離婚分割したのに、もらえない年金【2014年 第10回】

2014年 第10回 離婚分割したのに、もらえない年金 年金ミステリー

菅野 美和子(スガノ ミワコ)プロフィール

 

A子さんは、平成19年、年金分割の制度がスタートするのを待って離婚しました。そして今年60歳になりました。分割した年金を受け取れると思って年金事務所をたずねたところ、現時点では年金は受け取れないというのです。それどころか、このままでは無年金のままになると言われました。離婚で年金を分割したのに、その年金を受け取れないことがあるのでしょうか。

 

離婚時の年金分割

離婚時の年金分割がスタートしたのは、平成19年4月です。当時、年金分割のスタートを待って離婚した夫婦もありました。A子さん夫婦も年金分割を決め、公正証書を作成して、年金事務所に届けました。

年金分割を一言で表現すると、婚姻期間の夫婦の年金差を解消する制度と言えるでしょう。

分割の対象となる期間は婚姻期間。独身時代は対象外です。

分割の対象となる年金は、厚生年金のみです。厚生年金の記録である標準報酬月額(給料)や標準賞与額(平成15年4月以降のボーナス)を分割します。

分割の割合は最大で50%。基本的には話し合いによって決定します。

具体的に、会社員と専業主婦の夫婦で考えるとわかりやすいです。婚姻期間中、ある月の夫の給料が30万円とします。それを2分の1に分割するということは、夫は15万円の給料を受け取った、妻も15万円の給料を受け取ったというように、年金記録を書き換えて、年金額を計算するのです。

年金記録の書き換えという仕組みですので、分割するには、公正証書などが必要になります。

ここで注意しておきたいのは、年金分割で年金額を分けることになりますが、自分自身の年金加入期間しだいでは、年金を受け取れないこともあるということです。

年金分割をしたA子さんに、自分自身の保険料を納めた期間(その他免除期間や会社員の妻期間など)がトータルで25年あれば、年金の支給開始年齢になったときに、分割した年金が上乗せされます。

しかし、未納期間があり、25年の条件を満たさない場合は、どれだけ年金を分割していようとも、年金そのものが支給されません。

A子さんは自分の年金加入履歴を確認しました。独身時代に厚生年金に加入。結婚後は専業主婦に。夫の扶養となっていた期間もありますが、A子さんは個人で化粧品販売をしていて、結婚後早い時期に夫の扶養の範囲内を超えました。

その後、健康保険については国民健康保険に加入したのですが、国民年金保険料を納めていませんでした。結局、そのまま未納状態が続いてしまいました。

離婚が決まりA子さんは思いました。「年金分割したから、年金は受け取れる」と。

A子さんは厚生年金加入期間があるので、本来なら60歳から老齢厚生年金が支給されます。しかし、60歳時点で、年金受給に必要な25年に不足がありました。

すでに60歳。あと3年分ほど不足していますので、国民年金に加入してなんとか穴埋めしなければなりません。そうしなければ、分割したことが無駄になります。A子さんが受け取れなくても、元夫の年金額は減額されます。

きちんと手続きしたのに分割した年金が受け取れないことは、A子さんにとってはミステリーでした。しかし、このミステリーは自分自身の未納に原因があったのです。

ただし、平成27年10月に消費税がアップすれば、受給資格期間10年で年金を受け取れるようになります。そうなれば、そのときからA子さんは年金を受け取れます。

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