柳井正とユニクロ(後編) 【2016年 第12回】

【2016年 第12回 柳井正とユニクロ(後編)】風は西から・・・日本の産業を創った長州の偉人たち

上津原 章(ウエツハラ アキラ)⇒ プロフィール

こんにちは。山口県のファイナンシャルプランナー、上津原と申します。
今回も、世界トップクラスのアパレル製造小売業、ファーストリテイリングの柳井正氏を取り上げ、上場の低迷期から今日までのお話をしたいと思います。
世界の名だたるアパレルショップ「ZARA」「H&M」「ユニクロ」に共通しているのは、発祥の地がそれぞれの国の地方都市にあることです。
昔、ファーストリテイリングの本社の最寄り駅のトイレが汲み取り式だったことに衝撃を受けました。
どこにいても、世界へ羽ばたけるということでしょうか。

 

 

上場後の低迷期

ファーストリテイリングは、1997年2月に東京証券取引所第二部に上場します。

同じ年の秋に、「ユニクロ」以外にファミリー向けの「ファミクロ」、スポーツウェアに特化した「スポクロ」といった新業態を実験的に出店します。
ところが、これらの業態はうまくいかず、わずか数か月で「ユニクロ」に戻されたり、撤退したりします。
このようなこともあり、1998年6月には1000円割れ寸前まで株価も下落してしまいます。

1998年2月には、本社を山口県宇部市から山口県山口市へ移しています。

 

原宿店出店・フリースブーム

ユニクロを全国的に有名にしたのが、1998年10月に販売されたフリースジャンパーです。
その翌月には東京に原宿店を出店。
フリースジャンパーは当時の価格で1900円(+消費税)。
安さと温かさ、そして原宿進出による宣伝効果とが相まって、爆発的な大ヒットとなります。
2000年の秋・冬には2600万着を売り上げます。
販売数だけで見ると、日本人のおよそ5人に1人が購入したことになります。

2000年には東京証券取引所第一部上場を果たします。
株価は2000年11月に32,200円の高値を付けます。
株式分割も考慮すると、2年余りでおよそ60倍に株価が上昇したことになります。
その後、再び株価の低迷期を迎え、回復するのに9年を要しています。

 

野菜栽培・社長交代

2002年11月、SKIP(スキップ)というブランドで野菜や果物の販売を始めます。
永田農法によって水分や栄養を最小限にして育てられた野菜や果物は、本来持っている味を最大限に引き出されおいしくなるとのことでした。
販売された商品への評価は高かったものの、価格も高かったことから売り上げが伸びず、わずか1年半で撤退しました。

2002年の同じ時期には、柳井正氏から玉塚元一氏(現:ローソン代表取締役会長)へと社長が交代しています。
3年後には再び柳井正氏へ社長が交代して今日に至ります。

 

結び~今日~

柳井社長に戻ってからは、多角化をしながらもユニクロを主力とした店舗展開をして今日に至っています。
多角化の過程において、FOOT PARK(フットパーク 旧:靴のマルトミ)のように消滅したブランドもいくつかあります。

2016年8月の時点で、ファーストリテイリングの総店舗数は3160店舗となりました。
このうち、ユニクロの店舗数は1795店舗で全体の6割弱です。
すでに、海外の店舗数が958店となっており、国内店舗数を上回っています。
残りの4割強を、GU(ジーユー)やTheory(セオリー)といった他ブランドが占めています。

 

2000年11月、私が出席した株主総会で、柳井社長は、

「店舗数を(日本)マクドナルドと同じくらいにする! マクドナルドができるのなら我が社にできないわけはない。」

といっておられました。
個人的には大言壮語のように思われましたが、すでに日本だけでなく海外へ進出することを考えておられたのかもしれません。
また、柳井正氏は藤田田氏(日本マクドナルド創業者)を尊敬していたので、尊敬している方を超えたいという思いもあったのでしょう。
日本マクドナルドは現在国内で2912店舗(2016年9月現在)ですので、公言してから15年余りで店舗数を上回ったことになります。

本当に願っていることであれば、公言して挑戦してみる。私たちにとっても大切なことではないでしょうか。

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