第1回 任意後見契約~元気なうちにできる「老い支度」あれこれを知っておこう パート4 前半   お墓の準備と整理について①【2015年 第1回】

【2015年 第1回 任意後見契約~元気なうちにできる「老い支度」あれこれを知っておこう パート4 前半 お墓の準備と整理について①】
相続の実際の現場からレポ①

竹原 庸起子 ⇒ プロフィール

相続専門のファイナンシャルプランナー・行政書士の中野庸起子です。前回までのコラム3回分では、4つの老い支度として準備できる生前契約4つについて説明しました。 では、今回はこれらの生前契約のうち「死後事務委任契約(前回のコラム参照)」のなかで取り決めることの多い「先祖代々の仏壇・お墓のゆくえ」や「死後の納骨、埋葬、法要の取決め」を生前にどこまでどのように決めておくのがいいのかについてお話します。

死後に相続人で決めなければならないわけではなく、生前に本人が遺言書もしくはその他の方法で決めることができるのです。仏壇のこと、お墓のこと、自分のお骨はどうしてほしいのかについてなども生前決めておいたほうがいいかもしれませんね。 今回はその前半として「先祖代々のお墓の承継」について会話形式でお伝えします。

「先祖代々のお墓の承継」

前回のコラムからの続きですので、A子さんとB子さんのケースでお話します。

 

A子さんは、先祖代々のお墓を誰に承継させればよいのか、自分が死んだあとの枕経・通夜・葬儀・初七

日からその後続く法要・永代供養・納骨先をどうするのかについてとても悩んでいて、B子さんに相談し

ました。以下、「お墓の承継について」のお二人のやり取りとその後の解決方法についてお伝えします。 

A子 「私が死んだら、先祖のお墓は誰が守ってくれるのかしら?私の両親や親戚が埋葬されているから、今までそのお墓にかかる費用はすべて私が出して守ってきたけれど、私は子どもがいないから、そこには入るつもりがないのよ。相続人のところにいくのかしら?どうしたらいいの?」

B子 「お墓や仏壇は相続税法上「祭祀財産」と言うものなのです。もっとわかりやすく言うと、ご先祖のお墓や祭壇 位牌 仏壇のことを祭祀財産と言って、これらのものは、相続財産ではありませんから財産を取得する相続人が承継するとは限りません。祭祀財産の承継は、生前に、A子さんが法律上の相続人や相続分のことを気にせずに決められるのですよ。しかも祭祀財産には相続税はかかりません。もし生前に、自分が死んだときの祭祀承継者を決めておきたい場合は、祭祀財産の取得者(承継者)を遺言書に記載することができます。遺言書に記載するときは、以下のように書きます。(祭祀主宰者の指定 祭祀財産の承継)

第●条  遺言者は祖先の祭祀を主宰するものとして、長男●●を指定する。

2 長男●●には、墓地を含む●●家先祖代々の墓および仏壇等祭祀に必要な財産の一切を相続させる。

遺言書とは分けて書面に残したい場合は、別途エンディングノートなどで残しておくのがいいですよ。

仮に、A子さんが生前に遺言書を残していなかった場合は、A子さん死亡後にこれらの祭祀財産は相続人や親戚が決めた「特定の人」が承継するのですが、昔はいわゆる跡とりの長男や次期家長が承継することが多かったですよね。もし承継者が決まらない場合は調停や審判で決めます。

A子  「でもね、遺言書に書いたとしたら、自分が死んだ時しか承継させられないでしょ?私は生きている間

にお墓を誰かに渡すことを確約しておきたいのよ。遺言でもエンディングノートでもなくそうする方

法はないの?どうしたらいいの?」

B子  「では、生前に<祭祀財産の承継に関する合意書>を、A子さんと承継する人とで書面で残しておくと

いう方法をとります。この合意書は任意の形式でいいのですが、どこのお墓や仏壇を誰に継がせるの

かを継がせたい側、継ぐ側の署名押印で書類を整えるのです。

 

A子「なるほど、そうなのね。では、私が守ってきた先祖のお墓は弟の子である甥に引き継がせるわ。仏壇は私の父の代まではあったんだけれど、今はもうないから考えなくていいのね。」

 

このようなやりとりがあったので、前出の合意書を作り、双方の署名押印ののち、墓地の管理者にその写しを渡しました。墓地の管理者からは承認を得ることができたのです。

 

 

 

 

 

(参考)民法897条には次の通り書かれています。

民法897条

〈1〉   系譜、祭具及び墳墓の所有権は、相続の一般的効力規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

〈2〉   前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

 

次回は今回の続きとして、

A子さんの死後の枕経・通夜・葬儀・初七日からその後続く法要、納骨先埋葬先をどうしてほしいか

についてのA子さんの悩みと解決に至った経緯などについて、会話形式でお伝えします。お楽しみに。

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