株価収益率(PER)実践編【2015年 第10回】

【2015年 第10回 株価収益率(PER)実践編】 イメージ図で理解すると投資指標って簡単!

伊藤 美恵 ⇒プロフィール

せっかく参加した株式セミナーで、聞いたことに対して理解出来ないと感じたことはありませんか?その原因のひとつが、実は投資指標なのです。投資指標が理解出来るだけで、難しいと感じるハードルは、ずっと低くなります。今月は、株価収益率(PER)の実践編ということで、実在する企業の株式を取り上げて説明したいと思います。

予想PERと実績PERとは

株価収益率とは、「株価」が「1株当たりの当期純利益」の何倍まで買われているかを見る指標でしたね。

実際は、株式の動きは将来の実績予想を織り込んでいます。株価収益率(PER)を計算するにあたって、近年、当期純利益ではなく、来期の純利益予想で計算することが望ましいという考えが一般的になってきました。

従って、様々な株式サイトでは予想PERが使われることが多くなりました。ただし、実績PERを無視してもよいということではありません。予想PERはあくまでも予想でしかありません。それも、その株式サイトによって、予想されている来期の純利益が異なることもあるため、予想PERの数値も変わってきます。

 

そのようなことから、実績PERも無視しないで欲しいのです。実績PERは、実際の純利益を用いられて計算されているため、信頼しやすいかもしれませんね。しかし、あくまでも過去の純利益で計算されているにすぎないため、今後の期待は織り込まれていません。理想は、予想PERだけを見ず、実績PERも見つつ、冷静に指標を見ていくことでしょう。もちろん、PERだけに依存せず、他の指標も合わせて見ていきましょう。

株価収益率(PER)の求め方

今回は、サービス業である(株)オリエンタルランド(4661)の株価収益率(PRE)を見てみたいと思います。(株)オリエンタルランドと言えば、子供も大好き、大人も大好き、もちろん私も大好きな、訪れる全ての方に特別な時間を与えてくれる東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを運営している企業です。今では、(株)オリエンタルランドは、ホテルや商業施設にも業態を拡大しています。東京ディズニーリゾートに訪れた方はご存知かと思いますが、とてもサービスの質が高いことで有名です。確かに、とても楽しい気分にさせてくれるし、幸せ気分を満喫できるので、私の家族も大好きです。

 

そんな(株)オリエンタルランドの株価収益率(PER)の指数はどうなっているのでしょう。

 

 

 

 

 

 

今回は、皆様が比較的に情報を取得しやすいYahoo!ファイナンスより、数値等を引用させて頂きました。Yahoo!ファイナンスには、来期予想純利益は載っておりませんが、来期予想PERが載っています。また、実績PERは載っておりませんが、連結決算推移の前期の当期純利益より実績PERを計算することができます。実際に、(株)オリエンタルランドの予想PERと実績PERのイメージ図を、前回のイメージ図に当てはめてみました。なお、①~⑤の数字が入っているものは、上記データの数字を用いています。①~⑤などの数字が無いものは、計算して求めています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず予想PERでは、①予想EPS・②予想PERと③株価がそれぞれ、Yahoo!ファイナンスへ記載されており、イメージ図に当てはめられればわかりやすいです。216.22円(予想EPS)の31.6倍(予想PER)は、6,832円(株価)です。

216.22円(予想EPS)×31.6倍(予想PER)=6,832円(株価)

 

Yahoo!ファイナンス側で予想している来期予想純利益は、Yahoo!ファイナンス内では公表されておりませんが、「①予想EPS×④株式総数」で計算すれば、簡単に計算できます。

216.22円(予想EPS)×363,690,160株=78,637百万円(来期予想純利益)

 

 

 

 

 

 

 

 

次に実績PERですが、Yahoo!ファイナンスには、実績EPSと実績PERの指標が記載ありません。

ただし、③株価、④株式総数および、⑤(前期)当期純利益の数字が分かりますので、簡単に計算ができます。

まずは、「⑤(前期)当期純利益÷④株式総数」を計算すれば、「実績EPS」を求めことができます。

⑤72,063百万円((前期)当期純利益)÷④363,690,160株(株式総数)=198.14円(実績EPS)

「実績EPS」を求めた後、「③株価」を「実績EPS」で割ると、「実績PER」を求めることができます。

③6,832円(株価)÷198.14円(実績EPS)=34.48倍(実績PER)

比較検討しよう

株価収益率(PER)は、利益が大きく変動する企業に対しては、信頼度が低くなります。毎年黒字を計上していて業績が安定しているような企業ではないと、株価収益率(PER)による適切な評価が難しくなります。一般的に、株価収益率(PER)の水準が、20倍より低ければ割安、20倍より高ければ割高であると言われていますが、あまり信用しすぎると危険です。そのため基本的には、同業他社と比べてください。他の業界の指標と比べても意味がありません。

今回は同業他社と比較はしておりませんが、一般的なPERの指標(20倍を目安)と比較すると、(株)オリエンタルランドの予想PERは31.60倍、実績PERは34.48倍であり、どちらを見ても、一般的には割高であることが分かります。しかし、なぜ割高なのかと考えると、おのずと答えが出ます。

(株)オリエンタルランドは、お客様を大切にもてなし、お客様を喜ばせるサービスに定評があります。そのため、投資家も魅力を感じ、こぞって株式を買うため、株価も上がるのです。物の需要と供給の仕組みとして、欲しい人が沢山いれば、物の値段は上がります。株価が上がれば、自然に株価収益率も何倍にも上がるという訳です。

割高の株式には、きちんとした理由があります。そして、割安の株式にも理由があります。割安の株式は人気がありません。つまり投資家が買わないため、株価収益率(PER)が低いのです。ただし、PERが割安の企業の株式が、全て悪い株式ということではありません。そして、PERだけで投資の判断をしてはなりません。様々な指標を一緒に調べるとともに、会社の姿勢なども見ていかなければなりません。良い企業の株が、割安になった時を狙ったり、良い企業だけれども、まだ他の投資家の皆様に発掘されていない割安な企業を見つけたりすることも、株式の醍醐味ではないでしょうか?

また、株価収益率(PER)は、指標が高いほど割高であり、低いほど割安とお伝えしておりましたが、株価収益率(PER)が非表示の会社を見かけることがあるかと思います。非表示になるほど、低いのか・・・と思ったら、大間違いです。実は、当期純利益が無いため、計算ができないのです。つまり、赤字になれば、株価収益率(PER)自体が計算出来ないのです。今度、注意して見てみてくださいね。

 

まとめ

イメージ図を、実際の企業で試してみましたが、いかがでしたか?株価収益率って、意外と簡単だと思えてまいりませんか?まずは、様々な企業の株価収益率を見て、沢山イメージして株価収益率(PER)を攻略してみてくださいね。

次回は、株価純資産倍率(PBR)基礎編についてお話致します。

 

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