年代別FP相談30代【2016年 第5回】

【2016年 第5回 年代別FP相談30代】最近のFP相談事情と今後

長谷 剛史 (ハセ タケシ)

第4回では年代別の相談事情とポイントの1回目として、平成生まれが大多数を占める20代を取り上げてご紹介しました。
今回は、年代別の相談事情とポイントの2回目として、人生のイベントが多い30代を取り上げてご紹介したいと思います。
年代別では相談に来られる方が一番多い年代になります。

(1)30代の悩みや不安とは?

相談者の日常生活での悩みや不安を理解し、その解決策を一緒に考えることがFPに求められています。
前回の20代と同じように、内閣府の「平成26年度国民生活に関する世論調査」から30代の悩みや不安を確認してみましょう。
まずは、悩みや不安を感じている割合は64.7%となっており、他の世代に比べるとやや低めですが20代よりは高めになっています。
30代は責任ある仕事を任されることも多くなり、また、プライベートでも恋愛から結婚、家族の悩みが生じてくるからかもしれません。

次に悩みや不安の内容ですが、第1位は「今後の収入や資産の見通しについて」、第2位は「老後の生活設計について」、第3位は「現在の収入や資産について」、第4位が「家族の生活(進学、就職、結婚など)上の問題について」となっています。
30代で結婚する方が多いので、20代とは違い家族の生活に関する悩みや不安が上位にランクインされてきたのが大きな特徴です。
また、30代になると老後の生活に不安を抱く方が20代に比べ増加しているのも1つの特徴と言えるでしょう。

(2)ライフプラン=将来計画のご相談

結婚や住宅購入及び子どもの誕生など大きなお金が必要な人生のイベントが目白押しの30代は、これらのイベントをきっかけに多くの方が相談に来られます。
終身雇用や年功序列制度が崩壊しつつある先行き不透明な時代でもあり、将来計画を専門家にアドバイスをもらいながら早めに立てておきたいという方が増加しています。
ご夫婦でも考え方や価値観が違う場合は多いですので、早い段階で第三者であるFPも交えてお金だけではなくライフプラン=将来計画のことを話し合うことは非常に意味があることだと考えています。

(3)住宅購入のご相談

結婚や子どもの誕生をきっかけに住宅購入を考え始め、子どもが小学校へ入学する前に引っ越したいと考える方が多いようです。
住宅購入は人生で一番高い買い物と言われるように数千万円かかりますので、専門家に相談したいとお越しになる方が年々増加しています。
具体的には、身の丈に合った物件価格が知りたい、住宅ローンの仕組みや組み方を知りたい、預貯金のうち頭金にどの程度まわせば良いのかなどのご相談が多く、10年ほど前と比較すると慎重に対応したいという方が増加しているように感じます。

(4)教育資金のご相談

子どもが生まれる又は奥様が妊娠すると今までお金に無頓着だった方でも、教育資金の心配をするようになるのは親心でしょうか。
いくらぐらい準備すれば良いのか?どのように準備すれば良いのか?と相談に来られる方が多いです。
1人の子どもを大学まで進学させようと思うと大きなお金が必要ですので、子の親になって初めて相談者も親にこれだけのお金をかけて育ててもらったことを実感し、感謝しないといけないとおっしゃる方も少なくありません。
教育方針は各家庭によって違い、子どもの予定進路や学習塾及び習い事等によっても子どもにかかるお金は大きく異なってくることがポイントです。

(5)老後への備えとして資産運用のご相談

30代の悩みや不安第2位が「老後の生活設計について」という結果を反映してか、老後への備えとして資産運用の考え方や実践の仕方を教えて欲しいというご相談が増加しています。
資産運用の必要性を感じ、株式投資や投資信託に興味を持つ方が多くなっているのは、良い傾向だと思います。
勿論、資産運用を実践するということはリスクを伴いますが、預貯金や円だけで資産を所有していることもリスクですので、ある程度勉強してから実践に移すことが大切です。

30代の方からの相談事情とポイントは参考になりましたでしょうか?
住宅購入や教育資金のご相談と合わせて、親世代からの相続・贈与や保険に関するご相談も多いですが、今回は30代の方の特徴を考慮して相談事情をご紹介しました。
また、ポイントとしては、30代は他の世代に比べ人生のイベントが多いので、FPへの相談ニーズが高い世代であることを挙げることができます。
是非、30代のうちに一生お付き合いができるFPを見つけて、将来不安を安心に変えて欲しいと思います。

次回は、年代別の相談事情とポイントの6回目として40代を取り上げますので楽しみにお待ちくださいね。

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