「ねんきん特別便」対応マニュアル ~その①~【2008年 第1回】

【2008年 第1回 「ねんきん特別便」対応マニュアル ~その①~】年金コラム

佐藤 朋枝(サトウ トモエ)⇒ プロフィール

 

私は未納者ではない!?

「国民年金の保険料は、真面目に支払っていたはず。だから、「特別便」のどこにも、未納が載っていないのだ」と思うのは、大間違い。実は「特別便」には、たくさんの落とし穴がある。
そのひとつが、未納月数の記載がどこにもない点。社会保険庁では、「特別便」同封のパンフレットや新聞広告などで、「未納の詳細については、お問い合わせください」と説明している。

では、未納があるかどうか、自分で確かめる術はないのだろうか?
「特別便」に記載されている、「納付済月数」~「学生納付特例月数」を合計してみよう。
これらを合計した「加入期間」に比べて、「国民年金加入月数」(=国民年金に入っていた月数)が多い場合は、未納期間があることになる。

「加入期間」=「加入月数」、と一致しても安心はできない。
確かに未納はないのだが、年金未加入期間はないだろうか?
年金加入記録の年月日を初めからチェックして、途切れている期間があれば、未加入期間に該当する可能性が高い。
例えば、会社を辞めた後に自分で国民年金加入の手続きをとらなかった期間などである。
自分の「特別便」の内容を確かめる際は、会社名や勤務期間だけでなく、年金記録の年月日に空白期間がないかどうか、必ず注意しよう。

 

年金記録のスタートは20歳から!?

国民年金の加入は20歳から。しかし「特別便」を見ると、「大学卒業した後、20歳過ぎて入社した会社から年金記録がスタートしている!」という人が多くいるのではないだろうか。
実は、学生の国民年金20歳加入が義務づけられたのは、平成3年4月1日以降。
それ前は、昼間の大学生は20歳になっても、国民年金は任意加入となっていた。
今のように、人々が年金に関心を持つ時代ではなかったし、任意加入を勧める広報活動が盛んに行われてはいなかったので、当時の大学生は新卒で入社した会社で、初めて厚生年金に加入したケースが大半だろう。
では、大学生のときに任意加入しなかった期間は、どういう扱いになるのだろうか?
「合算対象期間」として、年金の受給資格期間(25年間)に含めることができる。
年金の裁定請求の際、在籍証明書を提出すれば「合算対象期間」として扱われる(卒業証明書ではダメ)。
ただし、年金の金額には、全く反映されない。

「年金記録のスタートが20歳前」、というケースもある。厚生年金は20歳前でも加入できるからだ。
宙に浮いた年金記録の中身を見ると、「正社員ではなく、アルバイトとして1、2ヶ月働いただけ」というものが少なくない。
短期間のアルバイトなので本人自身、厚生年金に加入していた自覚が全くない。
アルバイト先が飲食店などの場合は、本人が覚えている勤務先の店名と厚生年金の加入手続きを行った本部の名称が違っているため、本人の記録かどうか特定が難しい。
「特別便」の確認作業には、本人の記憶が一番の頼りとなっている。
勤務先の名前が不明・一致しないなどの時は、当時の同僚や店長の名前も大きな手がかりとなる。

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