個人年金保険を利用する【2013年 第5回】

【2013年 第5回 個人年金保険を利用する】
自営業者 40歳からのセカンドライフ計画

恩田 雅之(オンダ マサユキ)

前回(国民年金基金、個人型確定拠出年金)前々回(国民年金)と公的な年金についてみてきました。今回は、公的年金を補完する年金として「個人年金保険」の種類や仕組みについてみていきます。

 

 

はじめに

民間の個人年金保険は、リタイア後の生活費を考えた時に、国民年金や国民年金基金などの公的年金だけでは不足する部分を補う保険になります。

生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(平成22年度)によると、夫婦2人がゆとりのセカンドライフを送るための月に生活費は36.6万円という調査結果がありますが、個々のご夫婦の価値観によって必要になる生活費は変わります。

ですから、ライフイベント表やキャッシュ・フロー表を作成することで、リタイアメント後の年間収支や貯蓄残高の推移をシミュレーションし、不足する金額を知ることから始めることが必要になります。それでは、個人年金保険の種類や特徴についてみていきましょう。

1.保険料の支払い方法

個人年金保険は、生命保険会社、銀行、証券会社等で取り扱っています。

保険料の支払い方法は、毎月保険料を支払うタイプと一括で支払うタイプに大別されます。

銀行や証券会社等で扱っている個人年金保険は、ほとんどが一括払いのタイプになります。

 

保険料を毎月支払うタイプの保険は、保険会社や共済、かんぽ生命など取り扱っています。

毎月の保険料は、保険料払い込み期間と受取る年金額、受取方法により計算されます。

払込期間は60歳までのものが一般的です。また、加入年齢のついては、個々保険会社、保険商品により異なりますので、確認は必要になります。

2.年金原資について

 

恩田さん5月分イメージ画像毎月保険料を支払うタイプ、一括払いで支払うタイプとも、契約時に毎月の年金額確定している確定年金タイプと年金を受取るまでの期間(運用期間)の運用によって年金原資が増えたり減ったりする変額個人年金タイプの2通りあります。

また、円以外の外貨で運用するタイプの保険もあります。

この場合、確定年金でも年金額を運用する通貨で確定するため為替変動のリスクがあります。

保険によっては、あらかじめ円換算で年金原資の目標を決め、その金額に到達した時点で、外貨での運用から円貨よる運用に切り替えるものもあります。ただし、目標に達しない場合は、選択した外貨での年金受取になります。

年金原資に安全性を求めるか、リスクを取ることで年金原資が増えることを期待するかにより選択する保険が変わってきます。変額個人年金の内容につきましては、後で触れます。

3.個人年金の受取方法

多くの商品が年金受取開始年齢を60歳からにしていますが、65歳、70歳から受取開始に変更できるタイプもあります。年金の受取方法も多くの商品で年金受取開始時に選択できます。受取方法は大きく2つになります。

 

1.一生涯受取れるタイプ   1)終身年金(死亡するまで年金を受取れる)

2)保証期間付き終身年金(保証期間は生死にかかわらず受取れる)

 

2.一定期間受取れるタイプ 1)確定年金(生死にかかわらず5年、10年、15年など一定期間年金を受取             れる)

2)有期年金(生存を条件として一定期間年金を受取れる)

3)保証期間付き有期年金(保証期間は生死にかかわらず受取れる)

 

それ以外に、年金原資を一括で受取れる保険もあります。保険会社、商品毎に選択できる受取方法が異なりますので、リタイアメント後の年間収支の状況や貯蓄残高の推移を考えながら、商品選びをすることが必要です。

4.変額個人年金保険について

変額個人年金保険は、運用期間の運用実績により年金受取開始時の年金原資が決まります。

運用によっては、支払った保険料を下回ることもあります。商品によっては、年金額を最低保証しているものもあります。運用期間中の死亡給付金には最低保証があり、運用実績が良い場合には増額されます。

 

運用は特別勘定で行い、特別勘定には投資信託を使うのが一般的です。保険商品毎に投資信託がラインアップされていて、その中から契約者が選択して運用します。複数の投資信託が用意された商品では、運用途中での投資信託の変更(スイッチング)が可能です。また、特別勘定が1つの商品もあります。どちらにしても、運用の良し悪しの責任は、保険契約者になります。

変額個人年金保険は、公的年金等である程度の老後生活が賄える方が、年金額が増えること期待して加入する個人年金保険だと考えます。

まとめ

「はじめの」ところでも触れましたが、リタイアメント後の漠然とした不安を「ライフイベント表」や「キャッシュ・フロー表」によって明確化、数値化することから始め、公的年金でカバーできない部分を補う1つの方法として個人年金保険の加入を検討しましょう。

また、明確化、数値化することで、ご自分やご夫婦のリタイアメント後の価値観に応じた、個人年金保険を選択することが可能になります。

以上、個人年金保険の特徴や仕組みについてみてきました。
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