個人型確定拠出年金【2015年 第4回】

【2015年 第4回 個人型確定拠出年金】 確定拠出年金 基本のき

宮一 幸子 ⇒プロフィール

「個人型」は、税金のメリットを活かしながら個人で始められる老後資金の積立方法です。「個人型」の加入者は、2015年7月末現在で約22万7000人。年々増加していますが、まだまだこの制度を知らない人が多いようです。

 

 

「個人型」に加入できる人

現在「個人型」に加入できる人は以下の2つのうち、いずれかに該当する人です。

1 20歳~60歳までの第1号被保険者(自営業者など)で、国民年金保険料をきちんと

納めている人

2 第2号被保険者のうち会社員の人(公務員ではない人)で、会社が確定拠出年金や企業年金(確定給付企業年金や厚生年金基金のこと)を実施していない人

 

1に該当する人は月額で68,000円を上限として自分で金額を決めて毎月積み立てることができます(国民年金基金に入っている人は個人型と合計で68,000円までとなります)。2に該当する人は月額で23,000円が上限となります。

 

加入できない人もいる

ところで、第3号被保険者の専業主婦等や第2号のうち公務員の人は現在(2015年10月)では加入することはできません。確定拠出年金の加入対象者を拡大するよう検討もされていますが、今後の動きに注目したいところですね。

 

積み立てる方法

まず金融機関(運営管理機関)を決めて確定拠出年金の専用口座をつくります。そして掛金を決めて積立商品を選びます。どの金融機関で積み立てても、いくら積み立てても、どの商品を選んでも、運用益は非課税です。

1の第1号被保険者の人は、掛金を自分で指定した口座から引き去りで確定拠出年金の専用口座に毎月拠出していきます。残高不足で引き落としできなかった場合には、その月は拠出金がなかったことになります。

2の会社員の人は自分の勤務先に申し出て、勤務先の協力により給与天引きで掛金を専用口座に毎月拠出してもらうか、勤務先を介さず自分の指定した口座から引き落としにするか選択できます。

 

手数料がかかる

「個人型」は金融機関に対する手数料を自分で負担することになります。掛金を1万円と決めて積立てる場合、1万円から手数料が差し引かれた金額、たとえば手数料が300円の場合は9,700円が実際の積立額になります。手数料は金融機関によって異なりますので、金融機関を決めるときにチェックしましょう。

 

所得控除が受けられ、税金が少なくなる

掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になります。なんといってもこれが大きなメリットですね。

たとえば、毎月68,000円ずつ積み立てたとすると、年間で81.6万円も課税所得が下がります。仮に税率をざっくり20%とすると約16万円も税金が少なくなります。

課税所得が少なくなることで税金が少なくなるのですから、自営業者等の人は確定申告の手続きを、会社員の人は年末調整の手続きを忘れないようにしましょう。

受け取りはどうなるの?

原則60歳以降になったら、70歳までの任意のタイミングで請求手続きをして年金として受け取ることができます。専用口座の年金資産を非課税で増やしながら取り崩して受け取ります。また障害状態になったときには年齢にかかわらず受け取ることができます(障害給付金)。もしも死亡したら残高相当分が遺族に支払われます(死亡一時金)。

老齢給付金、障害給付金は基本的に5年~20年の有期年金で受け取りますが、金融機関が定めるところにより、一時金として受け取ることもできます。有期年金で受け取る場合は、年金資産を受け取り終わるまでずっと口座管理にかかわる手数料がかかるほか、受け取る度に振込手数料がかかるため、一時金のほうがコストを抑えられます。

 

「企業型」だった人

「企業型」の加入者だった人で転職先に「企業型」がない場合、「個人型」に移換して運用することになります。税金のメリットを理解して活用していきましょう。第3号被保険者や公務員になった人は、現在の制度(2015年10月)では新たに掛金をかけることができません。手数料の低い金融機関を選んだり、手数料を意識した運用を心掛けたりしましょう。

 

50歳以上で新たに加入したい人は受給開始年齢を確認

確定拠出年金は10年以上加入していれば、60歳から受給できます。企業型に加入していて個人型に移換した場合は、企業型の加入期間も通算できます。10年に満たない場合は受取開始年齢が引き上がります。50歳代で新たに加入する人は受取開始年齢の確認をしてください。

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