海外に行った場合の「海外療養費」ってどんなもの?【2011年 第8回】

【2011年 第8回】 海外に行った場合の「海外療養費」ってどんなもの? ~社会保険(健康保険)~

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節電の夏。今年は、休みをずらしてとる方も多いのではないでしょうか。
海外に行く時には、まず民間の旅行保険に加入することを考えるでしょうが、海外で病院にかかった場合、加入中の健康保険からも給付がされます。
意外に申請していない方も多いのではないでしょうか。

海外で病院にかかると健康保険から支給される?

海外で病院にかかるケースといえば、「歩いている時に、足をくじいた」「慣れない水を飲んで、下痢をした」「急に歯が痛みだした」等々、様々なアクシデントが考えられます。

ただ、医療機関にかかったからといって、病気やけがが、すべて、健康保険の給付対象になるわけではありません。
日本で歯が痛んでいたのに、わざわざ、海外の歯医者にかかるために行ったなど、「わざわざ」病院にかかった場合は、対象外です。
「やむを得ず」現地の医療機関を受診したという条件が必要となるのです。

原則として対象となるのは、「海外で、病気やけがで、やむを得ず、現地の医療機関で診療を受けた場合」であって「日本で、保険診療として認められている医療をうけたとき」です。

どうやって申請するの?

このコラムを読んで、「あの時、申請出来たはずだったのか」と納得していただいた方には、海外から帰ってきて、健康保険に治療費を還付してもらうためには、ちょっとした難関があります。
申請をすれば無条件に支給されるわけではなく、支給申請書と領収書(原本)、診療の明細書などの添付書類が必要です。
これらの書類ですが、時間が経過すると、揃えるのが大変なだけでなく、診療明細書を書いてもらい、翻訳するのも、更に大変な作業でしょう。

ただ、海外に行く前にあらかじめ準備しておけば、それほど、難関とは言えなくなります。
いきなり、現地の病院にかかると、病院独自の用紙しかないでしょうが、日本から、診療内容明細書の用紙を持参すると、外国語があまり得意でない方も、スムーズに意思が伝えやすいでしょう。

全国健康保険協会のHPでダウンロードできますので、参照になさってください。(海外療養費支給申請書)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat230/r58/

注意するのはどんな点?

申請は、海外から帰国後すぐでなくても構いません。
海外で医療費を支払った日から2年の時効がありますので、もし、以前、海外に行って、そのままになっていた領収書などありましたら、申請できます。

ここで、注意していただきたい点があります。
還付される医療費は支給が決定された日のレートとなりますので、外貨で支払った医療費がそのまま返ってくるわけではありません。
海外で医療機関を受診し、民間の海外旅行保険から給付がされても、日本で保険診療の対象となるものでしたら、かかった治療費は請求できます。

この海外に行った場合の療養費の申請書類も、海外への準備に付け加えておきたいものです。

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