ブラジル経済の強さと弱さ【2012年 第5回】

【2012年 第5回】ブラジル経済の強さと弱さ
ケース別コラム – 海外メディアから読み取る資産運用

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前回に続きThe Economist誌から、ブラジルの現在の経済状況を、”その強みは本物だけど、政府はより弱みについて考えるべき”というような視点から解説した記事を紹介します。

ブラジル経済の現状

・2011年のブラジルの成長率は僅か2.7%。BRICSの他の国、ロシア、インド、中国は、成長率が鈍化しているとはいえ4.3~9.0%を維持。

・ブラジル通貨レアルは、昨年7月の対ドルで1.54レアルから2レアル近辺まで下落。
・9%の中央銀行の政策金利は歴史的な低金利に近い。

インフレとレアル高は、確かにブラジル経済にとって悩みの種であったため、過大評価されたレアルと金利を低下させるために、故意に経済を冷やしたという当局者の言うことは理解できます。ただし、今年そして今後の経済成長を4.5%とする彼らの予測に関しては、信じがたいというのが、アナリストの見解のようです。

モルガンスタンレーのRuchir Sharma氏のコメント「その国は、コモディティ価格と共に上昇し、それと共に下落する。」は、ブラジル経済のコモディティ価格依存度の高さをずばり指摘しています。

高コスト体質

・税負担は、1988年のGDP比22%から、現在の36%に達し、その他の中所得国と比較すると遙に高い数字となっている。
・またその税制はおそろしく複雑。
・大部分の税金は、貧しい者への分配ではなく、過度に気前の良い年金と、無駄に大きい政府に向かっている。
・最低賃金は、インドネシアあるいはベトナムの3倍で、製造業者が苦闘するのは当然。
・政府は、ビジネスをいじくり始めた:
例えば、石油産業の深海掘削機器の65%は、自国内で生産されなければならないとし、新しい油田開発をスローで高コストにした。

このような規制を含め、ブラジルで最大のリスクは、過大評価された通貨から政治干渉となりつつある。

政治干渉と規制

ペトロブラス(国営石油大手)やバーレ(世界最大の鉄鉱石生産者)は、少数株主よりも政府の目的に合うような運営がなされており、このような懸念が両方の企業の株価を圧迫していると、Explorador Capital Managementのファンドマネージャーであるジョセフ・ハーパーは指摘する。

Exploradorは徐々に、より低コストで政治リスクが少ない中で、同じようなチャンスがある、ペルー、コロンビア、チリ、パナマおよびメキシコを支持し、ブラジルへの投資を縮小している。

またリオデジャネイロ沖の原油流出事故を巡り、シェブロン(アメリカのオイル会社)に莫大な罰金を課して、その経営者を刑務所に入れるという検察官による脅迫は、外国人の取り扱いに対する懸念を引き起こした。

弁護士が若干のクライアントから、今ブラジルでミスを犯すと、シェブロン経営者に起こったように、自分のパスポートを没収されることを意味するのか?という質問を受けている、というエピソードが紹介されており、この脅威の深刻さが伝わります。

ブラジルの強み

最後に申し訳程度になってしまいましたが、ブラジルのポジティブな部分を紹介します。

・全体的な成長は、数年間は控え目になりそうである。といっても、大部分の経済学者のコンセンサスである3.5%の成長率は、先進国の標準以上のものがある。
・流行の農業ビジネスと鉱業がある。
・教育や医療などへの高まる需要の要求を満たすために、多くの機会がある。
・失業が低い。5/24発表の4月失業率は6%。
・賃金が上昇している。
・海外直接投資の流入量の多さ(2011年の記録では670億ドル)。
・ロシア、中国とインドと比較して、ブラジルは法の支配を尊重する。
・ブラジルの強さは、広い政治的な連続性と経済の安定性を与えた民主主義である。

 

参考文献
The Economist “The Brazil backlash” http://www.economist.com/node/21555583
The Economist “A bull diminished” http://www.economist.com/node/21555588

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