知っておこう!歳の差夫婦の遺族年金のポイント その2【2013年 第11回】

【2013年 第11回 知っておこう!歳の差夫婦の遺族年金のポイント その2】
歳の差カップルのライフプランニング

川崎 由華⇒プロフィール

歳の差夫婦でも、特に夫が年上の夫婦は、平均余命が大きく違ってくることから、妻が独り身になった時の生活を考えることもあるでしょう。
経済面の漠然とした不安を解消するべく、今回は前回に続き、歳の差夫婦が知っておくべき遺族年金のポイントをお伝えします。

 

 

 

遺族年金 事例

前回のコラムでお伝えしたように、夫婦の間に歳の差があることが受給できる遺族年金額に影響することはありません。
しかし、同じ歳の差夫婦でも、経済的に支えられ、遺された家族は誰で何歳であったのかによって、遺族年金を受け取れる者が変わってきます。
前回の事例1、2に引き続き、歳の差夫婦の事例を挙げて、遺族年金について考えていきます。

~事例3~

30歳の専業主婦であるAさんの夫Bさんは50歳で会社員。2人の間に子どもはいません。
Bさんは再婚であり、前妻Cさんとの間には15歳の娘Dちゃんがいます。BさんはCさんに毎月養育費を振り込んでおり、娘Dちゃんとは年に数回だけ会っています。
もし、夫Bさんに万が一のことがあった時、遺族年金は誰が受け取るのでしょう。妻のAさんでしょうか?子どもがいる前妻Cさんでしょうか?それとも娘Dちゃんでしょうか?
まず、遺族年金の基本に立ち返って考えてみましょう。
前回のコラムでお伝えしたように、遺族基礎年金は母子年金を考えていることによるため、支給対象は子のある妻、または子に限ります。つまり、現在婚姻関係にあるのはAさんであるにも関わらず、現状としてAさんは遺族基礎年金の支給対象外です。CさんにはBさんの子がいますが、妻ではなく前妻なので支給対象ではありません。
では、Bさんの遺族基礎年金は、娘Dちゃんに支給されるのでしょうか?
支給されるには条件があります。
遺族年金は、年金加入者が死亡した場合に、これまでその者に経済的に支えられていた遺族が生活に困らぬようにと支給される年金です。
遺族であっても、「これまで経済的に支えられていた」、専門用語で言い換えれば「生計維持関係があった」ということが、遺族年金が支給される基準の大きな条件になるのです。
前妻Cさんに対し、夫Bさんは娘Dちゃんのための養育費の支払いをしています。
これは、娘Dちゃんを経済的に支えており、夫Bさんと娘Dちゃんの間には生計維持関係があったと言える可能性が大いにあります。養育費を振り込む際に利用している金融機関の通帳を提出することで、生計維持関係を証明する証拠になるでしょう。
また、夫Bさんと娘Dちゃんのように別居している場合、経済的援助だけでなく、定期的に会っていることも、遺族年金を支給するにあたり生計維持関係の条件の一つになっています。養育費を振り込むだけで、何年も会ったことがない絶縁状態になっている場合には、遺族年金は支給されないと考えておいてもいいでしょう。
しかし、遺族基礎年金はいくら生計維持関係が認められ、支給要件は満たしたとしても、前妻の子が前妻(子にとっては母親)と同居している際には支給停止とされます。娘Dちゃんも前妻Cさんと暮らしているので、遺族基礎年金は支給されません。
夫Bさんは会社員なので遺族厚生年金も支給されます。
遺族厚生年金は子のない妻も支給対象ですが、考え方としてまず遺族基礎年金の支給要件を満たす人に対して支給される仕組みになっているため、事例3では娘Dちゃんに遺族厚生年金が支給されることになります。残念ながらAさんは、遺族厚生年金も受け取ることができないのです。
よって、事例3の場合、Aさんは遺族年金を全く受け取ることができず、娘Dちゃんが遺族厚生年金のみ受給できるのです。
しかし、Aさんは今後一切遺族年金を受け取れないわけではありません。
娘Dちゃんが3年後、18歳になって最初の3月31日が来たら遺族基礎年金の支給要件から外れると同時に、遺族厚生年金の支給もストップします。そのかわりに遺族厚生年金の支給権はAさんに渡り、再婚しない、または年収850万円以上の収入を得ない限り、Aさんはこの先受給していくことができます。
このように、歳の差婚をした場合でも、相手が再婚、そして前妻との間に18歳未満のお子さんがいた場合には、婚姻関係にあっても前妻の子が18歳になるまで遺族年金を受け取ることができません。前妻の子が小さければ小さいほど、妻が受け取れない期間が長くなります。
遺族年金を受け取れない期間があることを知ったうえで、夫に万が一のことがあった場合、妻はどのように生計を立てていけばいいのかを考える必要があります。
受け取れない期間だけ生命保険の保障額を増やしておく、その分の預貯金は確保しておくなど、遺された妻が困ることのないようにしておきましょう。
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