株式投資のしくみ①【2011年 第4回 】

【2011年 第4回】 株式投資のしくみ① ~金融商品の仕組み~

鈴木 暁子(スズキアキコ)⇒ プロフィール

投資といえば“株”を思い浮かべるように、昔から株式投資は投資の代表的な商品です。
それでも「よくわからない」「怖い」というイメージを持っている人も少なくありません。今回から3回かけて株式投資をひもといていきましょう。

 

 

 

株式投資の基本

株式投資は、投資商品としては外貨投資や投資信託より以前からなじみのあるものです。にもかかわらず「よくわからない」「怖い」と敬遠する人も多いのも事 実。今回はまず株式投資のキホンをお話していきます。(株式投資は「現物取引」と「信用取引」がありますが、コラムでは一般的な現物取引を取り上げます)

そもそも「株式」って何でしょう?
企業が営業や開発などの企業活動をするためには資金が必要です。もちろん企業自身も自己資金を保有していますが、活動資金をすべて自己資金から支出してしまうと企業の資金力がグッと減ってしまいます。

皆さんも住宅購入する際、自己資金として支出する分に預貯金を目いっぱい使うことはしませんよね。何かあると心配ですから一部預貯金は確保し、残りはローンを組んで資金調達していると思いますが、それと同じイメージです。
つまり株式を発行してそれを購入してもらうことで資金調達をしているのです。ではちょっと話はそれますが、企業が資金調達をする方法としてもうひとつありますが何だと思いますか?

第2回目のコラム(国内債券)で「債券は基金集めの手段」と説明しているように、企業としては資金調達方法として株式発行と債券発行があるわけです。言い換えると、私たちが企業に投資する方法として株式投資と債券投資があるということです。

債券投資の特徴は

①金利が約束されている。
②満期まで保有していれば、原則元本保証(額面での償還)。
③途中換金の場合は元本保証なし(時価での売却)。

でした。
つまり債券の場合は債券の値上がり益というよりも、預貯金より高い金利収入を期待して、かつ元本割れを避けるため満期まで保有するというのが一般的です。

これに対し、株式投資は預貯金や債券のように約束された金利はありませんし、満期の概念もありません。元本保証もありません。

株式投資で収益を得る2つの手段

株式投資で収益を得る手段は2つ。「売買益」と「配当」です。

売買益はキャピタルゲインとも言われますが、株式を購入した時より株価が上がったら売却すると、その差額が収益となります。業績が良く、株価が 20~30%上昇することも珍しくありません。そこまで上昇しなくとも5%程度の上昇のチャンスはしばしばあります。社債の金利であればせいぜい 1.3~1.5%前後ですが、それに比べれば圧倒的に高い収益力であり、株式投資の場合は、このように売買で収益を期待するのが一般的です。

また、「配当」も株式投資独特のしくみです。

企業は株式を発行し投資家から資金調達をして企業活動を行います。その結果利益を上げることができれば、企業としては投資家にお礼の気持ちを還元しようとしますが、それが「配当」です。「1株につきいくら」と決め、投資家の保有株式数に応じて配当を出します。

配当は、売買益のような大きな収益ではありません。銘柄にもよりますがせいぜい2%程度くらいですが、それでも超低金利から見れば魅力的な数字です。

魅力と裏腹のリスク

ここまで株式投資の魅力的な面をご紹介しましたが、当然これらの魅力と裏腹のリスクもあります。

値上がり益の説明は「値下がり」という言葉に置き換えられリスクとなります。また配当は「利益を上げれば株主へ還元」するものですから、思うように利益が上がらなければ配当も少なくなったり、場合によってはゼロということも。

大きな収益を上げることより限りなく元本が保証されることを重視し、定期預金より多めの利子を確実に受け取れれば十分、と思う人であれば債券投資。元本割れのリスクも承知した上で、積極的に大きな収益を目指したいというのであれば株式投資。

スタートラインから投資に対する考え方が違いますので、株式投資に挑戦する場合は、まず自分の方針がそちらで良いのかを納得してから始めるべきです。

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