フラット35Sエコの活用法を考える【2012年 第1回】

【2012年 第1回】 フラット35Sエコの活用法を考える
– ケース別コラム – 住宅ローン

奥田 知典(オクダ トモノリ)⇒ プロフィール

 

2011年9月、惜しまれつつ終了したフラット35Sが、装いも新たに再登場。しかし、従来よりは使い方が難しいようです。今回は、フラット35Sエコの活用法について考えてみたいと思います。

こんにちは。昨年より「住宅ローン」コラムを担当しております、ファイナンシャルプランナーの奥田知典です。今年も引き続き、住宅ローンに関する様々なお話をしていきます。より実践的な話をどんどんしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

■復活したフラット35S その中身とは…

昨年9月末、好評のうちに受付を終了した住宅金融支援機構「フラット35S」。全期間固定金利、かつ当初10年間の金利を1%優遇してくれる破格の条件で、日本の住宅需要を支えたのは記憶に新しいところです。その後多くの復活を望む声を受け、一部形を変えて昨年11月、フラット35Sは復活を果たしました。ただ、従来とは大きく内容が変わっています。まずは、その中身を詳しくみてみましょう。

今回復活したフラット35Sは、その認定基準によって以下の4パターンに分類されます。

○フラット35Sエコ (金利Aプラン)  ⇒当初5年間 年▲0.7%
6年目以降20年目まで 年▲0.3%
○フラット35Sエコ (金利Bプラン)  ⇒当初5年間 年▲0.7%
6年目以降10年目まで 年▲0.3%
○フラット35Sベーシック(金利Aプラン)⇒当初20年間 年▲0.3%
○フラット35Sベーシック(金利Bプラン)⇒当初10年間 年▲0.3%

※東日本大震災の被災地は、フラット35Sエコ の当初5年間は 年▲1%

昨年9月までのフラット35Sに比べると、省エネルギー性に対応した住宅、及び長期優良住宅についてはメリットを残すものの、金利優遇を受けられる期間と、優遇幅は圧縮されました。また、耐震性、バリアフリー性、耐久性、可変性については、金利優遇幅が年▲1%から年▲0.3%へと減少し、メリットが薄れたともとれる内容となっています。

■フラット35の果たす役割を考える

と、金利優遇メリットが薄くなったというだけで、フラット35の魅力がなくなったというのは、極論というものです。そもそもフラット35の最大のメリットは、『全期間固定金利』を『低金利で』提供してくれるということ。それにより、金利上昇への不安を回避し、毎月決まった金額を、確実に返していく返済計画が組めるというのが、最大のメリットなのです。よく、変動金利ローンとフラット35を比較して、「変動金利の場合だとこれだけ支払い負担が軽くなります!」ということをうたう輩や住宅ローン本を見かけますが、論点がずれていると言わざるを得ません。フラット35は、いわば住宅ローンに、金利上昇へ備える保険が付いているようなもの。そのフラット35の金利を、更に優遇してくれるという訳ですから、例え0.3%と言えどメリットは少なくないのです。

■フラット35Sエコ の活用法とは?

とはいえ、どうしても見た目の金利、当初返済額の違いから、変動金利ローンに比べてフラット35Sエコは多少の割高感があるもの否めません。なにより、認定基準に対応する住宅設計にする必要がありますから、通常の住宅に比べて施工にかかる費用が増えるという事実もあります。(一般的な木造在来工法で50~100万円程度違うといわれます)

したがって、フラット35Sエコを利用する場合は、金利優遇ありきではなく、以下のポイントを参考に、利用を検討いただくのがよいと思います。

① ライフプランをまず行い、全期間固定金利のフラット35を利用するメリットの有無を判断する。
⇒金利上昇リスクが不安な人、収支バランスに余力のない人は、フラット35が無難。

② 自分達が選んだ建築会社、ハウスメーカーの住宅が、フラット35Sエコに適合する仕様か、適合させるのに追加費用が必要であれば、その費用は許容範囲かを調べる。
⇒こだわりの木造住宅の場合、フラット35S仕様にするために必要以上の補強をし、風合いを犠牲にする場面も。建築コストも踏まえ、総合的に判断する。

③ ①②が合致するのであれば、フラット35Sエコを利用する。合致しない場合は、優先順位を決め、利用の可否を判断する。

なお、フラット35Sエコ に認定されない住宅が、省エネ対応外住宅ということではありません。長期優良住宅もそうなのですが、それらはあくまで国土交通省の定める一定の基準をクリアするかどうかで認定の可否が決まるものであり、全ての住宅に該当する訳ではありません(…古民家や寺社建築物は長期優良住宅認定を受けていませんよね…)。
フラット35Sエコ が適用できないからといって、性能の劣る家ということでは決してありませんので、その点もあわせてふまえ置きください。

大切なのは、住宅ローンは金利で選ぶのではなく、欲しいマイホームの内容と予算、それをふまえたライフプラン結果から選ぶということ。条件が合致する人は、ぜひフラット35Sエコのメリットを活かし、あんしんの住宅ローンプランを実現しましょう。

なお補足ですが、その他にも、フラット35独自のメリットとして、勤続年数の縛りがなく、転職・転籍後1年未満でも借入出来る可能性があることや、親居住型ローンの設定があること、審査金利が変動金利ローンに比べ低いこと等があげられます。ライフプラン、住宅取得プランに合わせて、フラット35、フラット35Sエコを活用するという発想も、お忘れなく。

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