介護保険のサービスを受けるには【2011年 第2回 】

【2011年 第2回】 介護保険のサービスを受けるには ~実録介護保険~

浅川 陽子(アサカワ ヨウコ)⇒ プロフィール

サービスを受けるためには、市区町村からの「認定」が必要です。

 

 

 

 

介護保険認定の手順

介護保険のサービスを利用するには、市区町村から介護や支援が必要であるという「認定」を受ける必要があります。これを「要介護(要支援)認定」といいます。

<認定の手順>
①認定申請書の提出
②認定調査と主治医の意見書
③「介護認定審査会」の審査・判定
④市区町村の認定・結果通知

①の申請書の提出は、本人、家族、また、介護支援事業者や1月にお話した「地域包括支援センター」に代行してもらうこともできます。
②の認定調査は、市区町村の担当者や、ケースワーカー、介護支援専門員等が調査員となり、家庭等を訪問し本人の心身の状態や日常生活の自立度を調査します。
この「認定調査」では、本人だけでなく家族も立ち会いましょう。

本人だけですと、いわゆる高齢者の「見栄」で、できないことも「できる」と答えてしまうことがありますし、認知症の場合は、自分の状態を把握できていない場合が多いので特に気をつける必要があります。また、最近は、「できるかどうか」を本人に答えてもらうだけでなく、実際にその場でやってもらって調査員が確認をするよう調査員への指導がされているようです。
主治医の意見書というのは、申請書の中にかかりつけの医師を記載する欄があり、そこに記載されている医師に市区町村から意見書の依頼が行われます。

③「介護認定審査会」の前に、現在は、全国一律の基準で認定調査の結果をコンピューターに入力し、要介護度の一次判定が行われます。その結果と主治医の意見書をもとに「介護認定審査会」で介護の必要度が総合的に審査・判定されます。
④「介護認定審査会」の審査結果に基づいて市区町村から結果が通知されます。通常は申請から30日以内に通知されますが、「介護認定審査会」が月1回で開催される場合、次回の審査会に回され場合もあり、通知が遅れる場合もあります。

審査結果は「非該当(自立)」「要支援1~2」「要介護1~5」の区分に分けられます。
「要支援1~2」と「要介護1~5」の該当した場合は、晴れて、介護保険のサービスを受けられることになります。ただし、「非該当(自立)」の場合でも、「地域支援事業」による介護予防サービスを受けることができます。

認定の有効期限

介護の必要性が高くなったり、また怪我や病気の回復で低くなる場合もありますので、認定には有効期限が設けられています。新規で認定を受けた場合は、半年で見直しを行います。更新認定の有効期限は原則12ヶ月ですが、市区町村によっては、3ヶ月まで短縮したり、逆に24ヶ月まで延長することもあります。

介護保険導入当初は、要支援と要介護1~5の6区分でした。平成18年には、要支援1~2、要介護1~5の7区分に変更になりましたが、それに伴いそれまで要介護1に該当していた人が、更新時に要支援2に変更になるケースが多くみられたといいます。ただし、「要支援2」と「要介護1」の状態はほぼ同じで認定判定はかなり微妙といわれ、居住している市町村によって、要支援2になったり、要介護1になるケースもあるといいます。

要支援と要介護の違い

「要支援」か「要介護」では、受けられるサービスに差がかなりでてくることもあるので、認定を受ける者にとっては大きな違いになります。私の実家のケースでは、父、母の通院の時に、タクシーを使う必要がある場合、介護事業所が運営している「介護タクシー」を利用していましたが、「要介護」の場合と「要支援」では、実際に支払う金額が違ってきますし、福祉グッズのレンタルの場合も、「要支援」では、介護用のベッドが保険適用外であったりしました。

介護保険が導入された平成12年では、要支援・介護の認定者は218万人でしたが、平成20年4月末には倍以上の455万人に増加しています。今後は介護保険の給付額の増大に伴い、認定についても厳しくなることが考えられます。

なお、認定の結果について納得がいかない場合は、都道府県の「介護保険審査会」に不服申立てをすることができますし、有効期限内でも状態が重くなった場合は、要介護度の変更である「状態区分変更認定申請」をすることもできます。特に、後者の「区分変更」の申請は一般的によく行われているようですので、覚えておくとよいでしょう。

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