今月の数字8:8割も減額できちゃうものって?【2013年 第8回】

【2013年 第8回 今月の数字8:8割も減額できちゃうものって?】
相続に関する数字エトセトラ

平川 すみこ ⇒プロフィール

このコラムでは、相続に関して知っておきたい話題を毎月の数字に絡めてお伝えしていきます。
8月の数字は「8」。相続税の税額は相続財産がいくらかという評価額をもとに算出しますが、ある財産の場合、この評価額を8割減もできてしまう特例があります。それはどういう特例でしょうか?

 

 

 

 

相続(遺贈含む)によって財産を取得すると、取得した相続人等に相続税が課税されます。相続税が高額になると納税をする相続人等には負担も大きいもの。相続税がかかるからといって、相続した自宅の土地・家屋を売却するわけにもいかないし…ということもありますよね。ただ、自宅の敷地の場合、相続税の計算における評価額がぐーんと減額される「小規模宅地等の特例」があります。

■相続財産が自宅だけでも相続税がかかる?

「我が家には財産なんてないから相続税はかからないだろう」と言われる方の中にも、持ち家で自宅の敷地と家屋があるという方は多くいらっしゃいます。建物は経過年数により価値が下がっていきますが、土地はどの場所にあるかによって価値が上がることもあります。

土地は「路線価」や「固定資産税評価額」、はたまた実勢相場の取引価格などから、相続税の評価額が決まります。路線価は毎年評価替えが行われていますが、前年より下がることもあれば上がることもあります。地域によっても動向が異なりますよね。

もし路線価の高い場所に自宅の敷地があるとしたらどうでしょう。

東京の銀座中央通りの路線価は28年連続日本一で、1㎡あたり2,152万円(平成25年度)です。この路線に接する敷地100㎡の上に自宅を持っている土地所有者が亡くなった場合、この土地の相続税評価額は・・・なんと21億円にも!(土地の形状等によっても評価額は変わります)

相続税額は、法定相続人が何人いるか、誰が相続人で相続分はどうか、実際に相続人等が分割して取得した分はどうなっているか、といったことも関ってくるので一概にいくらと算出はできませんが、財産がこの土地だけしかなかったとしても、かなりの相続税額になるだろうということは容易に想像できるでしょう。

 

■自宅の敷地だったら評価額は低くなる?

平川さん8月分イメージ画像ただし、亡くなった者がその家屋に住んでいた、あるいは親族が住んでいたというような敷地の場合、引き続き誰かが住み続けるつもりだし売るに売れるもんじゃないのに、多額の相続税を課税するなんてヒドイ!!ということになりますね。

 

そのような亡くなった者の自宅の敷地を「特定の者が引き継ぐ」のであれば、特定居住用宅地等として相続税評価額を引き下げてあげようという「小規模宅地等の特例」があります。

この特例が適用できると240㎡までの評価額が8割減になります。

先ほどの銀座中央通りの例では、100㎡で約21億円の評価額が8割減だと約4.2億円になるのです。

 

なお、平成25年度の税制改正で、平成27年1月1日以後の相続より、この特定居住用宅地等の評価減特例の適用限度面積が240㎡から330㎡に引き上げられることも決まりました。

 

銀座中央通りとまでいかなくても、特に路線価が高い地域に土地がある場合、この特例が適用できれば相続税の大きな軽減につながります。特例が適用できるか否かで相続税の負担があるかないかの分かれ目になることもあります。

 

■特例が適用できる特定の者とは?

特定居住用宅地等として適用を受けるためには、次のような要件が必要です。

まずその土地が相続開始の直前まで下記のような敷地に限られます。

(1)被相続人の居住の用に供されていた

(2)被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた

 

そして、上記(1)については、その土地を以下の者が取得した場合に特例が適用できます。

①被相続人の配偶者。

②被相続人と同居していた親族で、相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人。

③被相続人と同居していない親族で、相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがなく、相続開始時に日本国内に住所または日本国籍を有していて、取得した宅地等を相続税の申告期限まで有している人。なお、被相続人に配偶者がなく、相続開始の直前に同居していた親族で相続人がいない場合に限る。

 

近年は独居老人が増えているようですが、配偶者もなく一人暮らしをしている者が亡くなり、別居していた子どもが亡くなった親の自宅を相続することはよくあることです。ただ、その場合は上記の③に該当するので、子どもが自分(もしくは自分の配偶者)のマイホームを持っていると特例は適用できません。特例のことを考慮すると「家なき子」が理想的だということですね。

平成26年1月1日以後の相続からは、建物の内部がつながっていない二世帯住宅でも、建物全体が特例適用の対象にできるようになります(現行制度では構造上区分があると別居扱いです)。そのため子ども自身はマイホームを購入しなかったり、親子で二世帯住宅を建てることを検討するご家族も増えてきているようです。

みなさんも、我が家の相続税評価額はいくらになりそうか、小規模宅地等の特例を適用するためにはどうしたらいいか、今のうちから確認して検討してみませんか。

「小規模宅地等の特例」は、特定居住用宅地等だけでなく、特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等、貸付事業用宅地等の場合にも適用できます。(適用要件や適用限度面積、減額割合はそれぞれ異なります)

 

具体的な相続税の計算、特例の適用に関することは、税務署や税理士等にご確認・ご相談ください。
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