生活費 ~日本一の消費支出を支える富山県の豊かな家計~【2005年 第2回】

【2005年 第2回】 生活費 ~日本一の消費支出を支える富山県の豊かな家計~  老後

鈴木 克昌 (スズキ カツマサ)⇒ プロフィール

総務省の平成16年家計調査によると、60歳以上単身世帯の1ヶ月平均消費支出が前年比で増加している一方、1ヶ月の家計収支は、60歳以上の単身の無職世帯では3万6千円、世帯主が60歳以上の二人以上の無職世帯では5万7千円の赤字となっています。

年間消費支出は、富山県が5年連続の第1位

都道府県別のデータ(平成15年)を見ると、農林漁家世帯を除く二人以上の全世帯の1世帯当たり年間消費支出は、富山県が5年連続の第1位となっています。
消費支出が多いといっても、富山県の平均消費者物価地域差指数(全国平均を100とする)は101.8で全国19位と、特に物価が高いわけではありません。

富山県の勤労者世帯の状況

富山県の勤労者世帯は、実収入が6年連続、可処分所得が7年連続で全国1位です。
その結果、家計収支の黒字も全国1位、平均消費性向(消費支出/可処分所得)は65.1%で全国最下位、平均貯蓄率は全国1位と、家計に余裕があり、それが多額の消費支出を支えています。
富山県の世帯収入が多いのは、1就業率が高い、23世代同居世帯の割合が高く、子育ての分担等により女性が働きやすいため、共働き率が高い、365歳以上の高齢者の同居率が高く、年金収入がある、といったように、働き手や年金収入など、世帯の「財布」が多いことが要因です。

富山県の消費支出

富山県の消費支出の内訳を見ると、「その他支出」の割合が35.3%で全国1位、「その他支出」の中でも「こづかい」に分類される使途不明金の割合は全国平均の2.3倍と、格段に高くなっています。
これは、前述のとおり世帯の「財布」の数が多く、各人の自由に使えるお金が多いためです。
このことは、高齢者の暮らしの豊かさにもつながると思われます。

冒頭で述べたように、無職の高齢者世帯の家計収支が全国平均では赤字であるという状況を考えると、3世代同居を基本としたライフスタイルが家計を豊かにし、老後の生活にもゆとりをもたらしている富山県の例は、核家族化が進む今日にあっては、希少価値があると言えるかもしれません。

【2005年10月19日00時00分】

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