今月の数字6:6割になっちゃうなんて!!【2013年 第6回】

【2013年 第6回 今月の数字6:6割になっちゃうなんて!!】
相続に関する数字エトセトラ

平川 すみこ ⇒プロフィール

このコラムでは、相続に関して知っておきたい話題を毎月の数字に絡めてお伝えしていきます。
6月の数字は「6」。相続税の計算において、あるものが現在の6割になってしまう改正が行われます。それによって相続税が課税される人が約5割増しになるといわれているのですが、いったいどういう改正なのでしょう?

 

 

 

 

「6割になる」というところで、すでにわかった方もたくさんいらっしゃるでしょう。そうです、これは「相続税の基礎控除」の額がこれまでの6割に縮小されるという改正です。この改正法案は平成23年度の税制改正時にも話題になりましたが、東日本大震災もあり法案は成立せず先送り。それが、ついに平成25年度の税制改正で成立しました。

 

■相続税の基礎控除が縮小されるとどうなる?

基礎控除は無条件で課税財産の合計額から差引けるものですので、これが縮小となると相続税が課税される人が増える、相続税額が増えるのは必然です。

 

基礎控除の縮小による相続税の増税については、2011年1月のコラム「相続税が増税になる!?」にも書いていますので、ご参照ください。

 

定額控除だけでも5,000万円が3,000万円に縮小。

相続人が1人だとすると基礎控除額は3,600万円しかありません。

 

老後資金として、60歳以降夫婦2人が平均余命まで生きた場合の支出総額は約1億円という統計があります。それに対して、夫婦2人が平均余命まで生きた場合に受給する公的年金の総額が約7,000万円(厚生労働省のモデルケースによる試算)だとすると、老後資金の不足額が約3,000万円になるので、がんばって60歳までに貯めていきましょう!というようなことがよく言われます。

 

もちろん、老後資金の不足額は年金の加入履歴や個々人の生活スタイルや家庭状況によって異なるわけですが、公的年金の不足を補うために最低でも3,000万円の貯蓄を持ち、マイホームも持っていれば、相続税の基礎控除を軽く超えてしまうことも多々あるわけです。

 

そう考えると、相続税は資産家や富裕層のお金持ちに課税される税金というイメージは払拭され、大衆が相続税を気にかける時代になってくるということですね。

 

■基礎控除はいつから縮小される!?

相続税の基礎控除縮小の改正は、相続税の大幅改正が行われ、平成27年1月1日以降に相続または遺贈で取得する財産に対する相続税に適用される予定です。

 

平成23年度の税制改正大綱では、もし成立していたら平成23年4月1日以後の相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されることになっていましたので、それと比較すると法案成立から適用開始までに期間が設けられたといえるでしょう。

 

相続税においても事前の対策が必要になる場合があります。平成27年からの改正をふまえて今からでも対策の必要性を確認したり検討したりしていきましょう。

 

■基礎控除の額は増やすことができる?

基礎控除の額は「定額控除+法定相続人比例控除」で算出します。

現 行:定額控除5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

改正後:定額控除3,000万円+600万円×法定相続人の数

定額控除の部分は変わりませんが、法定相続人の数が多くなれば基礎控除の額は増えていきます。

基礎控除額が増えれば、課税される遺産額が減るので、相続税額も少なくなります。

 

では、基礎控除額を増やすために、法定相続人を増やすことができるでしょうか?

 

①婚姻して配偶者をもつ

もし、内縁関係の夫または妻がいる場合。婚姻関係がないと相続人にはならないのをご存知でしょうか。遺言で遺産を取得させる場合でも、相続人ではないので基礎控除の額の算出の際には人数には含まれません。婚姻して法的な配偶者になれば、相続人としての地位もあるし、相続税の基礎控除の額も増えることになりますね。

また、配偶者であれば、税額軽減のような相続税が優遇される措置があります。

 

②養子縁組して養子をもつ

子どもの配偶者(婿や嫁)や孫・ひ孫、甥や姪を養子にすることがあります。法律上、養子は法定相続人としての地位を持ち、法定相続分も実子と同じです。そこで、養子縁組をして法定相続人を増やすということができます。

ただし、相続税の計算においては法定相続人の数に含めることができる養子の人数には制限が設けられています。他に実子がいる場合は養子の人数は1人まで、実子がいない場合は2人までです。

 

平川さん6月分イメージ画像いずれも、法定相続人の数が増えることで基礎控除の額を増やし、相続税の軽減につなげることができますが、婚姻、養子縁組することで他の法定相続人と遺産分割をめぐって争いになる場合もありますので、慎重に判断をしてご自身の考えや気持ちを家族にきちんと伝えておくことが大切といえるでしょう。

 

ちなみに、相続放棄をした者がいる場合は法定相続人の数は減るのでしょうか。相続放棄した者は法定相続人にはなりませんが、相続税の計算においては、相続放棄をしていないものとして法定相続人の数を算定します。

 

つまり、被相続人に配偶者と子1人がいて、子が相続放棄をしたとしても、相続税の計算における法定相続人の数は2人です。ただし、他に被相続人の兄弟姉妹が3人いて、子が相続放棄したことで法定相続人が配偶者と兄弟姉妹3人の計4人になったとしても、相続税の計算における法定相続人の数が配偶者と子1人の計2人のままです。相続税軽減のために相続人を増やすことを目的とした相続放棄は意味がないということですね。

 

具体的な相続税に関することは、最寄の税務署や税理士にご確認・ご相談ください。
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