金投資の基礎知識【2010年 第6回】

【2010年 第6回】金投資の基礎知識 金投資

三次 理加 ⇒プロフィール

従来、手軽に金へ投資する手段としては、金地金や金貨などの金現物、純金積立しかありませんでした。しかし、ここ数年にわたる商品価格の上昇を背景に、最近では金に投資する投資信託も登場。金投資がさらに身近になってきたといえます。

金に投資する投資信託の代表が金ETFです。今回は金ETFについて紹介しましょう。

 

金ETF

ETFとは、株や債券価格等に連動する投資信託で、証券取引所に上場されているものを指します。ETFは、Exchange Traded Funds(=上場投資信託)の略です。ETFの特徴は、次の通りです。

 

 

金ETFとは、その名の通り、金価格に連動する上場投資信託のことです。2003年3月にオーストラリア証券取引所に上場されたのを皮切りに、現在は11証券取引所に上場されています。その合計残高は、2010年5月には1500トンを超え、過去最高を記録しました。今や、金ETF世界残高は、一国の金準備高にも相当する数量に達しています。ちなみに、日本の金準備高は世界第8位で765トン(2009年末 資料:IMF)です。

世界の金ETFと金価格の推移

世界の証券取引所に上場されている金ETFは、残高に応じて金現物を実際に購入し銀行に保管する、という仕組みになっています。そのため、金ETFの残高増加=金需要の押し上げ要因、つまり、金価格上昇の長期的下支え要因になっているといえます。
事実、ドル建て金価格の推移と金ETF残高の推移をみると、ETF残高増加に連れ金価格が上昇傾向にあることがわかります。(図参照)

 

 

 

 

 

 

2010年5月現在、国内の証券取引所には4種類の金ETFが上場されています。いずれも数千円から数万円で購入できます。

証券取引所により異なる金ETFの内容

「金ETF」とひとくちに言っても、東京証券取引所(以下、東証)と大阪証券取引所(以下、大証)のそれとでは内容が異なります。東証には金現物に投資するETF、大証には金現物価格に連動する債券や金先物に投資するETFが上場されています。東証の金ETFは残高に応じて金現物を購入し、銀行に保管する形式です。この金ETFは、海外であれば金現物と交換することが可能です。ただし、国内で現物換金はできません。一方、大証の金連動型ETFは、残高に応じて金価格に連動する債券を購入していく形式です。

また、大証の金先物ETFは、国内金先物市場に投資する形式です。これは、2008年12月の規制緩和により、商品先物に直接投資する投資信託が解禁されたことを受けて設定されたものです。国内商品先物市場に投資するETFとしては国内初のもので、2010年2月に上場されました。

この金先物ETFは、東京工業品取引所に上場されている金先物へ投資します。そのため、従来の商品投資信託や商品ETFと異なり、価格の透明性が高いといえます。
また、直接市場へ投資するためコストが安く済むというメリットがあります。

金先物ETFの注意点

ただし、注意を要する点もあります。金先物ETFでは、実際に金先物市場に買いポジションを保有します。商品先物取引には、限月(げんげつ)といって決済期限があります。そのため、金先物ETFでは、決済期限がきたら次の限月に乗り換える仕組みとなっています。乗り換える際にかかる手数料のほか、乗り換えた後の価格が高い時には、その価格差がコストとなります。逆に、乗り換えた後の価格が安い時には、その価格差が利益となります。そのため、たとえ金先物に投資するETFであっても、金先物価格そのものと同じパフォーマンスにはなりません。

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