オプション取引を知ろう【2013年 第9回】

【2013年 第9回 オプション取引を知ろう 】投資に必要な経済の知識

有田 宏 (アリタ ヒロシ)⇒ プロフィール

 

デリバティブ商品の中でも、オプション取引はリスクを限定することが出来ます。敷居が高いように見えますが、確かにかなり高いです。しかし、投資経験の長い方はオプションを上手に活用することにより、予想外の損失を回避することが出来ます。

より望ましい投資商品とは?当然、収益は大きく、損失は限定されているという商品ですね。一見、ムシが良すぎるようにも見えますが、そのような商品は実際に有ります。それはオプションという商品を買う事です。

オプションとは、特定の証券や株価指数、通貨などを一定の価格で買う、又は売る権利のことです。買う権利をコール・オプション、売る権利をプット・オプションと言います。

(1)コールオプション

例えば、ある証券を1万円で買う権利のコールオプションがあったとします。この場合、1万円を行使価格と言います。この株が15,000円に上がったとします。それでもオプションを持っていればオプションの売り主から1万円でこの証券を買い、それを15,000円で売れば差引5,000円の儲けです。オプションの売り主はこれを断ることは出来ません。実際には証券を介在させず売主との間で差額を決済することになりますが。

 

反対に、5,000円に下がった場合は?オプションはあくまでも権利ですので、権利を行使するしないはオプションの所有者に委ねられます。その場合は権利を行使しなければ良いのです。それによるペナルティは有りません。

 

ただ、それではさすがにムシが良すぎます。そのような美味しい権利はタダで売ってくれるわけが有りません。そこで、オプションを手に入れるためにはオプション料を払わなければなりません。さらにオプションそのものも、オプションの満期までは売買できます。コールオプションの場合、原資産価格が上がればオプション価格もそれに応じて上がります。満期前に売ることもできます。そこで、コール・オプションの収益は次のように表せます。

 

原資産価格>行使価格 の場合

 コールオプションの収益=原資産価格-行使価格-オプション料(又はオプション購入価格)

 原資産価格<行使価格 の場合

 コールオプションの損失=オプション料(又はオプション購入価格)

 

それを図示するとグラフ1のようになります。

 

(2)プットオプション

次にプットオプションを説明します。プットオプションとはある証券を一定の行使価格で売る権利のことです。ある証券(原資産)を1万円の行使価格で売る場合、その証券が5,000円だったとします。オプションの売り主に価値が5,000円の証券を1万円で売りつけることが出来ます。オプションの売り主は断ることは出来ません。オプションの買主は市場でこの証券を5,000円で調達し、オプションの売り主に1万円で売りつければよいわけで、差引5,000円の儲けです。

 

反対に、15,000円に上がった場合は、コールオプションの場合と同様に、黙って権利を放棄すればよいわけですから、損失はオプションを買った時のオプション料のみになります。

以上を式であらわせば、次のとおりになります。

 

原資産価格>行使価格 の場合

  プットオプションの損失=オプション料(又はオプション購入価格)

  原資産価格<行使価格の場合

  プットオプションの収益=行使価格-原資産価格-オプション料(又はオプション購入価格)

 

これを図示するとグラフ2のようになります。

ちょうど、コールオプションと左右逆になりますね。プットオプションでは原資産の価格が下がれば下がるほど利益が膨らみ、逆に上がった場合の損失はオプション料に限定されます。

 

(3)オプションの売りは地獄への入り口

オプションの買いを説明しましたが、ではオプションの売りは?この場合、上のそれぞれのグラフを上下、反対にしたものになります。利益は限定される一方、損失は際限なく広がる恐れがあります。個人投資家の場合、間違ってもオプションの売りに手を染めてはいけません。売りは主に金融機関がファンドなどの機関投資家が行うべきものです。もっとも個人の場合、オプション売りの取引には買いの場合以上の厳重な審査があったり、そもそも出来ない、などの強い規制が有ります。

 

(4)オプションは敷居は高い?

オプション取引は、危険の少ない買いでも敷居は高いです。原資産換算の取引金額も1億円単位と高い場合が多いです。しかし上場商品でも対象資産は限定されますが、比較的少額の取引から始められるものも出てきています。また一部の証券会社ではカバードワラントという、払い込むオプション料で換算して数千円程度から取引できる商品もあります。

 

ただ仕組みは解りにくいことには変わりませんので、金融に詳しい方でなければなりません。そして一旦儲けると麻薬みたいなものですので、意志の強さが要求されます。オプション料に数百万円もつぎ込むことは止めてください。“あっ”という間に数百万円がゼロになることも有ります。

 

(5)オプション取引の注意点<大事です>

最後にオプション取引の注意点を書いておきます。

 

①儲けを目的とせず、リスク回避を目的として下さい。今ある資産の予期せぬ値下がりに備える、オプションは保険の様なものと考えてください。

 

②それでも、オプション単独で投資する場合、払い込むオプション料は小遣い銭程度にしてください。相場が反対方向に動いたら簡単に無価値になります。オプションを含めたデリバティブ商品はいわば料理の調味料みたいなものです。調味料だけをどんぶり一杯食べたら、体はどのようになるのでしょうか。

 

③くどいようですが、仮に取引が許されたとしても、オプションの売りには絶対に関わらないでください。地獄への一里塚です。

  • コメント: 0

関連記事

  1. 注文住宅の工程と、お金の流れを知る【2013年 第3回】

  2. 柏木幸助と水銀体温計 【2016年 第10回】

  3. 今月の数字2:相続税が2割もアップ!?【2013年 第2回】

  4. 危ない金融商品は矛盾だらけ(2) 【2016年 第3回】

  5. 単利と複利(2) リスク資産の複利効果  複利は必ずしも有利とは限らない【2015年 第6回】

  6. 商品に投資する投資信託・前編【2012年 第7回】

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。