個人型確定拠出年金(iDeCo)は理解して使おう-後編:お金の流れ編 【2016年 第12回】

【2016年 第12回 個人型確定拠出年金(iDeCo)は理解して使おう-後編:お金の流れ編】がんばる転勤族の妻たちが「お金」をもっと好きになるお話

松原 季恵(マツバラ キエ)

 

2017年1月から個人型確定拠出年金(以下、iDeCo:イデコ)は制度改正により、利用対象者が拡げられることで注目されています。
第11回ではiDeCoの制度の内容についてお伝えしました。
今回は、iDeCo加入から受け取りまでのなかで、自分で判断しなければならない4つのターニングポイントとその注意点を見ていきます。

 

※個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)の制度の内容については、こちら

iDeCoには4つのターニングポイントがある

iDeCoは会社員か自営業者かなど、働き方によって細かい制度の内容が異なりますが、大まかな流れは共通して以下のようになっています。

このように、まずは①どこの金融機関にするか、次に②どの商品に積み立てるか、③いくらずつ積み立てるか、そして受け取る段階では④どの方法で受け取るか、この4つを自分の判断で決めていくことになります。
それぞれの判断で実際の手取り額が変わってきますので、まさにこの4つはiDeCoのターニングポイントです。

では、各々の判断でどのように違いが出てくるのでしょう。

 

①どこの金融機関にするか

iDeCoでは利用する金融機関を自由に選べますが、金融機関によって手数料や取扱商品が異なります。
手数料は抑えられるか、自分の投資したい商品があるか、利便性はどうか等を確認しましょう。

ここではある3つの金融機関で加入時から受け取りまでに掛かってくる手数料(平成28年12月14日現在)を見てみます。

iDeCoで基本的に必要な手数料は上記図表の青色の枠で囲んだ部分です。
このように、加入時・運用時・給付時・変更時で手数料がかかります。
仮に30年間積み立てた場合の加入時と運用期間中にかかる手数料の合計を求めたのが、図表右端の行の金額です。
このように選んだ金融機関で大きく異なります。

 

また、運用する商品にかかる手数料もあります。
特に運用にかかる手数料(信託報酬)は積立額が増えるほど支払う金額が増えます。
先の3つの金融機関のラインナップでも純資産総額に対して年0.16%~2.03%の手数料商品があり、選んだ商品によって10倍以上の手数料の差が出てきます。

 

iDecoは長期運用が基本になりますので、管理にかかる手数料は安いに越したことはありません。
その中で商品ラインナップを確認し、自身が投資したいと思う商品の手数料が比較して安く提供されている金融機関を選んでみてはいかがでしょうか。
ラインナップは多ければ良いというものではなく、手数料の抑えられた商品が確保されているかが重要です。

 

②どの商品に積み立てるか

商品にかかる手数料については前段でお伝えしました。
ここでは商品の利回りによってどのくらいの差が出るかを見てみましょう。
仮に年利回り0.01%、2.0%、5.0%の3つのケースで見ていくと、以下のグラフのような推移になります。

 

このように利回りによって受け取れる金額に差が出ます。
投資信託のように元本の保証されない商品であれば利回りは運用の結果でしか分かりませんが、現在(平成28年12月14日)の定期預金金利は0.01%程度ですので、これだけで運用したら受け取る利息より手数料の方が高くなってしまいます。

初めての投資だと、リスクをとった運用が怖いと感じる人もいるでしょう。
ただ手数料等を考慮したときある程度の利回りが必要となるので、最初のうちは少額で、あるいは安全性の高い商品に比重をおいた分散投資で慣れていき、徐々に積極的な運用も含めていくのも一つの方法です。
定期的に見直しをして、自身や時代に合わせた運用を行いましょう。

 

③いくらずつ積み立てるか

積み立てる金額は働き方などの属性によって上限額が定められています。
例えば専業主婦であれば月額2.3万円、会社員であれば月額1.2万円~2.3万円(企業型の確定拠出年金制度による)、自営業者であれば月額6.8万円です。
この上限額内で自由に設定ことができますが、積み立てる金額によって所得控除ができる金額も異なります。
つまり、たくさんの金額を積み立てた方が控除額を増やすことができ、支払うべき税金を少なくできます(所得控除については前編参照)。
年間の少なくなる税金は以下のようになります。

積立額が多く所得税率が高いほど多くの支払うべき税金を減らすことができます。
転勤族家庭では妻がパートや専業主婦の場合が少なくありません。
その場合は所得税率の高いご主人でまず積み立てをするなど、家族トータルで考えましょう。
また、iDeCoは原則60歳になるまで引き出しができません。
生活費や教育資金、住宅資金など60歳までに必要なお金を考慮して積立額を決めましょう。

 

④どの方法で受け取るか

60歳以降になって受け取りをスタートする場合、「年金」「一時金」「年金と一時金との併給」の3通りがあります。
金と一時金でどのように違うのでしょうか。

年金で受け取った場合は、所得税だけでなく住民税や社会保障制度に関わる支出(健康保険料など)が増える場合があります。
また、一時金の場合は、企業の退職金がある程度大きいと予想される場合には大きな税金がかかってしまうことがあるので、積立額を大きくしすぎないことが得策です。

受け取れる金額だけでなく、それにより影響がある税金や社会保障制度まで確認をして受け取り方法を決めましょう。

 

転勤族の妻はどう判断する?

転勤族は自分たちの意思によらない転居が出てきます。
ライフプランが立てにくい一面がありますので、それを考慮した判断が重要です。

例えば、転居により転勤族妻は働き方が変わる可能性が高いです。
特に、専業主婦など所得税の支払いがない場面が出てきたら、それなりに積極的な運用が必要です。
世帯収入が減ったり住環境が変わったりすることで、積み立てできる金額も減らさざるを得ないこともあるでしょう。
転居のタイミングを、今後の働き方も含めて家族で運用する商品や積立額を見直すタイミングにしてみてはいかがでしょうか。

金融機関選びでは基本的にネットや電話で取り引きしますので、場所は問われません。
ただし、その対応の質に差があります。
金融機関によっては窓口対応をしてくれる場合もあります。
複数のコールセンターに何度か問い合わせてみて、安心できる機関を選びましょう。

 

4つのターニングポイントの判断で、その後の手取り金額が変わります。

iDeCoの優遇された制度面だけでなく、手数料や税金などデメリットの確認が必要です。
これにはかなり広い範囲の知識を必要とされますので、4つの判断は専門家と相談しながら決めるのが良いでしょう。

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