自営業を始めるときの雇用保険制度活用法【2009年 第 12 回】

【 2009年 第 12 回 】自営業を始めるときの雇用保険制度活用法 社会保険

菅野 美和子(スガノ ミワコ)⇒プロフィール

雇用保険制度からの失業給付「基本手当」

日数に限りはありますが、退職後、次の仕事がみつかるまで受けられる雇用保険制度からの失業給付が「基本手当」です。

ただし、基本手当を受けるには条件があります。自己都合で退職した場合は少なくとも1年間は雇用保険に加入していなければ対象となりませんし、仕事をする意思と能力があり、積極的に仕事を探しているけれど、まだ就職先がみつからないことが条件です。

自営業はどうでしょう。実際に自営業という形で新しい仕事を始めているのですから、失業者ではありません。まだ開店前だから開店するまでは基本手当をもらおうと思っている人もあるようですが、自営業の準備を始めたときから、失業者ではなくなります。

つまり、退職前から準備し自営業を始めるときは、基本手当はもらえないと覚悟してください。これまでの保険料がもったいないと思えるかもしれませんが、雇用保険は、「貯蓄」ではく、「保険」です。失業という「保険事故」が起こらなかったということですね。

しかし、雇用保険制度には、自営業を始めた後に利用できるものがあります。

教育訓練給付

まず、教育訓練給付があります。教育訓練給付では、雇用保険加入期間が原則3年以上(受講開始時期に)の人が教育訓練給付対象講座を修了すると、かかった経費の20%(上限10万円)が支給されます。
これは退職後の受講開始でもOKです。退職後、1年以内に受講を開始しましょう。

これからの仕事に備えて、簿記を勉強しておきたいとか、パソコンのスキルをアップしたいなどという場合、教育訓練給付対象講座を受講するとよいでしょう。

再就職手当

退職後に事業を開始した場合も、一定の要件のもとに再就職手当が支給されることがあります。再就職手当とは、早く仕事が決まったことに対するお祝金のような性格を持っています。

その要件のひとつに、待期期間(ハローワークへ求職の申し込みをした日から7日間)後に事業開始準備をした場合という要件がありますので、退職前に開業準備をしていると該当しません。給付制限がある人は、さらに1か月経過後に事業開始の準備をしたことが要件となっています。

そんなに待つことができないという場合は、再就職手当はあきらめて、事業を進めていくというものよい判断だと思います。

なお、開業については、開業届や客観的に確認できるような書類が必要です。その他にも条件がありますので、対象となりそうな人は、ハローワークで確認してください。

受給資格者創業支援助成金

受給資格者創業支援助成金は、創業費用を一部助成される制度です。自らが創業し、創業後1年以内に人を雇って、雇用保険の適用事業主となった場合に、かかった費用の一部を助成金として受けることができます。なお、この申請は、退職後に計画届を出し、その後開業の届出をするなど、届出等の時期を間違うと対象になりませんので、早めに相談することをおすすめします。

このように、雇用保険からの給付金は、基本手当だけではないのです。退職後にも受給できる教育訓練給付や、自営業者を支援する制度がありますので、該当する場合は、上手に活用したいものです。

開業当初は、お金も必要で、資金繰りも大変なもの。助成金などの制度が利用できてよかったと思う人もいる半面、もっと早く知っておけばと悔しがる人もいます。
知っているか、知らないかが、その分かれ道となるのです。

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