住宅購入 契約前後のお金のトラブル【2010年 第 10 回】

【 2010年 第 10 回 】住宅購入 契約前後のお金のトラブル ~消費者力をアップしよう

福島 久美子(フクシマ クミコ)⇒プロフィール

手付金は返還可能?

何気なく見に行ったマンションのモデルルーム。

物件を見て一目ぼれし、購入意欲が高まっていたところ、「人気物件ですから、とりあえず今日手付の一部でもうってもらえればおさえておきますよ」との営業マンの言葉に、つい10万円を支払ってきてしまった・・。

後で冷静になり気が変わって申込みを取り消したいという場合、このお金が返還されるかどうかをめぐってトラブルになることがあります。

申し込みを取り消しても全額返金されると聞いていたのに、いざ取り消そうとすると、他の客を断わって物件をおさえているのだからとか決まりだからなどと言われ返金はできないと業者に主張された・・。相手に強く出られると、不動産取引に慣れていない個人の買主は、そういうものなのかと気弱になってしまいがちです。

申込金と手付金の違い

このような場合、支払ったお金が購入の意思を示し、申込順位の確保を目的とする「申込金」なのか、双方が合意し契約が成立したという証拠の意味を持つ「手付金」なのかによって返金されるかどうかが異なりますので、支払ったお金がどのような性質のものなのかを確認してみる必要があります。

「申込金」とは契約前に支払う金銭のことで、(預かり金、申込証拠金、予約金などとも呼ばれます)、契約に至らなかった場合には全額返却されるというのが一般的な考え方です。金額に特に決まりはありませんが5~10万円程度が多いようです。申込金を払うと、1週間程度は物件をおさえておいてもらえます。

これに対し「手付金」とは売買契約成立時に支払う金銭のことで、売買代金の一部に充当されます。契約解除ができる条件を満たしていて、買主側の都合で契約を解除する場合には買主は手付金を放棄(=戻ってこない)し、売主側の都合の場合には売主は手付金の倍返しをします。手付金は売買代金の5%~10%程度(上限20%)を支払うのが一般的です。

不動産売買の契約成立には、契約前に必ず宅建主任者が重要事項説明を行わなければならず、かつ、口約束ではなく書面で契約書を交わし双方が署名捺印する必要があります。このプロセスを踏まないで授受されたお金は手付金の性質を持ちません。

申込金の支払いから手付金の支払いまでを一週間たらずの間にバタバタっと済ませるケースが少なくないので、買主にとっては申込金と手付金の区別があいまいになりがちです。

たとえば申込金として10万円を支払い、その3日後に手付金という名目で200万円を支払ったとしても、それが売買契約締結前であればいずれも申込金の扱いとなりますので、全額返還を申し立てることができるわけです。

契約が成立していない段階では、冒頭の営業マンのように「手付の一部をうつ」と称するのは不正確で、ついでに言えば手付金の分割払いは宅建業法で禁じられています。

トラブル自衛策は?

トラブルを防ぐ自衛策としては、申込金を支払うときは、受け取るのは領収書ではなく「預り証」となっているか、キャンセルの場合には返金される旨の記載があるかを確認する、物件確保の期限を聞いておくことなど。

住宅購入の際には複数回、金銭の授受が発生します。大金ですから戻ってこないことになれば以降のライフプランにも影響しかねませんので、どんな性質のお金を支払うのか、キャンセル時の扱いはどうなるか、しっかり確認して後悔のない買い物をしたいですね。

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