介護保険の基礎知識その2 利用できるサービスにはどんなものがあるでしょう【2014年 第2回】

2014年 第2回 介護保険の基礎知識その2 利用できるサービスにはどんなものがあるでしょう

西谷 由美子(ニシタニ ユミコ)⇒プロフィール

提供されるサービスと利用者の望むサービスにはミスマッチもあるなどと言われています。では、どんなサービスがあるのか、どのくらいご存知ですか?

前回、全体での保険料負担者や費用の支払い状況をざっと見ましたが、介護保険の主催は市町村ですので、保険料やサービスは市町村単位で詳細が異なります。

 

 まず、65歳以上の1号被保険者が負担する保険料については、基本の金額が決まると、収入状況によって段階別に設定されます。 

 

 保険料の基本金額は平成24~26年度の全国平均で月4,972円ですので世帯の所得により2,500円から7,500円程度なのですが、これはあくまで全国平均。厚労省の調査によりますと全国一が新潟県関川村の6,680円。反対に北海道奥尻町や津別町、鹿児島県三島村が2,800円。都道府県平均を見ると沖縄県が5,880円と最高で、最低は栃木県の4,409円となっていました。(参照:厚生労働省 報道発表資料「第5期(平成24年度から26年度)計画期間における介護保険の第1号保険料について」)

もちろんお財布に優しいのは保険料が安い事なのですが、利用者がいて頻繁に利用するかどうかが事業者への支払額を左右して、それが保険料に影響しますから、一概に安い事が良い事だとは言えない事情があるのでは。選べる(利用する)サービスがないので誰も使わないから支出も少ない、、、という事だってあるのではないでしょうか。高額な有料老人ホームに入居というのは勿論別ですが、利用できるサービスは居住する地域に限定して提供というのが基本です。近所に新しくてオシャレな通所施設があるのに隣の県なので利用できない、なんて事もあるかもしれません。

それも踏まえて、サービスの種類を見ていきましょう。要介護度数により利用に上限があったりします。

大別すると1.施設に入所、2.自宅でサービスを受ける、3.自宅にいるが施設に短期滞在したり日帰りで通所してサービスを受ける、4.1~3を組み合わせる の4つのパターンがあります。

  1. 入所施設:介護が必要な方を受け入れ、日常のお世話・リハビリ等を行う

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老健。リハビリ後自宅へ帰る事を目標とする)、介護療養型医療施設、特定施設入居者介護(「有料老人ホーム」等)

  1. 自宅でのサービス:可能な限り自宅で日常生活が送れるように介護・生活支援を行う

訪問看護、訪問リハビリ、訪問介護(食事等の身体的な介護や、掃除・洗濯・買い物等の生活支援等)

  1. 通い・短期滞在の施設:可能な限り自宅で日常生活が送れるように、自宅で生活する際の孤立感の解消や心身機能の維持回復、家族の負担軽減を施設で行う

デイサービス(日帰りでリハビリ、入浴、食事、利用者の交流などを行う)、ショートステイ(短期の滞在で同様の事を行う)

最近ではドライブの途中の景色の良い所に入居施設があったり、街中を歩いていても病院に併設の施設があったり、新しい事業者の事務所が出来ていたり、という経験をよくしますが、皆さんはいかがでしょう、ご存知のものばかりでしたか。

さて、これからご利用をお考えの方には、誤解が多いので知っておいて欲しい点を挙げてみます。

自宅でのサービスのうち「看護、リハビリ」は容易に想像できると思いますが、「生活支援」の範囲がわかりにくいのではないでしょうか。一人暮らしの方だけでなく、ご家族と同居している場合も「介護が必要な方の生活支援」は利用できます。仕事や家族の方の病気通院等の理由で、留守の間の食事や入浴の介助はお願いできますが、家族の分の食事の準備や掃除・洗濯等はお願いできません。ミタさんみたいな家政婦さんとは違います。

また日常生活の範囲に入らないお正月の準備、ペットの世話、庭の草むしり等は一人暮らしの方でもお願いはできません。押し入れの襖を開けて中の床の掃除機がけをやって貰えない、とトラブルになった話など、笑いたいけど笑えませんよね。

最近は広く知られるようになったとはいえ、制度が出来てすぐの頃は、同居されていないご親族の方から上記の事柄等を「何故やって貰えない」というご不満が多く聞かれました。生活上必要だけれど単発的な事は、制度上介護保険の範囲に含まれないのです。けれど、地域によってはシルバーセンターやNPO法人で、それほど高額ではなく対応して貰える場合がありますので、そちらのご利用を検討されると良いかと思われます。核家族化の進行もあり、初めての介護ではとまどう事も多いでしょうから、遠慮なさらずに疑問や家族の要望は担当の方にご相談されると良いでしょう。

他にも自宅での日常生活支援の中には、介護に必要な用具のレンタルが出来る物もあります。レンタル可能な用具については次回に譲る事とします。

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