後見人等になるための手続の流れ【2013年 第3回】

【2013年 第3回 後見人等になるための手続の流れ】成年後見人への道

三次 理加 ⇒プロフィール

 

成年後見(保佐・補助)人になるためには、どんな資格が必要でしょうか?
弁護士?それとも、司法書士?
正解は、「資格は必要ありません」です

成年後見(保佐・補助)人になれるのは、どんな人?

民法が、成年後見人になれないとして定めている人は、以下の通りです。

 

 

 

 

 

 

逆にいえば、上記にあてはまらない人は、成年後見人になる資格がある、ともいえます。

これは、保佐人・補助人にも準用されます。また、複数で後見人等になることもあるほか、法人が後見人等になることもできます。

 

どのような人が後見人等になっているの?

実際には、どのような人が後見人等になっているのでしょうか?

最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況-平成24年1月~12月-」の数値を基にすると、後見人等全体の約28.66%を被後見人(=本人)の子が占めています。次に多いのが司法書士(約19.78%)、続いて弁護士(約14.30%)、社会福祉士(約9.67%)の順です。(図表1)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今や後見人等の約8割を司法書士等の第三者が担っていますが、12年ほど前は、その9割以上を親族が占めていました。

最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況-平成12年4月~平成13年3月-」をみると、子が約35%、兄弟姉妹が16%、

配偶者が約19%となっています。

親族が後見人等を担う割合は、年々低くなる傾向にあるといえます。

 

後見人等になるための手続きの流れ

第1回で説明したように、成年後見制度を利用するためには、まず、家庭裁判所に後見(保佐・補助)開始の審判の申し立てを行う必要があります。審理の結果、後見(保佐・補助)開始の審判がなされると同時に後見(保佐・補助)人選任の審判が行われます。(図表2)
後見(保佐・補助)開始の審判の申し立ては、本人(=被後見人候補者)の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出することにより行います。その際、以下のような書類を添付します。
また、申し立てに係る費用は、2万円弱から18万円程度と幅があります。後見・保佐の申し立ての場合には、原則として医師による鑑定が行われます。
鑑定費用は、全体の7割弱は5万円未満ですが、20万円を超えることもあります。(注1)
このように鑑定費用は医師により異なるため、申し立て費用に幅が出てくることになります。
申し立てに係る費用は、原則として、申立人の負担となります。(図表3)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、申し立ては、誰でもできるわけではありません。本人、配偶者、四親等内の親族等です(詳しくは民法7条、11条、15条1項を参照)。

一定の場合には、市町村長が申し立てをすることもできます。

申し立て後、家庭裁判所において審理が行われます。診断書(や鑑定書)に基づき本人の能力の程度を調査し、後見人等候補者がいる場合には、後見人等としての適格性が審査されます。また、本人の親族に対する意向調査も行われます。その後、家庭裁判所により後見(保佐・補助)開始の審判、後見人(保佐・補助人)の審判が行われます。申し立てから審判までに係る期間は、全体の8割程度は2ヶ月未満ですが、半年以上かかることもあります。(注1)

(注1)資料:「成年後見関係事件の概況-平成24年1月~12月-」/最高裁判所事務総局家庭局 

なお、後見開始の審判については、審判告知から2週間以内であれば即時抗告できます。即時抗告とは、わかりやすくいえば不服申し立てのことです。ただし、後見人選任の審判については即時抗告ができません。たとえば、申し立ての際、申立人等が希望する後見人候補者を記載した場合であっても、それとは違う人が後見人として選任されることがあります。その場合であっても、家庭裁判所に不服を申し立てることはできない、ということです。

 

次回は、「後見人等に選任された後、どうするの?」です♪お楽しみに。

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