学生時代の国民年金【2017年 第6回】

【2017年 第6回】学生時代の国民年金  一番やさしい年金のはなし

菅野 美和子 ⇒プロフィール

20歳になると、学生であっても国民年金に加入しなければなりません。国民年金へは強制加入で、保険料の納付義務も発生します。しかし、収入のない学生にとって保険料は負担になりますね。そこで、保険料を払うのが困難な学生のために、学生納付特例制度があります。しかし、よくわからないままに制度を利用していることもあるのでは? 将来、後悔しないために、制度の内容を理解しましょう。

◆20歳になれば国民年金

20歳になると国民年金へ強制加入となります。
20歳の誕生月頃に日本年金機構から送られる「国民年金被保険者資格取得届書」に記入し、市区役所・町村役場、あるいは年金事務所に提出します。
これで手続きは完了です。
もしこの手続きを忘れてしまったとしても、国民年金へは強制加入ですので、年金手帳が届きます。
なお、20歳以前から会社にお勤めしている人は、すでに厚生年金に加入していますので、特に手続きする必要はありません。

◆国民年金保険料を払える?

国民年金の保険料は1ヵ月16,490円(平成29年度)です。
収入のない人も、高額所得者も同じ額です。
親に学費を出してもらっている学生にとっては、ちょっときびしい額でしょう。
もちろん、アルバイトなどで収入を得て保険料を支払うことができればよいのですが、支払いが大変なときは、学生納付特例を申請しましょう。
国民年金には、所得が少なく支払いが困難な人のために保険料の免除制度があります。
保険料免除を認めるかどうかは、本人(結婚している人は配偶者も含めて)や世帯主の所得で判定します。
本人が無収入であっても、親の所得を合算すれば免除が認められないこともあります。
だからといって、親に保険料を払ってほしいというのも心苦しいもの。
そこで、学生には特別な制度(学生納付特例制度)があり、親の所得は合算せずに、本人の所得のみで特例に該当するかどうかを判断することになっています。
アルバイトしすぎなければ特例制度を利用でき、保険料の支払いをストップできます。
学生納付特例制度は、「今は保険料の支払いを待ってあげる、将来ゆとりができたときに支払ってね」という趣旨です。

◆保険料はあとで支払うべきもの?

学生納付特例が認められた期間については、保険料の支払い義務はありません。
特例期間は年金の受給資格期間(10年)にカウントされます。
学生納付特例期間は、年金額には反映されません。
老齢基礎年金は20歳から60歳になるまで保険料を支払ってはじめて満額になります。
学生の間、保険料を支払わなければ、その期間については1円の年金額にもなりません。
ただし、10年間に限ってはあとから支払うことができますので、社会人になって得た収入から支払うことが可能です。
これを「追納」といいます。
追納については、日本年金機構からお知らせが届きます。
追納は強制ではありませんが、追納すれば、将来受け取る年金額が増えます。追納する・しないは自分で考えてみましょう。

◆未納に注意

国民年金へは20歳になった月から加入となりますが、納付する場合は期限までに保険料を納付するべきです。
学生納付特例を希望する場合はすぐに手続きをしましょう。
老後の年金は遠い将来の話になりますが、年金は老後ばかりではありません。
事故などで障害の状態になると、障害年金を受け取ることができます。
しかし、保険料の未納期間に事故に遭い、障害の状態になった場合、障害年金はもらえません。
学生納付特例の手続きをした期間は未納期間にはなりませんので、病気やケガに備えるという意味で、手続きをしておくと安心です。
年金は、老後・障害・死亡をカバーするものです。
ケガや病気は突然やってきます。
そのようなリスクに備えて、国民年金の保険料が払えないときは免除や特例の申請手続きをしてください。
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