国民年金保険料の2年前納は住宅ローンの繰り上げ返済よりも有利?【2014年 第4回】

2014年 第4回 国民年金保険料の2年前納は住宅ローンの繰り上げ返済よりも有利?- 最新ニュース解説。FPとして言わせていただくと…

菱田 雅生(ヒシダ マサオ)プロフィール

平成26年4月分から、国民年金保険料の「2年前納」が可能になりました。これまでも1年分の前納は可能でしたが、今年度から始まった2年前納は、1年前納よりもさらに保険料の割引が大きくなっているようです。毎年2月末までに申し込まなければならないので、今年度分からの2年前納の受付は終了していますが、あらためて割引がどの程度大きかったのかを計算し、住宅ローンの繰り上げ返済などと比較してみたいと思います。

 

 

 

 

国民年金保険料について

20歳以上60歳未満の自営業者や自由業者、学生など、国民年金(基礎年金)の第1号被保険者が負担しなければならない国民年金保険料は、平成26年度は月額15,250円となっています。今後も平成29年度までは毎年引き上げられていく予定です。

その国民年金保険料には口座振替による前納の制度があって、「毎月前納」、「6ヵ月前納」、「1年前納」という3種類に加えて、平成26年度からは最も割引の大きい「2年前納」の制度が加わりました。

具体的な保険料と割引額は、次のように決められています。

毎月前納    …月額15,200円  (1ヵ月あたり50円割引、   年間600円割引)

6ヵ月前納  …6ヵ月90,460円 (6ヵ月あたり1,040円割引、年間2,080円割引)

1年前納    …1年179,160円  (1年あたり3,840円割引、  年間3,840円割引)

2年前納    …2年355,280円  (2年あたり14,800円割引、 年間7,400円割引)

新しくできた2年前納は、平成26年度の保険料15,250円×12か月と、平成27年度の保険料15,590円×12か月を合計した370,080円が、口座振替で2年分を一括納付すると、14,800円安い355,280円で済むということです。

355,280円に対して2年間で14,800円の収益が得られると考えると、年平均利回り(利回り)は、約2.08%となりますが、これだとかなりアバウトな計算です。経済効果をもっときちんと計算してみましょう。

この2年前納の経済効果は、一時払いで355,280円を支払うことによって、1年目は毎月15,250円のお金を受け取って国民年金保険料に充当し、2年目は毎月15,590円のお金を受け取って国民年金保険料に充当するのと同じだと考えられますので、一時払いの金額を複利運用しながら毎月取り崩していった場合で、それぞれの金額を受け取ることのできる利率を逆算すればよいでしょう。

計算にあたっては、ローンや投資の現在価値を求めるPV関数を使います。毎月の受取額が決まっていますので、1年目、2年目のそれぞれの年の最初に必要な金額(原資)を求めます。そして、2年目の原資は1年目の間は複利運用できますので、それを考慮した現在価値を求めて1年目の原資と合計します。この合計額が355,280円になるような適用金利を見つけていくわけです。

計算結果は、年利率に換算して3.96%でした。つまり、355,280円を年3.96%で複利運用しながら取り崩していくと、1年目は毎月15,250円、2年目は毎月15,590円を受け取れるわけです。2年間という運用期間の短さを考えても、約4%の複利運用に相当するというのは、かなりの高利回り運用になっているといえるのではないでしょうか。

返済中の住宅ローンを繰り上げ返済する場合と比較しても、国民年金保険料の2年前納のほうが有利だといえそうです。住宅ローンの繰り上げ返済による経済効果は、繰り上げ返済したお金を借入金利で複利運用するのとほぼ同じですから、昨今の借入金利の低さからすれば、約4%の複利運用に相当する2年前納のほうが有利となるわけです。

ただ残念なのは、いまから今年度分を含めた2年前納はできないので、次のタイミングまで待たなければなりません。来年度からの2年前納については、おそらく国民年金保険料自体が変わっているでしょうから、利回りも変わる可能性があります。とはいえ、優位性は大きく変わらないと思われますので、利用が可能な人は、2月末の申し込み期限に遅れないようにしながら、検討してみてください。

 

 

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