もはや金融機関には必須:証券外務員【2014年 第6回】

2014年 第6回 もはや金融機関には必須:証券外務員 キャリアアップにつながる資格のお話

松山 智彦(マツヤマ トモヒコ)⇒プロフィール

証券会社だけでなく、銀行、JAバンク、郵便局(ゆうちょ銀行)などでも投資信託や債券などを扱っています。これらの金融商品を扱う上で欠かせないのが証券外務員資格です。つまり、金融機関の従業員に必須の資格と言えます。

タイトルバックでは金融機関に必須と記載しましたが、実は“特別外務員”という金融機関用の資格が用意されています。これらは金融機関では扱う事ができない株式などの有価証券を除き、扱う事が認められている有価証券に限定したものです。しかし、金融商品仲介業の登録をしている場合には、一般外務員資格である必要があります。

従来、保険募集人資格のように、日本証券業協会会員(証券会社、投信委託会社、金融機関等)の従業員に受験資格が限定されていましたが、2006年から第二種が、2012年からは第一種も一般の方が受験する事が可能になりました。

第二種と第一種の違いは取り扱える金融商品の違いによります。簡単に言うと、先物・オプションなどのデリパティブ金融商品や株式の信用取引が取り扱えるのが第一種になり、第二種では原則として扱えない事になります。

当然、試験の内容も異なります。ここでは第二種外務員資格についてご案内いたします。

○試験内容

この試験は、パソコンに向かって解答していく方法で行われます(CRT方式)。なので、PC操作のスキルが要求されます。

試験時間は120分で、2択式50問(配点2点)、5択式20問(配点10点)で、300点満点中210点以上で合格です。

試験範囲は以下の出題科目をベースに、日本証券業協会が発行する「外務員必携」の中から法令等に関しては新制度のものを、信用取引等に関しては基礎的知識のものにコンプライアンスに関する基礎的かつ重要な部分になります。

 

参考までに第一種については出題科目にデリパティブ取引が追加、試験時間が2時間40分、問題数が100問(二択70問、五択30問)になります。

受験資格は第二種も第一種も制限はありません。

○受験方式

試験の開催は平日であれば、原則として毎日行っています。プロメトリック株式会社が日本証券業協会の委託を受けて試験業務(及び外務員資格の更新業務)を行っています。受験料は8,704円(2014年6月現在)で、後払いです(受験申し込み時に払い込み方法を確認して下さい)。

受験時には、本人確認書類(住民基本台帳カード、パスポート、運転免許証等公的機関が発行しているもので写真付のもの)の携帯が必要です。筆記道具を含め、試験会場での持ち込みは不可です。そのため、試験会場の外(ほとんどの会場では試験受付の所)にロッカーが用意されています。試験会場に入る前に、計算用の筆記用具(ホワイトボード及びペン)とPCにログインするためのIDとパスワードが渡されます。

この試験は一斉に行うのではなく、個々が自分のタイミングで試験を始める事ができます。試験会場では隣の人が同じ外務員試験を受検しているとは限りません。また同じであっても出題される問題が同じとは限りません。なので、一緒に受検した人同士で答え合わせができない仕組みになっています。さらに、出題された問題を口外してはならないとして誓約書にサインが求められますので、問題については会話しないほうが懸命でしょう。

 ○受験してみての体験談

私は今の方式での受験はなく、すべて筆記式のものでした。但し、資格更新講座を受講していますので、方法としては経験済みです。もちろん更新講座の修了試験は、内容が基礎的で簡単なものなので、試験との比較はできませんが。

なので、PCの操作に慣れる事がとても重要と言えます。たとえば問題を後回しにする時の操作など、慣れていないと後回しした問題がどれだったか探すのに時間が取られたりする事があります。また、とりあえず答えだけを埋めておいて、あとで見直すという操作も手間の掛かる事が考えられます。この辺は筆記試験と大きな違いといえるでしょう

合格発表は、試験終了後に試験受付で「外務員試験受験結果通知書」が渡されます「70%以上の得点であったことをお知らせします。」の記述があれば合格です。

○まとめ

最近の金融機関や証券会社では、入社前に証券外務員資格を取得しておくことが求められているようです。また、入社前研修の一環として、特別外務員の合格のための勉強を必須として、テキストや問題集を渡して独学で勉強させる所もあります。

新人研修の時間をコンプライアンスや社内ルールに費やしたいため、入社前や入社試験の書類審査なので証券外務員資格を求めてくるのかもしれません。

合格率などは公表されていませんが、60%程度だといわれていますので、決して難題ではないと予想します。

特に金融機関に就職を考えている学生には、とっておきたい資格のひとつと言えます。

この「キャリアアップにつながる資格のお話」も今回で終わりです。私が資格講師として行っている資格についてご案内をしてきました。私の講義は合格よりもその先の実務の話をする事を伝えるようにしています。その資格に掛かる仕事がどれだけ魅力的なのかを伝える事で、勉強するモチベーションに変えていただければと思っています。

6回のコラムでしたが、ご覧をいただきありがとうございました。

参考文献:日本証券業協会・外務員資格外務員試験

http://www.jsda.or.jp/katsudou/open/index.html

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