最低限知っておきたいお金の「知識」 ~金融商品のトレードオフの関係~ 【2013年 第5回】

【2013年 第5回 低限知っておきたいお金の「知識」 ~金融商品のトレードオフの関係~ 】発達障がいの子をもつ家庭のためのファイナンシャル・プランニング

平野 厚雄(ヒラノ アツオ)⇒ プロフィール

このコラム連載は、ファイナンシャルプランナーとして、社会保険労務士として、発達障がいを持つ子の父親として、私が何を感じ何をしてきたのか?そして、発達障がいを持つ子の親が知っておくべきことは何か?という視点で執筆していきたいと思います。

 

 

 

最低限知っておいていただきたいお金の知識

障がいを持つ子が生まれると色々なことがあります。事実としてお金もかかることがたくさんあります。

例えば、聴覚過敏の発達障がいの子は、電車に乗ることが困難な場合があります。そうなると必然的に移動は車を利用することが多くなってしまいます。それは家計的にみれば車の維持管理費やタクシー代等が発生してしまうことを意味しています。そのような状況下で、「お金の知識がない」ために損している場合ではありません。

そこで、今月は、発達障がい児を持つ親御さんが、最低限知っておいていただきたいお金の知識をお伝えしたいと思います。

発達障がい児を持つ親御さんに、あらためて考えていただきたいのですが、そもそも「お金」ってなんでしょうか?私たちは働いたり運用したりした結果、お金を手に入れ、そのお金を使ってものを購入したり、サービスを購入しています。

 

何を申し上げたいかというと、ここでまず、「お金」についてはっきりさせていただきたいのです。「お金」は「手段」であって「目的」ではありません。お金を「貯める、運用する」ことが目的でなく、自分のライフプランを達成するために「使う」ことが目的なのです。

つまり、「手段」なのです。

ファイナンシャルプランナーとしてご相談を受けていると、貯めたり運用したりすることが目的になっているような方が大勢いらっしゃいます。そのような方には、まずお聞きします。

 

「そのお金を貯める目的は何でしょうか?」

「そのお金で自分の人生においてどのようなことを達成されたいのでしょうか?」

 

例えば、日本FP協会が発行している「くらしとお金のワークブック」という本には、家計の資産運用について具体的な金融商品を選ぶ際には、「使う」ということを意識づけしております(図1参照)。

つまり、「お金」について考えるときは、必ず出口である「使う」ということをしっかりと意識していただきたいということです。

 

 

 

 

 

低金利の現状もあって預貯金でもらえる利息は雀の涙。したがって、マネー雑誌には高収益が期待できる株や投資信託、金、J-REIT等の金融商品の特集記事が数多くあります。金融商品を選ぶ際、もちろんその個別の金融商品の知識を知っていただくこともとても大切ですが、それよりも前に、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。それが、金融商品の3つの特性とその関係性です。

 

金融商品には「流動性」「安全性」「収益性」という3つ特性があります。

 

・「流動性」・・・どれだけ素早く現金化できるのか?

万が一の時、緊急で現金が必要になった時、すぐに解約や引き出すことができる金融商品。

・「安全性」・・・投資した金額が減る可能性があるのか?

原則、元本割れがない金融商品。この場合、預入先の破たんなどによる元本カットは除きます。

・「収益性」・・・元本がたくさん増える可能性があるのか?

投資した金額が、大幅に増える可能性のある金融商品。大幅に増える可能性があるということは、その反対に減る可能性もある。

 

この3つ特性はお分かりいただけましたでしょうか?

これからどの金融商品を選ぶ際にも、ぜひこの3つの特性について分析するという視点を持っていただきたいと思います。また、必ず知っておいていただきたいことは、この3つの特性をすべて備えている金融商品は世の中に存在しない!ということです。

そして、この関係性のことを「トレードオフの関係」といいます。

 

例えば、使いたいときにすぐに現金化できて(流動性が高くて)、預けておけば2倍、3倍に元本が増える可能性が高くて(収益性が高くて)、その元本が減ってしまうこともない(安全性が高い)という金融商品は無いのです。

そんな万能な金融商品が存在しているとしたら、何も迷わずにその商品を購入すれば良く、資産運用についていろいろ悩んだり、分析したり、お金を払ってプロに相談したりしなくてよいはずです。

 

したがって、金融商品を選ぶ際にはまず「トレードオフの関係」を理解し、目的を明確にし、3つの特性の中で、何を最優先するのかを決めていただきたいと思います。

 

                                  次月へつづく。
<Fight4uの紹介>

 

「Fight4u」は、自閉症等の発達障がい児・者のお父さん等のランナーもしくはランナーのサポーターの方を中心に組織されたグループ「Run4u」の兄弟グループです。「Fight4u」では、格闘技を通じ社会に対して「発達障がい」についてのメッセージを発信しています。「Fight4u」のコンセプトは以下の5つです。

 

(1)格闘技を通じて健康を維持・向上しましょう!

(2)発達障がいに関する理解と支援を求めるメッセージ付きのTシャツや、パンツ、スパッツ、胴衣にロゴをつけて、社会にメッセージを発信しましょう!

(3)障がいのあるなしに拘わらず、誰もが活き活きと輝き、豊かに暮らせる社会「インクルージョン社会」の実現をめざしましょう!

(4)子どもを守るため、親御さんも強くなりましょう!

(5)格闘技を通じて、親子関係を深めましょう!

 

この「Fight4u」は格闘家だけが対象ではありません。格闘技は見る専門の人、昔格闘技をやっていた人、子どもに格闘技をやらせたい人、格闘技を通じて健康になりたい人、格闘技に興味がある人等、何らかのかたちで格闘技に関係している人、興味を持っている人であれば歓迎です。この「Fight4u」の活動にご興味がある方は、以下のHPよりお問い合わせください。

「FP社会保険労務士事務所 柔コンサルティング http://www.yawara-bjj.jp/

 
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