介護保険サービス【2013年 第5回】

【2013年 第5回 介護保険サービス】高齢期の介護とすまい

岡本 典子 ⇒プロフィール

2000年に介護保険制度が創設され、利用者数は年々増え続け、現在では500万人を超えています。さまざまな介護サービスが用意されていますが、上手に利用することができれば家族の身体的、精神的、経済的負担が軽減されていきます。介護保険制度の利用にあたりそのポイントを見ていきます。

 

 

 

 

 

 

 

介護保険サービスを利用できるのはどんな人?

介護保険は医療保険と異なり、誰もがすぐに使えるものではありません。介護保険の被保険者となれるのは、65歳以上の高齢者と、40~65歳未満
で、介護保険の対象となる老化が原因の16種類の特定疾病(※)により介護が必要と市区町村から認定された人です。
介護が必要になると、本人、家族、または居宅介護支援事業所(ケアマネージャーさんがいるオフィス)や介護保険施設が代行して、市区町村の介
護保険の窓口、もしくは地域包括支援センターに申請書を提出します。すると、調査員が自宅などを訪問し、本人や家族から72項目の聞き取り調
査を行います。特記事項があれば報告し、介護日誌やメモをつけている場合は提出します。その後かかりつけ医に受診し意見書を書いてもらいま
す。それらを基にコンピューターによる第一次判定、介護認定審査会による第二次判定を経て、要介護度が決定します。通常であれば30日以内に認定証が自宅などに郵送されてきます。万が一決定に不服があれば申立を行うこともできます。
実際介護サービスを利用するには、ケアマネージャーさんにケアプランを作成してもらい、サービス事業者と契約しなければなりません。

そこから契約した介護サービス利用がスタートします。

1割負担で介護サービスはどれだけ使えるか

身体状況や家族状況により、在宅介護か施設介護を選択しますが、要介護度別に1割負担で利用できる限度額が異なります。

 

 

特に在宅介護の場合は、要介護者の状況に合わせて、限度額内でデイサービスやショートステイ、訪問看護、訪問介護などを組み合わせますが、もし、使い勝手がよくなければ変更するなど、要介護者と家族にとって一番使い勝手がよく、家族介護が楽になるようなケアプランを探ります。
「介護サービスの使い勝手はケアプラン次第!」もっと言えば「ケアマネ次第!!」です。

ケアプランは自分で作成することも可能ですが、実際99%以上はケアマネージャーに依頼しているのが現実。ケアマネ―ジャーは福祉系出身者と医療系出身者がいて、それぞれ得意分野があります。例えば医療依存度が高く、施設系に詳しいケアマネージャーを望む場合は医療系出身者がベスト。いずれにせよ、親身になってくれる相性のいいケアマネを見つけられるかが、よい介護を受けられるかどうかのポイントです。

 

利用者負担が高額になったときは・・・

介護保険サービスの利用者が同じ月内に受けた在宅サービス、または施設サービスの利用者負担合計が
「利用者負担の上限」を超えた場合、申請により超過分が高額介護サービス費として支給されます。ま
た、住民税世帯非課税の人は、所得に応じて個人単位の上限額が設定されます。

また、介護保険と医療保険の両方の限度額を適用したのち、世帯内で1年間の利用者負担額を合算し、下記の限度額を超えた場合は、申請することで超過分が「高額医療合算介護サービス費」として支給されます。

 

上記2つの減額制度は、申請しないと使うことができません。
知らないで損をすることがないよう、アンテナを張り情報収集しておくことは大切です。
(※)特定疾病とは介護保険の対象となる老化が原因の病気で、脳血管疾患、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、初老期認知症、早老症、末期がんなど16種類が指定されています。

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