運用商品の中身 その3(リートについて)【2011年 第20回】

【2011年 第20回 】運用商品の中身 その3(リートについて) 相談コラム

恩田 雅之(オンダ マサユキ)⇒ プロフィール

相談内容

相談者 Aさん(50歳) 男性/既婚
マネー雑誌などでリートに投資する投資信託の人気が高いという記事を見ました。分配金の利回りが高い商品が多いようなので興味があります。
リートは、不動産を使って、どのように運用する商品なのか教えて下さい。

回答

REITと書いてリートと読みます。
REITは、「Real Estate Investment Trust」の略になり、日本語訳では、「不動産投資信託」になります。
不動産投資から期待できる収益は、「土地や建物の値上がり益」と「取得した建物を貸すことで得られる家賃収入」の2つになります。

リートは、収益の大半を「家賃収入」から得ることを中心に運用を行います。個人が行う賃貸アパート経営をより大規模に行っているのがリートだと考えるとイメージし易いかと思います。
リートは投資家から集めた資金で賃貸する建物を取得します。
リートは取得した建物の運営管理を行うことで賃料収入が得られます。

そして、リートは得られた賃料収入をもとに、投資した投資家の方へ口数に応じて配当金を支払います。配当金に支払い回数は、個々のリートにより異なります。
投資家からみますと、リートに投資をすることで、リートが保有する物件の間接的なオーナーとなり賃料収入を受け取るイメージになります。

しかし、リートは賃貸アパートのような住宅だけでなくオフィスビルやショッピングモール等の商業施設、倉庫、工場、病院などの物件を取得して、入居したテナントから賃料収入を受け取るものもあります。個々のリートの所有物件を見ますと、住宅に特化したリート、オフィスビルに特化したリート、商業施設に特化したリートなどそれぞれのリートごとに所有物件に特色があります。

また、リート自体は上場した会社のように、リートが発行する投資口(株式のようなもの)は日々取り引きされます。そのリートに投資した人が、急に現金が必要になった場合は、リート市場で保有している投資口を売却することで現金化が可能です。その点で、実物の不動産投資に比べると換金がしやすいという特徴がリートにはあります。

ただし、リート市場で日々取引されて投資口価額は変化しますので、購入した価額で売却できるわけではありません。売却するタイミングにより、「値上がり益」または「値下がり損」が発生します。

上場されているリートの投資口価額が変動する要因についてもう少し説明をしていきます。将来的にそのリートが保有物件の賃料収入の上昇が期待できると、将来の利益を見込んで、買いたい人が増え、価額は上昇します、逆に保有物件の賃料収入が将来的に下がる心配がある場合は、売りたい人が増え、価額が下落します。

また、リートと比較される他の金融商品(債券や株など)の利回りや値上がり益等が、リートに比べ、魅力的と思われた場合にもリートの投資口価額の下落要因になります。
逆にリートの運用利回りが他の金融商品より魅力的に思われた場合は、投資口価格は上昇要因になります。

最後のリートを使った資産運用の方法を説明させていただきます。方法は大きく2つになります。

1.個別のリートを購入する方法
2.リートを投資対象にした投資信託を購入する方法

複数のリートに分散して投資をしたい場合や、購入金額を小さくしたい場合は投資信託を活用した運用を考えるといいでしょう。ただし、投資信託の場合は保有期間中に信託報酬という費用がかかります。
個別リートへ投資した場合は、保有期間中の費用の発生はありませんが、少額で複数のリートへ分散して投資をすることができませんので、個々のリートが持つリスク(価額の変動要因)を考えながらの投資になります。

以上、リートの中身を中心に、リートが値動きする要因、2つの運用方法のメリット・デメリットについて簡単に説明をさせていただきました。

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