と整理について②【2015年 第2回】

【2015年 第2回】 任意後見契約~元気なうちにできる「老い支度」あれこれを知っておこう パート5 後半   お墓の準備と整理について②
相続の実際の現場からレポ

竹原 庸起子 ⇒ プロフィール

相続専門のファイナンシャルプランナー・行政書士の中野庸起子です。前回のコラムでは、生きているうちに「先祖代々の仏壇・お墓のゆくえ」についてどのようの取り決めるのかについて説明をしました。 今回は、「死後の納骨、埋葬、法要の取決め」を生前にどこまでどのように決めておくのがいいのかについて実際の例からお話します。死後に相続人や親族のみで決めなければならないわけではなく、生前に本人が指定することができるのです。

自分が死んだあと

前回のコラムからの続きですので、A子さんとB子さんのケースでお話します。

A子さんは、先祖代々のお墓を誰に承継させるのがいいのか、そしてその方法について知ることができました(前回のコラム参照)。

ではもう一つ気がかりなことである「自分が死んだあとの枕経・通夜・葬儀・初七日からその後続く法要・永代供養・納骨先」について、独り身である自分が死んだあと、だれが責任をもって執り行ってくれるのかが心配でなりません。

ここでB子さんに相談しました。以下、相談を受けたB子さんとのやり取りとその後の解決方法についてお伝えします。 

A子 「私が死んだら、枕経・通夜・葬儀・初七日から三回忌くらいまでの法要は、誰がおこなってくれるのかしら?今のうちに執り行ってくれる人を決めておけるのかしら?どういう方法がある?」

B子 「確かにそうですね。A子さんがお元気である今、エンディングノートや手紙、その他の書類に書いておき親戚に頼んでおくか、死後事務委任契約を締結した相手に依頼するか、どちらかがいいのではないでしょうか。」

A子 「なるほど。でも、本当にその通りにしてくれるとは限らないでしょ?だって、費用がかかることだから、その費用を出してまでその人がしてくれるかどうか。」

B子「エンディングノートやそのほかの書類、手紙で残して置くことはできますが、それだとおっしゃる通り、法要の主宰として指定された人がその通りにするとは限りませんし、それにかかる費用をどこから出すのかわからないままで、A子さんの死後、親戚が揉めるもとですよね。その際には、法要を依頼した先である寺院へ、今のうちに法要にかかる費用のうち、寺院へ支払わなければならない分のみ預けておくことができます。そのお金の預り証も発行してもらえます。法要にかかる費用のうち、親戚の食事代や交通費などは預けることができません。

この方法をとるときに、法要を執り行う人との間で書面として残しておくといい書面には、下記のような文言を入れます。

合意するのは、A子さんと、法要の主宰を指定された人です。

もし法要の主宰を指定された人との間で書面を交わさずに、ご自身のみで手紙として残しておくこともできますので、その際は下記の文言に近い内容を書いておきましょう。

 

ただし、この方法では、法要の主宰を指定された人が必ずしもその通りにしてくれるとは限らないという不安はあります。

一方で、先にお寺にお布施を預けずに、死後事務委任契約で取り決めるときは、下記のような文言を入れます。

 

A子 「そうね。そんな方法があるのね。そうすれば安心ね。」

結局A子さんは、

本骨は先祖代々のお墓へ、喉仏は枕経から三回忌までのお経を詠んでくれる住職がいるお寺へ納骨し、三回忌以降は永代供養としてその住職が、お寺のやり方に従い、その都度法要を行うよう依頼するということに決め、お布施と永代供養料をすでに支払いました。

これで、お墓のゆくえと、死後の法要についてのA子さんの悩みは解決しました。

以上の内容は一例であり、地方の慣習やしきたり、先祖代々の祭祀の執り行い方などによって異なります。

みなさんはそれぞれの事情にあった方法で準備をしてください。この一例がそのための参考になれば幸いです。

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