年金の保険料が払えません。どうすればいい?【2015年 第1回】

【2015年 第1回】年金の保険料が払えません。どうすればいい?
年金の疑問 なんでも相談

菅野 美和子 ⇒プロフィール

A子さんは新卒で入った会社を1年で退職しました。親の世話になること数か月、やっと再就職が決まりました。ほっとした矢先、国民年金保険料の「催告状」なるものが届きました。保険料を至急納付するようにと書いてあります。さらに、保険料を滞納していると財産を差し押さえることになると書いてあります。就職が決まったばかりでお金にゆとりのないA子さんは、どうすればよいのでしょうか。

国民年金保険料の督促状

A子さんは新卒で入った会社を1年で退職しました。親の世話になること数か月、やっと再就職が決まりました。ほっとした矢先、国民年金保険料の「催告状」なるものが届きました。保険料を至急納付するようにと書いてあります。さらに、保険料を滞納していると財産を差し押さえることになると書いてあります。就職が決まったばかりでお金にゆとりのないA子さんは、どうすればよいのでしょうか。

本文:

 

A子さんに届いた催告状とはなんでしょう。国民年金保険料の督促状です。「至急、保険料を納めてください」「財産を差し押さえることになります」と書かれています。A子さんは退職したのち、国民年金の保険料を納付していませんでした。

国民年金は強制加入です。20歳以上60歳未満で、国内に住む人は、国民年金に加入しなくてはなりません。年金はあてにならないとか、もらえないかもしれないとか、個人的な思いがあったとしても、国民年金には加入しなければならないのです。

お勤めしている人は勤め先で厚生年金や共済年金に加入しますが、退職すれば、国民年金に加入することになります。たとえ手続きを取らなくても強制的に加入となり、納付書が送られてきます。そして未納が続くと、督促が来ます。最初は電話から、その後、文書へと続きます。

いったん起きてしまった保険料の未納に関しては、黙って時を過ごすという方法では解決しません。最終的には預貯金などを差し押さえられることもあります。近年、差し押え件数は増加しています。

A子さんは困ってしまいました。実家にいるから生活できているものの、ゆとりはありません。親に、国民年金の保険料を払ってほしいとも言えません。年金事務所に連絡して、まとめて全額払えと言われればどうしようと不安になります。

さて、A子さんの解決の道は?

まずは、年金事務所等へ連絡し、免除等を申請してみます。保険料を払えないときのために、保険料免除制度や納付猶予制度(学生は納付特例制度)があります。

保険料免除は所得に応じて認められるものですが、所得とは「世帯の所得」です。免除を受けたい本人の所得、結婚している人は配偶者の所得、そして世帯主の所得を合算します。A子さんの場合、A子さんと世帯主であるお父さんの前年の所得が対象となります。

お父さんは定年前のサラリーマンで、しっかり働いていますので、お父さんの所得が合算されると免除はむずかしいでしょう。

免除が認められないとき、30歳未満であれば、本人と配偶者の所得のみで判定を受ける若年者納付猶予制度があります。シングルのA子さんは、自分自身の前年の所得が基準以下であれば納付猶予制度を利用することができます。納付猶予となれば、今、保険料を払う必要はありません。

前年の所得が多いと対象外なることもありますが、退職したときは、退職を考慮して判定されるので、失業したことが確認できる書類(離職票など)を用意して手続きに行きます。

A子さんの未納期間は数か月ですが、未納期間がもっと長い人は、どこまでさかのぼって免除等が認められるか、気になるでしょう。

免除等の条件に該当すれば、2年1ヵ月前までさかのぼることができます。そして、それより前の保険料は、原則として請求されません。

自分で動かなければ未納問題は解決しません。少し勇気を出して、免除などの制度が利用できないか、年金事務所などで相談してみましょう。免除等に該当しなければ支払うしかありませんが、分割納付も相談できます。

若い人に意識していただきたいのは障害年金です。年金は老後だけではなく、病気やケガで障害の状態になったときにも支給されるもの。どんな事故に遭遇するかわかりません。未納期間が影響して障害年金をもらえないということになると大変です。

自分自身の未来を考え、困ったときにもっと困らないようにしておきましょう。

※「催告状」には免除制度についても書いてありますので、しっかり読んでください。

 

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