これからのFP相談【2016年 第12回】

【2016年 第12回 これからのFP相談】最近のFP相談事情と今後

長谷 剛史 (ハセ タケシ)

第11回では職業別FP相談事情とポイントの4回目として、自営業の方を取り上げてご紹介しました。
最終回の今回は「最近のFP相談事情と今後」の総まとめとして、私が感じている「顧問FPの時代が近づいている」ことに関して書いてみたいと思います。

 

先行き不透明な時代

バブル崩壊後、日本は長期低迷期に入り「失われた20年」からさらに年数を積み重ね、この間、多くの政権が様々な景気浮揚策を実行に移したにも関わらず、現在でも長期低迷期を脱したとは言い難いのが現状です。
バブル崩壊前は「今日より明日は良くなる」と誰もが信じ、世界第2位の経済大国にのしあがった訳ですが、バブル崩壊後は「今日より明日は悪くなる」と思うようになりました。

少子高齢化が加速をつけて進んだことにより戦後作り上げた社会保障制度が疲弊し、グローバルに展開している日本企業は、昔ほどの勢いや余力がなくなっています。
具体的には、社会保険料や消費税などの負担が重くのしかかり、年功序列や退職金が不明確になり、将来が見通しにくくなっています。
国も借金が増加していますので、昔のような国と会社がしっかりバックアップしてくれた時代は終わりを告げました。

また、国や会社に頼れない時代ですので「自己責任」という言葉が多く使われるようになりました。
ただ、多くの日本人は学校で金銭教育を受けていないため、「自己責任」と言われてもどうしたら良いのかわからないという方が多いのではないでしょうか?
先行き不透明な時代を迎えていることを理解し、ネットで色々と調べ始めても情報が多すぎて結局どうしたら良いのかと思い悩むことになり、誰かに相談したいという欲求が出てくるのではないでしょうか?

ここで登場するのが、バブル崩壊前はさほど出番がなかったファイナンシャルプランナー(=FP)です。
FP資格を活かして金融機関や不動産業者に勤めているFPではなく、FPを本当に「業(なりわい)」として活動しているFPです。
保険や投資信託などの金融商品の販売、住宅の販売や仲介だけではなく、相談者に寄り添い相談者のライフプランに基づき相談者のためにアドバイスを行うFPも求められていることを感じています。

さらに、私がFP事務所を開業した10年前は、保険や資産運用又は住宅ローンなど単発の相談が多かったのですが、現在ではほぼライフプランに基づいたトータルでのアドバイスを求められる方がほとんどになりました。
FP側からしても相談者の背景迄ヒアリングした上でないと適格なアドバイスをすることが難しいという側面があります。

そして、FPへトータルで相談する際には、家族構成や預貯金の状況、お給料など個人情報に関することを全てお聞きすることになりますので、相談するFPを何度も変更するのは得策ではなく、信頼できるFPが見つかれば長いお付き合いになるのは必然だと思います。
ですので、中小企業が税理士と顧問契約を結ぶように、個人がFPと顧問契約を結ぶことが当たり前になる時代が近づいているのではないでしょうか?

「これからのFP相談」は参考になりましたでしょうか?
アメリカではFPが活用される場面が少なくありませんので、遠くない将来、日本でも顧問FPが当たり前という時代が訪れるのではないでしょうか?

先行き不透明な時代、人生相談も含めトータルでのアドバイスができ、一生お付き合いができるFPを見つけて欲しいと思います。
最終回までこのコラムをお読みいただき誠にありがとうございました。感謝しております。

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