一文にこだわって百文を失う【2013年 第10回】

【2013年 第10回 一文にこだわって百文を失う】投資の格言から学ぶ 株式投資

松山 智彦⇒プロフィール

株式投資の格言だけでなく、日常生活でも良く使われる格言です。小さなお金に拘りすぎて、大きなお金を失うって事ないですか?

 

 

 

 

目先に拘りすぎてはいけない

「あと1円上がれば売る」「あと1円下がれば買う」といった、1円という金額に拘りすぎてその後100円もの上下してしまい、大きな損失(大きな利益)につながってしまうという株式投資の失敗例を表した格言です。

これとは少し趣が異なりますが、株式格言ではレギュラーのひとつである「まだはもうなり、もうはまだなり」というのがあります。

株価がもう底だろうと思ったら、さらに下落したり(底割れをするともいいます)、まだ上昇するだろうと思ったら、実はそこがピークだったり…。この格言は、ほんの少しの変化だけで独断的に判断してしまうと失敗するという意味です。

 

つまり目先の利益に拘らず、冷静かつ客観的に分析をおこなって、判断する事の重要性を説いています。

 

 

NTTに投資した失敗例

1980年代後半から1990年代前半のいわゆるバブル景気の時、大型の新規上場のラッシュでした。有名な所ではNTTの上場で初めて株式投資を始められた方も多数おられます。

NTTの最初の公募価格は119万円。それでも当時はこの公募に競争率は6.4倍にも達しました。

NTTは1987年2月に上場、5月には310万円まで上昇します。

1987年といえば10月にブラックマンデーという大暴落が起きました。NTTはその翌月に255万円で二次募集を行います。しかし、日経平均が1988年末に38,000円台でピークを迎えましたが、NTTは1987年5月につけた高値を超える事はありませんでした。

1991年は45万円まで下落するのだが、まだまだ上がるだろう、もともと政府系の企業だから間違いない。という思いで、ずっと持ち続ける人が続出しました。いわゆる塩漬けという状態です。

銘柄選びのポイント

 

以前に、「利益確定」「損きり」といった売るタイミングを客観的に行う事をオススメましたが、買う場合も同じようにここまで下落したら買うといった設定するのも大切です。ただそれだと買いそびれの懸念があるので、買う時期の設定もしておきます。

例えば、350円まで下落したら買うが、下落せずに大引けを迎えたら、価格に拘らず買う。つまり「指値不成」(指成)の設定をしておけば、買いそびれがありません。

目を付けた銘柄には拘りたい方には、こういった買い方(売り方)もオススメです。

 

本日のポイント

「塩漬け」:売るタイミングを逃してしまい、下落後も保有し続ける事。

「指値不成(成り指し)」:指値(価格を指定する)注文をだしていくが引け(取引時間内の最終の取引)まで取引が成立しなかった場合、成行(価格を指定しない)注文に自動的に切り替えて引けで約定させる注文方法。
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