今どきの歯医者さん事情【2009年 第 2 回】

【 2009年 第 2 回 】今どきの歯医者さん事情 歯を大切にする

福島 久美子(フクシマ クミコ)⇒プロフィール

歯医者さんというと、虫歯になってから仕方なく行くところ、というイメージが強いと思います。かく言う私も、必要に迫られ何年かぶりに本格的に通うことになったのですが、それまでは年1回の検診でお世話になる程度でした。

 

この機会にと久しぶりに新しく歯医者さんを探す中で、歯科技術の進歩や設備の向上もさることながら、単なる治療にとどまらず、治療の前の予防や、見た目の美しさも大切にするという流れがあることを知りました。

治療から予防へ

歯医者さんの診療科目の中に、「予防歯科」という項目のある医院をよく見かけるようになりました。予防歯科とは、歯の健康を脅かす2大疾患といわれるムシ歯や歯周病を予防するための検査や定期的なクリーニング、歯磨き指導やかみ合わせ調整などの処置をしてくれるものです。

これまでの「削って詰めて治す」から「予防する」ことに重点を移した予防歯科専門の歯医者さんも出てきており、その人の歯の状態に合わせた予防プログラムを作ってくれたりします。

前回のコラムで、ケアすれば歯貧乏にならないというお話をしましたが、近年の医療制度改革でも、「予防」がキーワードの一つになっています。

本格的な高齢社会に備えた医療費抑制がその目的の一つではありますが、予防することで健康で楽しく暮らせて、その結果私たちの身体にもおサイフにもやさしいのならば、一挙両得ということになるでしょうか。

WHO(世界保健機関)の、口腔保健の国際目標の一つにも「予防」という言葉がしっかり盛り込まれています。WHOは30年以上も前から虫歯予防に効果があるとして水道水のフッ素化を推奨しており、世界約56カ国で既に実施されていますが、日本ではまだ実施されていません。

これを予防歯科への対応の遅れとする見方もありますが、厚労省の進める80歳で20本の歯を残そうという8020運動や、家庭においてはフッ素やキシリトールなど虫歯予防に効く歯磨き剤やはみがきグッズの利用が広がっていることからも、日本でも予防に対する意識が高まりつつあることは確かなようです。

美しさへのこだわりへ

欧米では整った歯並びと白く美しい歯はステータスの一つと言われています。特にアメリカではその意識が強く、歯並びが悪いとよほど経済的に困窮しているのか、親の愛情が足りず十分にケアしてもらえなかったのか、自己管理ができていないなどのマイナスイメージが大きく、就職に差し支えることも珍しくないそうです。

長年アメリカに住み、最近一時帰国した知人の日本人女性いわく、久々に日本に戻ってきて気になるのが日本人の歯並びなのだとか。

日本では「八重歯はかわいい」など、少々の歯並びの悪さもチャームポイントと見る価値観がありますが、国際化の影響を受けてなのか、歯並びや美しさを追求するための審美歯科や矯正歯科への注目度は高まってきています。

白い歯だと顔色も明るく見えるからというメイク感覚でホワイトニングをしたり、かつては子どもがする、というイメージだった歯列矯正も、技術の進歩のおかげで、時間はかかるけれど大人でも可能なケースが増えてきているようです。

 リラックス空間としてのこだわりも

ドアを開けるとアロマの香り。流れるBGMはハワイアン。磨き抜かれた床にデザイナーズチェアの置かれた明るい待合室はリゾートホテルのロビーのよう。ファッション雑誌を読んで待っていると色鮮やかなアロハ姿のスタッフが笑顔で呼びに来てくれる・・一例ですが、エステサロンと見まがうこんな歯医者さんも出てきているんですね。

薬のにおいが漂う中、キィーンという歯を削る音だけをBGMに狭い空間でドキドキしながら順番を待つ、そんなイメージだった待合室もリラックス空間へと変わりつつあるのかもしれません。

以上、あくまで患者としての視点からではありますが、今どきの歯医者さん事情をご紹介いたしました。
次回は、歯医者さんをどう選ぶ?をテーマにお話しさせていただきます。

参考資料:
厚生労働省ホームページ  医療制度改革関連資料
財団法人8020推進財団ホームページ 国際口腔データバンク

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