今月の数字1:請求するなら1年以内!?【2013年 第1回】

【2013年 第1回 今月の数字1:請求するなら1年以内!?】 相続に関する数字エトセトラ

平川 すみこ ⇒プロフィール

このコラムでは、相続に関して知っておきたい話題を毎月の数字に絡めてお伝えしていきます。
1月の数字は「1」。相続において、請求するなら1年以内に!という期間制限が定められているものがあります。さて、それは何を請求する場合でしょうか?

 

 

 

 

遺留分の減殺請求

請求するなら1年以内にやらなければいけないこと。それは「遺留分の減殺請求」です。

減殺(げんさい)なんて、なんともオソロシイ表現ですが、意味は「少なくすること。(広辞苑より)」で、「あなたは相続財産を多くもらっているから、私の遺留分について減らしてよこしなさいよ!」と請求するのが「遺留分の減殺請求」なのです。

■遺留分ってなに?

では、そもそも「遺留分」とはなんでしょう。

詳しくは2010年10月「遺留分にご用心・前半」と11月「遺留分にご用心・後半)」 のコラムをご参照いただければと思いますが、簡単にいうと、遺留分とは、「一定の相続人に与えられた相続財産の最低取得割合で、贈与や遺贈によっても侵害することのできない権利」です。この権利を有する者を「遺留分権利者」といいます

 

遺留分の割合は、原則として法定相続分の2分の1です。

例えば、相続人が子ども3人の場合であれば、各子どもの遺留分は

法定相続分3分の1 × 2分の1 = 6分の1ずつ となります。

 

image

■私の遺留分が侵害されている!?

死亡した方(被相続人)が遺言を作成していたとしましょう。

そこに「全財産は長男○○に相続させる」と書かれてあったとすると、長男以外の相続人が相続財産をまったく取得できないことになります。最低取得できる遺留分に満たないので、「遺言によって私の遺留分が侵害されている」ということになるのです。

 

そこで、侵害されている分の財産を長男から取り戻すというのが「遺留分の減殺請求」ですが、この請求は「相続開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年以内」に限られています。(ただし相続開始から10年で時効となります。)

■遺留分の減殺請求をするには

「最低でも財産を取得できる遺留分はいい制度だ」と思われますか?

私は個人的には、必要性は理解できますが、遺留分という制度があるがために、せっかく遺言を作成していたとしても、もめる相続を引き起こしてしまうのだと思えてしかたありません。

 

遺留分の減殺請求をするには、相手方にその意思表示をすれば足りるとされています。

意思表示の方法として、一般的に「内容証明郵便」で遺留分の減殺請求をするわけですが、相手方がその請求を受け入れてくれない場合は、家庭裁判所の調停、そして審判を利用することができます。

 

と、文章で読むとなんてことない手続きだと思われるかもしれませんが、家庭裁判所までいってしまうと、時間も費用も労力もかかることになり心情的にもなかなか大変なことなのです。何より、請求される相手方の気持ちを察しないまま請求してしまうと、相手方との関係は険悪になり、その後その関係は修復されないまま疎遠になってしまうでしょう。

それまで仲の良かった兄弟でも遺留分の減殺請求を機に断絶してしまうことがあるのです。

 

■遺留分の減殺請求の前に

「でも、私だってもう少し財産もらってもいいはずだし」

「相続財産をもらえないと経済的に苦しくて」

と、遺留分の減殺請求をする方の気持ちも理解できます。

 

でも、そこで遺言を遺した方の気持ちを考えてみてください。

どうしてそのような内容の遺言を作成したのでしょうか? 長男に全財産を相続させるとしたのは、同居してずっと面倒をみてくれたからなのかもしれません。であれば、自分よりも長男の方が財産を多くもらっても仕方ないか、と納得できないでしょうか。

 

ただ、ここでいきなり内容証明郵便を送ってしまうと、それこそ相手方も、何だ!いきなり!と反発してしまうのではないでしょうか。

専門家に「長男ばかり財産をもらっていて・・・」などと相談すると、「じゃあ1年経つ前に減殺請求の内容証明郵便を送りましょう」となることもありますが、できれば減殺請求せずにうまく収まるように、まずは直接話し合いをしていただきたいなと思います。

 

■遺言は遺留分を考慮して

とはいえ、相続人同士でうまく収めるのが難しい場合があることも確かです。

遺言者が、こんな内容の遺言書を作成していなければこういうことにはならなかったのに、ということもあります。遺言を作成する場合は、遺留分という制度があることに留意して、遺留分に十分配慮した内容にするようにしましょう。

ちなみに、遺言の作成に期限はありません。ただし、亡くなってからではもちろん、認知症になった場合なども作成することができなくなります。そういった意味では、元気で判断能力があって生きているうちに!が期限といえるかもしれません。

image 2013年もマイアドバイザー.jpコラムをどうぞよろしくお願いいたします! image
~ 事務局スタッフ一同より ~
  • コメント: 0

関連記事

  1. 老後に備えて知っておきたい 公的な介護制度 【2016年 第6回】

  2. クルマで変わる未来の社会と生活 【2016年 第1回】

  3. 感想 問題36 米ドル建てストリップス債を題材にした損益分岐点レートと損益分岐点の債券価格を求めさせる問題【2018年 問題36】

  4. 結婚したら専業主婦が年金でお得?【2015年 第5回】

  5. お勤めの方(公務員)の相談事情とポイント【2016年 第9回】

  6. ヤマカゲからのラジオこぼれ話 その2【2013年 第2回】

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。