住宅ローンプラン実践編②【ライフプランからお家の予算が増えたケース】【2012年 第6回】

【2012年 第6回】 住宅ローンプラン実践編②【ライフプランからお家の予算が増えたケース】
– ケース別コラム – 住宅ローン

奥田 知典(オクダ トモノリ)⇒ プロフィール

 

一般論もいいけど、やっぱり個別の事例が知りたい!そんなご要望にお応えして、これまで私が実際に相談を受け、対策をとった、『リアルなケーススタディ』をご紹介していきたいと思います。

 

 

□ご相談内容

岡山市内で一戸建ての住宅が欲しい。ただ、将来の不安もあるので、予算は出来る限り抑えたい。まず自分には幾らのローンが借入できるのか、そしてその金額をふまえた場合、新築、中古のどちらにすべきかをアドバイスをお願いします。

□ご相談の背景

このお客様は、夫43歳、妻36歳、長女14歳、長男13歳、二女9歳という5人家族。お子様が3人ということで、既にお子様関連の出費が多く、今後の教育資金にも不安があるという背景がありました。とはいえ今の借家が家賃も高く、冷暖房効率も悪いため光熱費が月4~5万円かかることもあり、マイホームが欲しいということで相談に来られました。

当初のご予算は2500万円。ただ、土地から購入となると岡山市内ではまず新築は難しく、当初の時点では、「中古住宅でも仕方ない…」という想いが強いようでした。しかしじっくりとお話を伺えば、本音はこだわりの注文住宅が建てたいとのことだったので、まずライフプランをするところから始めましょうとアドバイスをし、コンサルを開始しました。

□ライフプランニングで、お金の流れを確認。住宅、教育、老後の各資金バランスを検証

仮に2500万円の住宅取得を実現したとして、住宅ローン支払いはもちろんのこと、毎月の生活費、お子様への支出、学資積立、夫婦の老後資金といった人生の総支出額と、給与や退職金、年金など人生の総収入額を計算し、そのお金の流れとバランスをお客様とともに確認しました。

ご主人は特に慎重な方であったので、給与についても実際の金額の85%程度で算出。より厳しい収入環境で、お金の流れがどうなるのかを確認しました。

その結果、65歳時点で、住宅ローンを繰上げ返済したとしても、2500万円強のお金が残ることとなり、また65歳以降の年間収支はほぼ均衡する見込みとなりました。

□ライフプランの結果をふまえ、住宅予算を見直し

この結果をふまえ、再度お客様と住宅予算をどう考えるか話し合いをしたところ、支払えるのであれば、もっと予算をあげこだわりの家づくりをしたいという結論に至りました。
あわせてお客様から、お勧めの建築会社の紹介を依頼されたので、当方より地場優良工務店を紹介。お客様のご要望を極力組みこんだプランニングを実施し、そこから算出される住宅予算を都度、ライフプランで検証し、家づくり計画を煮詰めていきました。

最終的に、このお客様が住宅にかけられた予算は3800万円。当初の予定よりも1300万円増えましたが、ライフプランをしっかりたて、今後の方針も明確となっており、不安はないとのこと。現在は無事にこだわりマイホームが完成し、家族仲良く幸せにくらしておられます。

 

 

□今回のケーススタディのポイント、注意点

とはいえ、予算が1300万円増える分、住宅ローンの借入金額が増えるわけですから、ローンプランにはより一層慎重な判断が必要です。特にこのお客様の場合は、お子様が3人、しかも14歳、13歳、9歳と、たちまち高校~大学と進学費用がかかるため、出来るだけ低金利の、長期固定金利が最も必要でした。ちょうどタイミングよく、フラット35S(当初10年間金利▲1%、11年目~20年目金利▲0.7%、21年目~金利▲0.3%)が使えたので、迷うことなくフラット35Sを利用しました。

なお、フラット35は、取扱金融機関ごとに金利や、融資手数料が異なり、金利が最低水準となっている金融機関の殆どは、融資金額の1~2%程度の融資手数料がかかります。このお客様は自己資金があまり潤沢でなかったため、多少金利は割高でも、融資手数料はかからない金融機関を選びました。このあたりの目に見えにくい費用についても、よく確認しておくことが必要です。

今回のケーススタディのポイントは、お客様の先入観で決めた住宅予算を、ライフプランで検証し、実際の希望、想いをふまえた予算に変更した、というところ。住宅の予算とローン借入金額は少ないほうが安心なのは言うまでもありませんが、必要以上に絞りすぎ、後で後悔する人も少なくありません。

「身の丈」にあった予算とは幾らぐらいなのか?自分はマイホームに対しどのような想いと価値観を持っているのか。このお客様はライフプランを通じそれらの疑問を解消し、後悔のないマイホーム取得を実現されました。これから取得を検討されている方はぜひ、ライフプランを通じた住宅資金計画づくりを実践いただきたいと思います。迷った方は、住宅取得に関わるライフプラン経験の豊富な、身近なFPに相談されることをオススメします。

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