海外に投資するための金融商品その③「外国債券」【2016年 第5回】

【2016年 第5回 海外に投資するための金融商品その③「外国債券」】海外投資のイロハを学ぶ

永柄 正智(ナガエ マサトモ)

日本で「債券」といえば、安全資産である国債のイメージが強く、一般の方にとってはあまり馴染みのない金融商品かもしれません。
しかし、海外に目を向けてみると、日本の国債に比べると利回りが高く、魅力のある「外国債券」が数多く存在しています。
今回は、海外不動産や外国株式などと比べて地味な存在の「外国債券」について、その特徴や魅力、購入する時の注意点についてお話します。

外国債券とは

「債券」とは、国や地方公共団体、企業などが資金を投資家から集めるために発行する有価証券の一種ですが、一般的に「外国債券」といえば、「米国債」や「南アフリカランド債」のように海外で発行されている債券をイメージする方が多いのではないでしょうか。

しかし、外国債券とは、「発行市場」「発行体」「通貨」のいずれかが海外であるものを言い、国内で「外貨建て」で発行される債券や、海外で「円建て」で発行される債券も外国債券に分類されます。

例えば、海外の「発行体」が日本の投資家向けに「円建て」で発行する債券は「サムライ債」(円建て外債)と呼ばれ、また同じく海外の「発行体」が日本国内で発行する「外貨建て」の債券は「ショーグン債」と呼んで、いずれも外国債券に分類されます。

外国債券の魅力

日本ではマイナス金利の導入によって国債の利回りがマイナスになるなど、投資商品としての魅力は相当薄れてきているように感じます。

しかし海外の金融市場に目を向けてみると、日本の国債よりははるかに高い利回りの債券が数多く存在していて、国内の債券市場とは比較にならないほどの魅力があります。

世界各国の政府が発行する国債の金利は、その国々の金融政策や経済状況と密接に関係しており、中央銀行の政策金利が高い国では国債の金利も高くなる傾向にあります。
例えば米国債10年物の年利回りは現在1.5%前後で、ここ2年程の間に利回りが低下してきてはいるものの、日本の国債に比べれば十分に魅力があると言えます。

外国債券を購入する場合には、購入を検討する国の経済状況や金融政策などを参考にして選択することが重要になります。
闇雲に金利が高くてリスクも高い外国債券を購入するのではなく、アメリカやオーストラリアなどの先進国の中で、政治や経済状況が安定していて、ある程度の利回りが確保できる外国債券を選択肢として検討してみるとよいでしょう。

外国債券のリスク

ただし、外国債券を購入する場合に一番に注意をしなければならないのは、「為替リスク」の存在です。

外国債券を購入し、利子や償還金を受け取る場合には、その時点の為替水準で計算されます。
したがって、円で換算した場合の受け取り金額や評価額がその都度変動することになるのです。

一般的に、購入時点よりも円高になれば、円での受取金額は減り、逆に円安になれば受取金額が増えて、いわゆる「為替差益」を得ることが可能です。
外国債券を購入する場合には、今後の為替相場の動向や購入対象の国の政治や経済状況にも十分に注意を払っておく必要があります。

分散投資に向いている外国債券

海外投資をする時には、「資産」「国や地域」「通貨」「時間」の4つを分散させることが大切であることは、第2回のコラムでも触れました。
今回取り上げた外国債券を保有することで、4つの分散のうちの「資産」「国や地域」「通貨」の3つの分散が可能になりますので、分散投資をする際に選択する金融商品の一つとして向いています。

海外投資といえば、「外国株式」や「海外不動産」などが注目されがちですが、海外の成長に対して投資をするのであれば、「外国債券」も十分に魅力のある金融商品です。

特に外国の国債を購入することは、その国の未来の成長に対して投資をすることでもありますので、今後の成長に期待が持てる国の国債に投資をすることも海外投資の選択肢の一つだと思います。

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