日本国債は大丈夫か?【2014年 第5回 】

【2014年 第5回 】日本国債は大丈夫か?。知っておきたい、投資・経済・金融の考え方

有田 宏 (アリタ ヒロシ)⇒ プロフィール

 

先進国では最悪の日本財政。はたして日本財政の破たんはあり得るのでしょうか?そして破たんが現実のものとなった時には…。

 

 

 

 

グラフ1は2004年から2014年までの政府債務のGDP比をG7各国で比較したものです。左側から5番目のとびぬけて高いところが日本です。2014年末でGDPの240%以上(IMF推計)にものぼる予想です。2番目に悪いのがイタリアの130%。日本が大差をつけての1位です。

でも、日本政府は莫大な資産を持っているのでは?確かに、その通りです。資産と言っても固定資産は実際には売却は困難です。橋や道路、自衛隊の装備を売却する訳にはいきませんから。当然、いくらで売却できるか、政府の固定資産評価額は売れる価格と相当な乖離をしている可能性が有ります。
一方、金融資産も大量に持っています。金融資産はとりあえず売却可能として、金融資産を控除した純債務で見てみましょう。

実は純債務で見ても、G7の中で日本は最悪です。以前はイタリアが一番悪かったのですが2009年に日本が追い抜いています。
政府は借金を抱えるのは当たり前としていて、日本は多すぎると思います。少子高齢化でこれから社会保障費は増え続けます。そのような条件のもとで日本の財政は維持可能かどうか?私は不可能と考えます。
確かに、今は国債の大半が国内で消化されています。それも少子高齢化で貯蓄率が下がり続けると国内での消化が難しくなります。
増税を行えば良いのですが、増税も無制限には出来ません。増税も度を超すと経済の沈滞化、資本の国外への逃避、それによって、むしろ税収が減ることもあり得ます。
インフレによって借金の実質価値を目減りさせることも考えられます。しかし、インフレは金利の上昇を引き起こします。今は金融緩和で日銀が金利を抑えていますが、はたして、それがいつまで維持できるかどうか?金利の上昇は政府の国債利払い額を増やしますので、インフレによる借金の実質価値の目減りと、金利上昇の競争になります。

やはり順当な道は、財政再建すなわち増税と成長戦略による税収の増加と歳出削減を組み合わせるしかないと考えます。

 

 

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