フラット35で再び10割融資可能に【2014年 第3回】

2014年 第3回 フラット35で再び10割融資可能に- 最新ニュース解説。FPとして言わせていただくと…

菱田 雅生(ヒシダ マサオ)プロフィール

平成26年2月24日融資実行分からフラット35の融資率の上限が、これまでの9割から10割に引き上げられました。住宅の建築費または購入価額の100%まで融資が受けられるということです。近年、民間の銀行等の住宅ローン商品でも100%まで融資が受けられるものが多くなってきましたが、ほとんど頭金ナシでも住宅が買えてしまう状況というのは、非常に危険なのではないかと思われます。あらためて、頭金の必要性や、どの程度の金額を準備すべきかという基本的な考え方をまとめたいと思います。

 

 

 

 

フラット35

フラット35では、以前、融資率を当初の8割から9割(平成18年)、そして10割(平成21年)への引き上げを行ったあと、平成24年に9割への引き下げを行っていました。筆者は、10年以上前から住宅ローンの100%(10割)融資を可能とする仕組みは、将来のローン破綻者を増やすことにつながる可能性が高いため、物件価格の100%まで借りられることは、利用者にとっていいことではなく悪いことであると言い続けてきました。フラット35が10割まで引き上げた融資率を9割に引き下げたときには、「エライ!よくやった」と思ったものです。

 ところが今回、再び融資率を10割に引き上げたのです。とても残念なニュースでした。一応今回は、9割超の融資を利用する人は、9割以下の人に比べて借入金利が0.4~0.5%程度高くなるような仕組みを採用しているようですが、たぶん、その金利差はほとんど抑止力にはならないでしょう。「頭金は少ないけど、買えるなら買っちゃえ」という人が増える可能性のほうが高いと思われます。

 そもそも、住宅取得をする際の頭金は、当然多いに越したことはありません。頭金をたくさん準備できれば、それだけ住宅ローンを借りる金額が少なく済みますので、利息の負担が軽くなり、毎月の返済額を少なくでき、トータルで支払う金額もそれだけ少なくなるからです。

とはいえ、たくさんの頭金を準備しようとするほど、貯めていくのに長い年月がかかってしまい、いつまでたっても住宅取得に踏み切れなくなってしまう可能性もあります。そういう人にとっては、融資率の高い住宅ローン商品というのはありがたいものだといえるでしょう。

しかし、頭金ナシで住宅取得をするのは将来のライフプランを考えても危険性が高いと言わざるを得ません。では、どのくらい頭金が準備できたら買っても大丈夫なのでしょうか。

昔から、住宅取得の際には、物件価格の2割から3割の頭金を準備すべきだといわれてきました。これは、昔の住宅ローン商品が、物件価格の8割までしか借りられないのが通常だったからです。諸費用の負担も考えると、2割以上の自己資金がないと購入できないのが通常だったのです。

現在でもマイホーム関連の雑誌などを見ると、2、3割の頭金準備は大切だと書いてある場合が多くあります。借入金額を少なくするだけでなく、きちんと貯蓄のできる家計(貯蓄グセのある家計)にするといった頭金準備の大切さを考えると、最低でもそのくらいを準備するのは当然だといえるでしょう。

しかし、この考え方は、もともと借りられる金額をもとに計算した頭金の割合になっています。住宅ローンは借りられる金額ではなく、返せる金額で考えるべきです。つまり、頭金も返せる金額をもとに考えなければ、安全な資金計画を立てることはできません。

では、返せる金額をもとに考えた頭金とは、いくらぐらいなのか。

それは、自分の現在の家計から計算できる返せる金額と、希望する物件価格(諸費用込みの金額)との差額なのです。

例えば、現在の自分の家計から60歳や65歳までにきちんと返せる金額が2,000万円だったとして、現在希望している諸費用込みの物件価格が3,000万円だった場合、差額の1,000万円を頭金として準備できないと、安全な資金計画での購入は無理ということになります。希望する物件価格が4,000万円なら、2,000万円を準備できないと無理です。

当然ながら、希望する物件価格が高くなればなるほど、返せる金額との差が広がりますので、それだけ多くの頭金が必要になります。逆に、希望する物件価格を下げれば、それだけ少ない金額の頭金でも問題ないことになります。極端にいえば、安心して返せる金額が2,000万円で、希望する物件価格が諸費用込みで2,000万円以内なら、頭金ナシで購入しても危険ではないといえるのです。

やはり、安全な資金計画を立てるためには現在の家計のチェックが欠かせません。そして、将来の教育資金や老後資金なども考慮したうえで、きちんと返せる金額を借りる。あらためて、この基本的かつ重要なことを多くの人が認識すべきだと思います。

 

 

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