年初は日米の長期金利とユーロ問題でスタート【2011年 第1回】

【2011年 第1回 】年初は日米の長期金利とユーロ問題でスタート
投資コラム 資産運用

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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて年初にあたり個人的には、昨年末急騰した日米の長期金利の動向と、欧州ソブリン危機の2つに注目していこうと考えています。

昨年末には、尖閣ビデオ問題や朝鮮半島情勢など地政学的なニュースも飛び込んできましたが、今年も引き続き話題の中心となりそうな出来事として、個人的に注目しているのは次の2点です。

一つ目は、米国や日本のように一時期債券バブルの様相を呈していた国の、国債利回りの急騰(国債価格が下落)について。
二つ目は、何と言っても欧州ソブリン危機についてです。

米・日で長期金利が上昇

 

 

 

 

図 10年国債の利回り(米国、日本)

上図のように、米国(左)日本(右)ともに、5月辺りから10月にかけて国債は買われ、金利は急激に低下していました。年末に入って若干落ち着いてきたようにもみえますが、11月以降は急激に金利が上昇しています。

(ちなみに、この間PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)をはじめとして財政問題に苦しむ欧州諸国の国債金利は、一貫して上昇あるいは高止まりしていましたが。)

日米ともに昨年末の好調な株式市場が示したように、景気回復期待や今後の経済成長期待に伴った債券売りと金利の上昇かもしれません。あるいは逆に、米国で の量的緩和政策やブッシュ減税の延長といった大型減税法案によって、債務が危険水準まで高まることを懸念した債券離れによる金利上昇かもしれません。
単 に、一時の買われすぎの是正や、季節要因などからくるポジション調整なのかもしれません。

まだ急騰という金利レベルではないかもしれませんが、今後も上昇が続くようであれば、国の資金調達(借金)コストの上昇や、ただでさえ差し押さえに苦しむ 米住宅市場が、既に上昇をはじめた住宅ローン金利のさらなる高騰で、回復に水を差される可能性が高くなります。住宅ローン金利は、もちろん日本でも住宅市 場に影響を及ぼすことになります。

ユーロ圏の戦いはこれから

引き続き、ユーロ圏の動向は要チェックでしょう。話題になるたびに解決策のようなものは提示されますが、問題を先送りしている状況には変わりがありません。根本的に財政の健全化がなされない限り、何か月でも何年でも問題は繰り返されそうです。

ECBや各国のトップ、財務当局者の問題解決に向けた努力だけでなく、各国の有権者が突き付けられた現実を受け止められるのかどうか、本当に緊縮財政が達成できるのかどうかがユーロ存続のポイントになるとFT誌は指摘しています。

「(引用抜粋)ドイツ共に統一通貨圏にとどまるためには、各国の有権者は10年に及ぶ緊縮財政に耐えなければならない。が今のところそのような兆候は見られない。逆にいくつかの暴力的なデモが目撃されている。・・・・

・・・・・ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、将来の経済成長に関するあり得ない仮定に基づいて支払い能力があると主張している。(引用抜粋終わり)」

実際に、ユーロ圏からは、緊縮財政に反対した市民・公務員によるストライキ、デモ、悪い時には暴動といったニュースが絶えません。
危機以降、ギリシャでは 連日のようにストライキと暴動のニュースが報じられ、12/15日のゼネストでは、航空便やフェリーなど公共交通機関のサービスが停止したとのこと。
スペ インでは管制官がストを実行し、航空機の運航をマヒさせました。
イギリスでの大学授業料値上げに反対する学生たちによるデモは、チャールズ皇太子夫妻の車 両が標的となるほど激化し、イタリアではベルルスコーニ内閣の信任投票に絡み、ローマで暴動が発生しています。

こうしたニュースを見聞きする限りでは、少なくとも現在の経済・財政状況が正常な状態あり、各国政府と有権者の意識がマッチしているとは思えませんよね。

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