退職理由と雇用保険【2011年 第2回】

【2011年 第2回】 退職理由と雇用保険 ~社会保険(労働保険)~

菅野 美和子(スガノ ミワコ) ⇒プロフィール

もらえる? もらえない? 退職理由で違う 退職・入社・転勤など、移動が多い時期になりました。 退職する際は、正しい理由で適切な届がなされるように注意が必要です。
退職後の生活を支えてくれるのが雇用保険制度ですが、退職理由によって給付金がもらえないことも… 次の仕事がみつかるまで、給付金があるのとないのでは大違い。
知っておきたい失業給付のしくみについてお話します。

 

 

突然の契約打ち切り

A子さんは3月末に退職することになりました。昨年の4月3日に入社しました。約1年、パート社員として働きました。
契約期間は3月31日までとなっていました。契約更新されるものと思っていましたが、再契約はしないと言われ、落ち込みました。
なんでも、業績が急に悪くなったらしく、パート社員は契約を打ち切られています。

退職届を書くように言われたA子さんはしかたなく、会社が用意した退職届にサインをしいました。理由は「一身上の都合」となっていました。
「雇用保険から何ももらえないわよ」
「1年間、働いたからもらえるのでは?」
いろいろな話が飛び交いましたが、会社から送られてきた離職票をもってハローワークへ行くと、失業給付はないと言われました。

退職理由による失業保険の受給の可否

週20時間以上働く人、31日以上雇用見込みのある人は雇用保険へ加入しなくてはなりません。パートだから加入しなくてよいということではありません。
ところが、雇用保険に加入すれば、退職したとき、失業給付である基本手当が必ずもらえるかというと、そうではありません。
自己都合退職の場合、少なくとも1年間は雇用保険に加入していなければ、基本手当はもらえません。

A子さんは前年4月3日から3月31日までが雇用保険の加入期間です。残念ながら、わずか2日の不足のために、基本手当をもらう資格はありません。
ところが、解雇や倒産など会社都合で退職した場合は、雇用保険加入期間が6ヵ月あれば基本手当の対象となります。A子さんの退職理由が自己都合であればもらえませんが、会社都合であればもらえるということです。

つまり、1年以上雇用保険に加入していれば、退職理由がなんであれ支給対象となりますが、6ヵ月以上1年未満の人は、自己都合退職ではもらえないということです。
6ヵ月未満の人は、退職理由にかかわらず、もらえません。
(ただし、前職を通算することができますので、個々のケースで確認してください)

退職理由をしっかり記載

A子さんは契約を更新しないと言われました。契約期間の満了で退職した場合、そもそも契約を更新しないと最初から明示されていたか、あるいは契約を更新するという約束だったのに更新されなかったのかということで、基本手当をもらえる、もらえないにつながっていきます。

契約更新する約束だったのに更新されなかったという場合は、自己都合扱いになりませんので、6ヵ月以上の雇用保険加入期間があるA子さんにも受給の可能性が出てきます。
再度、ハローワークで相談するのがいいでしょう。

このほか、退職理由は、雇用保険の給付日数にも関係してきます。
自己都合退職の場合は、退職後3ヵ月の給付制限がありますが、退職の理由によっては給付制限がつかないこともあります。
退職の理由は、失業給付を受けることができるかどうか、その給付日数、給付制限の有無に影響します。退職理由をあいまいにできないわけがここにあります。

新年度からお勤めを始める方も多いかと思いますが、退職時のトラブルとは、実は、入社時からはじまっています。どのような条件で働くのか、特に契約期間がある場合は、更新があるのかないのか、最初にしっかり確認しましょう。
安心して働きたいですから!

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