NISA口座獲得競争激化!でも、重要なの は焦らないこと【2013年 第2回】

【2013年 第2回 NISA口座獲得競争激化!でも、重要なのは焦らないこと】
最新ニュース解説。FPとして言わせていただくと…

菱田 雅生 

金融機関によるNISA口座獲得キャンペーンが激化しています。私たち利用者側からすると、現金プレゼントなど、魅力的に感じられるものも数多く ありますが、なぜいま金融機関は躍起になってキャンペーンをしているのでしょうか。
その理由を考えつつ、NISA口座の開設に向けて無難なスタンスについて考えてみたいと思います。

 

●過熱するNISAキャンペーン

2014年1月から始まるNISA(=日本版ISA、少額投資非課税制度)の口座獲得競争が激化してきているようです。金融機関によっても温度差はありますが、力を入れている証券会社や銀行などでは、現金プレゼントを実施するなど、完全にお金で釣る作戦に出ているところもあります。
現金プレゼント(または、投資信託購入資金プレゼント)の金額としては、証券会社だと2,000円前後、銀行だと500~1,000円あたりが相場のようですが、マネックス証券などのように事前申込者のうち抽選で100人に10万円をプレゼントするといったキャンペーンを打ち出しているところもあります。

●NISAの制度設計がキャンペーン競争を起こさせている

では、なぜ制度開始の半年以上前から金融機関による口座獲得競争が起きているのでしょうか。その原因は、NISAの制度そのものにあると思われます。
そもそもこの制度は、2013年いっぱいをもって上場株式等の配当金や譲渡益(売却益)に対する軽減税率10%(復興特別所得税を考慮すると10.147%)が終了し、20%(同20.315%)の税率に戻るのにあわせて、個人の株式市場への参加を促す観点から創設されるもの。対象者は、20歳以上の居住者等。1人1口座だけNISA口座を開設することができ、投資した年の1月から起算して5年以内の配当金等や譲渡益が非課税になる仕組みです。
NISA口座の開設可能期間は、2014年から2023年までの10年間(将来的な恒久化も検討されています)。
ただし、1人1口座なので、複数の金融商品取引業者(証券会社等)で開設することはできません。そして、新規投資額(元本)で毎年100万円までが非課税の対象。限度額は5年間で最大500万円まで。また、非課税期間の5年経過後は、その時点の価格で課税口座(特定口座や一般口座)に移すか、翌年の
非課税枠100万円を利用してNISA口座内で保有し続けること(ロールオーバー)も可能です。したがって、最長で10年間、非課税での運用を続けられるわけです。
金融機関の立場からすると、1人1口座なので、先に他の金融機関でNISA口座を作られてしまうと、つけ入る隙がなくなってしまうというのが大きいでしょう。また、NISA口座はいまのところ4年間は金融機関の変更ができません。毎年金融機関を変更できるようにする制度改正も検討されてはいますが、一度作ったNISA口座をやめて他の金融機関で作り直す投資家がどの程度いるのかというと、おそらくあまりいないと思われます。
というのも、A金融機関でNISA口座をやめてB金融機関でNISA口座を作りなおす場合、A金融機関の非課税枠で買っている商品(上場株式や株式投資信託等)は、売却するか、その時点の価格で課税口座に移す必要があるからです。
ロールオーバーすれば最大で10年間非課税の恩恵が受けられるものを、途中で放棄してB金融機関で新規資金による投資に切り替えることになります。当然ながら、それまでの4年間で利用してきた最大400万円の非課税枠は、B金融機関のNISA口座には移せませんから、また100万円の非課税枠からスタートするわけです。よほど魅力的な金融商品でもない限り、金融機関を変更するメリットは投資家にはないといえます。金融機関もそれがわかっているので、大々的なキャンペーンを打ち出して、1人でも多くの顧客を囲い込もうとしているわけです。

●さらなるキャンペーンも?

最近では、SMBC日興証券やフィデリティ証券などで、NISA口座内で購入する投資信託の販売手数料を無
料(ノーロード)にする動きも出てきているようです。今後もNISA用のサービスやキャンペーンが打ち
出されていく可能性が十分に考えられます。
正式なNISA口座の開設受付は2013年10月からですし、2014年の非課税枠を使うための口座開設期限は2014年9月末までなので、私たち投資家としては、口座開設を焦らないことが重要かと思われます。
早く買ったほうが確実に利益は大きいというのであれば急ぐべきですが、上場株式や株式投資信託は、長く持てば持つほど利益が大きくなると決まっているものではありません。多くの投資家が買いに殺到するときには、静かに動かず様子を見守っておいたほうがよい場合も多々あります。
NISA口座の開設も、キャンペーンなどに惑わされず、商品ラインナップなどを吟味したうえで冷静に金
融機関選びをすることが重要でしょう。

 

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