成年後見人ってなあに?【2013年 第1回】

【2013年 第1回 成年後見人ってなあに?】成年後見人への道

三次 理加 ⇒プロフィール

私が初めて「成年後見制度」の存在を知ったのは、今から8年ほど前のこと。当時、老人ホームに入居していた祖母が横領に遭いました。発覚時、祖母は寝たきりの状態。横領された金銭を取り戻すため、家庭裁判所に赴き成年後見の手続きをしたのがきっかけです。

成年後見制度ってなあに?

成年後見制度とは、一言でいうと「判断能力が不十分な人を保護する制度」です。「成人」で、知的・精神障がいや認知症等の精神的障がいにより「判断能力が不十分な人」を対象とします。身体上の障がいのみで精神的障がいを有しない人や未成年者は、対象外となります。

 

成年後見制度は、ノーマライゼーションの思想に基づき、判断能力が不十分であっても、本人の自己決定権を尊重し、残存能力を活用しながら保護していくという考えの下、2000年4月に始まりました。大きく「法定後見制度」と「任意後見制度」に区分することができます。(図表1)

 

法定後見制度

法定後見制度は、本人の状態に応じて「成年後見」「保佐」「補助」の3つがあります。(図表2)制度を利用するためには、家庭裁判所に後見(保佐、補助)開始の審判の申し立てを行います。

 

1)成年後見

成年後見は、法律行為を行った結果が、自身にとって有利か不利かを判断できない方、つまり「判断能力が全くない方」を対象とします。たとえば、日常の買い物が全くできない等の状態の方が成年後見の対象となります。

家庭裁判所の審理を経て、後見開始の審判がなされると同時に後見人選任の審判が行われ、後見が開始されます。

 

後見人には、被後見人(=本人、判断能力がほとんどない人)の財産管理についての全般的な代理権(※)、取消権が与えられます。取消権とは、被後見人が不十分な判断能力に基づき行った法律行為を取り消すことができる、という権限です。ただし、生活必需品の購入等、日常生活に関する行為は、除外されます。

 

また、被後見人となると、医師や税理士などの資格、会社役員、公務員等の地位を失うほか、印鑑登録が抹消されます。

なお、成年後見を「後見」、成年後見人を「後見人」と呼ぶこともあります。

※居住用不動産の処分に関しては、家庭裁判所の許可が必要。

 

2)保佐

保佐は、法律行為を行うことはできても、たとえば家を新築するなどの重要な財産行為(民法13条1項、後述)について、一人で行うには不安があり、常に他人の援助を必要とする方を対象とします。

家庭裁判所の審理を経て、保佐開始の審判がなされると同時に保佐人選任の審判が行われ、保佐が開始されます。

 

保佐人には、被保佐人(=本人、判断能力が著しく不十分な人)が行う重要な財産に関する行為について同意権、取消権が与えられます。重要な財産に関する行為とは、民法13条1項にあげられる、借金,訴訟行為,相続の承認や放棄,新築や増改築等の事項を指します。これらの行為を被保佐人が行うためには、保佐人の同意が必要となります。また、保佐人の同意なく被保佐人がこれらの行為を行った場合、取り消すことができます。

 

なお、被保佐人となると、医師や税理士などの資格、会社役員や公務員等の地位を失います。

 

3)補助

補助は、法律行為を行うことはできても、たとえば家を新築するなどの重要な財産行為(民法13条1項、前述)について、一人で行うことが不可能ではないが適切に行えない恐れがあり、他人の援助を受けたほうが安心である、というような方を対象とします。

 

家庭裁判所の審理を経て、補助開始の審判がなされると同時に補助人選任の審判が行われ、補助が開始されます。成年後見や保佐と異なり、補助開始の審判の際には、「本人の同意」が必要です。また、補助開始の審判を申し立てる際、補助人に同意権または代理権を付与する審判の申し立てを併せて行う必要があります。

 

同意権付与の審判がなされている場合、その認められた範囲の行為について、被補助人が補助人の同意なく行った場合、取り消すことができます。また、代理権付与の審判がなされている場合、補助人は、その認められた範囲の行為について代理権を行使することができます。

 

 

任意後見制度

任意後見制度は、将来、判断能力が不十分となった時に備えるための制度です。判断能力があるうちに、本人と任意後見人受任者との間で任意後見契約を締結します。「任意後見人受任者」とは、任意後見契約を締結した相手方のことです。本人の判断能力が不十分となった場合、任意後見人が契約内容に従い本人の財産管理等を行います。

 

任意後見制度と法定後見制度の違い

「任意後見制度」が後見される本人の意思に基づく「事前的」な契約であるのに対し、「法定後見制度」は、事後的なものであるといえます。また、「任意後見制度」では、本人が任意後見人を選ぶことができます。

一方、「法定後見制度」は、成年後見(保佐・補助)人を家庭裁判所が選任します。そのため、本人や親族が希望する通りの成年後見(保佐・補助)人が選任されるとは限りません。

 

次回は、「成年後見人の権限と義務」です♪お楽しみに。
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