「勤労感謝の日」【2012年 第11回】

【2012年 第11回】「勤労感謝の日」     エリア別コラム – 地域:北海道東北

恩田 雅之(オンダ マサユキ)⇒プロフィール

11月23日は勤労感謝の日です。
今回は、「月例経済報告」(内閣府)、「平成23年雇用動向調査」(厚生労働省)を参考に全国的な労働環境についてみていき、北海道については、「金融経済概況」(日銀札幌支店)、「中小企業労働事情実態調査報告書 北海道における中小企業の労働事情」(北海道中小企業団体中央会)を参考にして労働環境をみていきます。

 

 

 

全体的な雇用情勢

平成24年10月の「月例経済報告」では、全国的な雇用情勢を「依然として厳しさが残るものの、改善の動きがみられる。」と報告しています。
北海道の「金融経済概況」では、「雇用・所得情勢をみると、労働需給は厳しい状況の中で緩やかに持ち直しているものの、雇用者所得は弱めに推移している。」と報告しています。

ただし、10月30日に厚生労働省の発表では、「9月の有効求人倍率が3年2カ月ぶり悪化0.81倍、失業率
は横ばい」とあり予断を許さない状況が続いています。

全国の雇用動向

「平成23年雇用動向調査」から平成23年1月1日から平成24年1月1日までの入職、離職をみてみますと、

 

 

 

になり、一般が1年間で22万人減、パートが10万人増、差引して11万人減になっています。
また、入職率や離職率は前年に比べて低下し、平成16年以降最低になっているそうです。将来の景気や生活への不透明感が影響していると思われます。

また、転職入職者の賃金動向状況をみると、前職に比べて賃金が増えた人が28.5%、変わらない人が
38.1%、減った人が32.0%という結果になり、パートの増加が賃金動向にも表れてきているのかも知れません。

北海道の中小企業の雇用形態

北海道中小企業団体中央会が発表した「2012年 中小企業労働事情実態調査報告書 北海道における中小企業の労働事情」に基づいて、雇用の状況をみていきます。
道内の従業員300人以下の1500事業所を対象にアンケート調査をしています。有効回答数は、871事業所(58.06%)、内訳は製造業276事業所、非製造業595事業所です。
従業員の男女構成比は、男性75.55%、女性24.45%になり、うち常用労働者の男女構成比は、男性75.55%、女性が23.45%です。
以下、従業員の雇用形態を事業所の規模別で全体、男女別でみてみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、北海道の中小企業の傾向としては、男性は正社員の割合が従業員規模に関係なく高く(83.76%)、女性は従業員規模により正社員の比率にばらつきがみられます。全体でも正社員の比率は、男性と比べて低い水準(49.47%)にあります。

求人求職からみた、北海道の雇用環境

「金融経済概況」では、「有効求人倍率(常用)は、新規求人数が医療・福祉、建設業、飲食・宿泊業を中心に増加していることなどから、前年を上回って推移している。一方、雇用者所得は、一人当たり名目賃金が低下傾向にあることから、弱めに推移している。」と報告されています。
北海道労働局の「職種別、求人、求職、賃金状況」(平成24年8月)を上記の増加している職種でみてみますと、以下のようになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

一般は、「求人賃金<求職者希望賃金」になり、パートは、「求人賃金>求職者希望賃金」と逆のパターンになりました。この傾向は、北海道労働局が区分している全37職種でもほぼ同じ傾向でした。一般は37職種とも、「求人賃金<求職者希望賃金」でした。

パートでは、「求職賃金<求職者希望賃金」の職種が5職種(建築・土木・測量技術者、販売店員・
訪問販売員、営業員、整備工・修理工、包装作業員)、求人募集なしが3職種、それ以外の29職種は、「求人賃金>求職者希望賃金で」した。

上記のことから、企業は正社員の雇用には慎重ですが、パートについては、良い人材を採用したいと
いう意図がみてとれます。

最後に

団塊の世代の大量退職により、数年間は正社員の雇用も上向くことが考えられますが、長期的にはパートの比率が上がり、勤労が不安定になっていくことが考えられます。

勤労の不安定が、生活の不安定に直結しないように、ファイナンシャル・プランナーとして、「ライフ
プランの作り方」、「社会保障の仕組み」、「保険や金融の知識」などを、これから社会を支える若い
へ、地道に伝えていきたいと思います。

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