自社が評価されているかどうかを知るためのポイント【2010年 第 5 回】

【2010年 第 5 回】 自社が評価されているかどうかを知るためのポイント  銀行との上手な付き合い方

樗木 裕伸(オオテキ ヒロノブ)

今月は、先月に引き続いて「貸出期間」の考え方について紹介します。

 

「セオリー」を外れた貸出期間の融資とは

銀行は融資に際してセオリーを踏まえて貸し出しますが、セオリーから外れた貸出期間の貸し出しがあります。
例えば、通常1年更新であった運転資金借入金(売上回収金が入金されるまでの仕入代金や経費支払いなどに充てられる資金としての借入金)が半年更新になったような貸出期間が短縮された場合です。

これは、銀行が与信管理(顧客に信用を与えるという考え方から与信と呼びます)をする重要な手法の1つです。貸出期間を短くする狙いは、顧客に「期限の利益」を与えず、将来の資金の回収に備えるためです。

「期限の利益」とは、簡単に言うと借り手が返済期日まで返済しなくていい権利のことです。たとえ貸出先の企業の業況悪化に銀行が早期に気が付いたとしても、銀行は返済期日が来るまでは、顧客に返済を迫れない(銀行が返済を要請してきたとしても期限までは応じる必要が法的にない)ということです。

したがって銀行が取引先企業の今後の業績に不安を感じてくると、返済期日を半年や3ヶ月後というように短くして、将来の融資条件の変更や資金の回収に備えることになります。自社の借入が、資金使途に応じて、セオリー通りの適正な貸出期間を確保できているか確認してみる必要があります。

 

 

 

 

 

 

一方、設備投資(耐用年数5年)の借入時に、貸出金利を低く抑えようとして5年で借りるべき資金を期間1年の当座貸越などの貸出種別で借りるケースがあります。

本来5年間の利益から返済されるものを毎年銀行が借り替えに応じることを前提に期間1年で借りるというものです。前回のコラムで貸出金利と貸出期間の関係で説明したように、期間が短いと期間プレミアムやリスクプレミアムの分、低金利で貸し出しが可能になるからです。

優良顧客はイレギュラーの対応をしてもらえる

当然このようなイレギュラーの対応を銀行にしてもらえるのは、銀行に評価されている優良顧客と言えるでしょう。なぜなら、セオリー通りなら期間5年の適応金利を受け取れるところを、優良顧客の要望がつよくライバルに顧客を取られるぐらいなら、ということで止む無く対応させているわけですから。

ただこの場合、何らかの要因で業績が悪化した場合、貸出期間が短い(期日が到来すると期限の利益を主張できない)ことを逆手に取られて銀行との交渉において不利な状況になることもあるので注意が必要です。
また、評価されているかどうかとは、別ですが、セオリーの期間よりも長くなる場合についてもご紹介しておきます。

リスケジュールはその後の取引で銀行を代えるつもりで

適正な貸出期間は、自ずと決まってくると申し上げましたが、セオリーよりも期間が長くなる場合があります。それが、「リスケジュール」です。

住宅ローンの月々の返済が厳しくなったときに、次月の返済額を減額し、その分返済期間を延ばしてもらうことがあります。それと同じです。法人でも同様の対応をしてもらうことがあります。

ただ、気をつけなければいけないのは、1回リスケジュールしてもらうとその後、同一の銀行からはよほど業績が好転しないかぎり、新規の融資はしてもらえなくなるということです。リスケジュールをためらって倒産するようなことがあってはいけませんが、リスケジュールを申し込む場合は、その後の銀行取引は、銀行を代えるつもりで準備する必要があります。

第2回から第4回は、「自社が評価されているかどうかを知るためのポイント」の2つ目「融資条件(担保、貸出金利、貸出期間)」をご紹介してきました。

融資には、それなりのセオリー(融資規程などに規定されています)が存在するということをおわかりいただけたかと思います。これを知らずにごり押しするとただのクレーマーとして印象が悪くなります。融資の有利な条件を引き出すことは、とても大切なことですが、時間がかかるものです。とりあえず現在の自社の貸出条件を点検してみましょう。もしセオリー踏まえた上でも条件が悪いならば、取引銀行の変更も検討する必要があるかもしれませんね。

次回からは、「自社が評価されているかどうかを知るためのポイント」の3つめのポイント「情報提供」についてお送りいたします。

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