投資信託の基礎5 ~リートについて~ 【2015年 第7回】

【2015年 第7回 投資信託の基礎5 ~リートについて~】インフレに備えて 基礎から学ぶ 投資信託

恩田 雅之(オンダ マサユキ)

リート(REIT)は、(Real Estate Investment Trust)の略になります。
日本語では、不動産投資信託と訳されています。
保有する不動産の賃料収入等をベースに投資家に配当を行う金融商品です。
今回はリートの仕組みと投資の仕方についてみていきます。

 

 

はじめに

マネー・セミナー等で「リート」の仕組みや特徴について話す機会があります。

その時感じますのは、「リート」という言葉の認知度は高いが、リートの仕組みについて理解している方は意外と少ないということです。

今回のコラムでは、リートの仕組みを中心に、リートの主なリスクとリートへの投資の仕方について基本的な内容の説明をさせていただきます。

リートの仕組みについて

リートは、多くの投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、賃貸マンション等、賃料収入が得られる建物を取得して、その賃料や建物の売却益などを投資家に分配する仕組みの金融商品になります。また、ほとんどのリートは、物件(建物)を取得するための資金を金融機関からの融資によっても賄っています。

 

賃料や建物の売却益等から、保有する建物を維持管理するための費用やビルに入るテナント募集に掛かる経費や金融機関からの融資に対する利子等の費用を差し引いた部分がリートの利益になります。

「リートの利益=(賃料+物件売却益)-経費-支払利子」

 

一般の企業の場合、この利益から税金分が引かれて純利益となります。

リートの場合は、税引き前の利益の90%以上を投資家に分配しますと法人税が掛からない制度になっています(リート税制)<図1>。

*税制につきましては、国によって制度が異なります。

 

 

 

 

 

 

上記の一般企業の図にあります「法人税」以外の設備投資や研究開発等に活用される「内部留保」もリートにはありませんので、一般の企業に比べて配当を投資家に出しやすい仕組みになっています。

因みに2015年6月30日時点の日経225の配当利回り1.42%、期間10年の国債の利回り0.445%に対して、Jリートの平均配当利回りは3.25%と他に金融商品に比べ高い利回りになっています。

リートの主なリスク

リートの主なリスクとしては、

1.空室率や賃料の変動によりリートの価額が変動する価格変動リスク。

2.金利の上昇により利子負担が増える金利変動リスク。

3.金利上昇に伴う債券利回りの上昇により、リートから債券への投資資金が流れ、リートの価

額が下落するリスク。

4.地震や洪水、火災等による災害リスク

等があります。

リートへの投資方法

リートへの投資の方法は、大きく2つあります。

1.上場されている個別のリートに投資

2.リートを運用対象にしているファンドに投資

1の上場されているリートへの投資は、通常J-リート(日本のリート)への投資になります。

株と同じように証券会社を経由した取引になり、指値注文や成行注文ができます。

一口あたりの購入単価は、数万円~百数十万円と購入するリートにより価額が大きく異なります。配当利回りは、4%以上のリートから1%台のリートもあります。大半のリートは3%台となっています。

2のファンドへの投資では、複数のリートに分散投資をすることができます。

また、「日本」「グローバル」「北米」「オセアニア」「アジア」等と投資対象地域を設定したファンドがいくつも販売されています。

ファンドを使った投資の特徴としては、海外のリートに投資ができる点、1万円程度から投資を始められる点になります。

前回、「投資信託の基本4 リスクについて」のコラムで説明いたしました「ドルコスト平均法」を活用した積立投資を考えるのであれば、ファンドを活用した運用の方が適しています。

但し、ファンドによる運用では、保有している期間は、信託報酬が掛かります。その費用についての確認及び同じような運用をする他のファンドとの比較検討も行いましょう。

まとめ

以上、リートの仕組み、主なリスク、投資方法についてみてきました。

リートは、日銀が目指す2%のインフレ率を上回る配当利回りが期待できる金融商品の1つになります。リスクや仕組みを理解して、株や債券以外の投資対象として活用してみるのも一案です。

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